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05 剣の先生


 私が「前世はホリー・コリンソン」発言をしてから数日。お父様は私にも家庭教師をつけてくれた。

 まず我がアストリー家の事を学ぼうと基礎的な知識を試すため、家庭教師はまず私に家族の名前が言えるか質問した。その時に私はお父様の名前を知らない事に気づいたのだ。


 お父様の名前はイライアス・アストリー。いつもお母様や使用人達から「貴方」や「旦那様」って呼ばれているから知らなかった。つい先日見せてもらった系譜にも書いてあったのに、私は見逃していたらしい。


「今日、お父様の名前を家庭教師に教えて貰いました。『イライアス』ってお名前なのですね」


 夕食の席でそう言ったら、お父様は涙目になり「そんな事も教えていなかったのか!」と自分自身に怒っていた。

 そんなお父様を見て「知らなくてごめんなさい」と言うと、「こ……こちらが悪いから、謝る必要はないんだよ」となぜか更にダメージを受けた顔を向けた。


 お母様はオーレリア・アストリー。外見だけは完全に前世のお姉様。病弱じゃないところが羨ましい。


 お兄様のメレディス・アストリーは、お父様似で精悍な顔をしている。剣が得意で、王国騎士団を目指しているそう。


 それを聞いて剣を振っていた前世の事を思い出した。







「剣かぁ……振りたいなぁ……」


 こっそりお兄様の剣の訓練の様子を見て、ますますその思いが強くなる。なので夕食の席でお父様に相談して見た。


「お父様。私、剣を習いたいのです」


 すると私以外の家族全員が咳き込んだ。


「シェリルが……剣を?」

「シェリル……まず、剣が持てるのか? 子ども用ですら厳しい気が……」

「怪我するかもしれないでしょう? それでも?」

「はい。前世では女騎士だったので」


 私の言葉に皆が一瞬固まった。


「……そういえばそうだったね」

「試しにメレディスとやらせてみるか。メレディス、剣の授業の時にシェリルを呼んで一緒にやってみなさい」

「分かりました」

「ただし、シェリル。条件がある」

「何でしょう?」

「剣の先生がいる前でしか剣を使用してはいけない。木剣のみ使用を認める。先生の言う事を聞く。この三つだ。守れるか?」

「はい。分かりました!」


 お父様の出した条件は私も予想していた範囲内だったので、すんなりと受け入れた。







 こうしてお兄様と一緒に剣の授業を受ける事になった。


「初めまして、シェリル様。アーサーと申します」

「よろしくお願いします。アーサー先生」


 アーサー先生は平民出身の冒険者。ストレートの赤髪に黒い瞳のテナーキオ人だ。貴族の令息に剣を教え始めたところ人気が出て、今ではベテランの剣の先生として知られていた。


「身体があまり丈夫ではないと聞きました。なので私が止めたらそこで授業終了とさせて頂きます。よろしいですね?」

「はい!」

「では、こちらをお持ちください」


 アーサー先生は木で出来た子ども用の剣を私に差し出した。

 私はその柄を握って両手で持つ。


「持てた……」

「良かったです。これ以上軽い剣はありませんから」

「え……そうなのですか……」

「では、素振りから始めましょう。シェリル様は初めてですから、まずはお好きな様に振ってください。メレディス様はいつも通りに」

「「はい!」」








 お兄様の剣の振り具合は綺麗だった。やっぱり教える人が優秀だと違うんだなぁと実感してしまう。私は前世のホリーのやり方で剣を振った。


「おぉ! 初めてにしては良いですね。特に注意する事もありません」

「本当ですか?」

「でも素振りは大事ですからね。しっかり振ってください」


 そう言われてしばらく振り続けていると、だんだん目の前が歪んで見え私の身体はフラフラし始める。ついに前のめりに倒れそうになると、目が地面の方へ向いていた。

 だが、なぜか地面に倒れなかった。顔を上げて後ろを向くと、いつの間にか先生が私の後ろに回り込んで、私のお腹に腕を回して支えてくれていた。


「はい、そこまで。……確かに体力がありませんね」

「うっ! ……ごめんなさい」

「いえいえ。事前に聞いておりましたから。しかし実力はおありな様だ。素早く相手を倒せる方法なら試合一回くらいはもつ……かもしれませんね」

「本当ですか!?」

「訓練して体力がつき次第ですが……」







 するとお兄様がこんな提案をしてきた。


「あの……先生。シェリルは剣の筋は良いのですよね? 剣舞とかはどうでしょう?」

「剣舞?」

「剣舞とは、剣の型を芸術的に見せる舞です。そちらも体力は使いますが、実戦よりは遥かに楽だと。ただ、私としてはシェリル様に俊敏性を磨いて、僅かな体力で勝つ方法も伝授したいです」

「それ! 面白そうですね!!」


 私は嬉々として剣に打ち込み始めた。






登場人物紹介


名前 シェリル・アストリー

所属 貴族 アストリー伯爵令嬢

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 標準

・顔 前世の姉に近い顔

魔法 なし


名前 イライアス・アストリー

所属 貴族 アストリー伯爵

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 がっしり

・顔 精悍な顔

・身長 176cm

魔法 なし


名前 オーレリア・アストリー

所属 貴族 アストリー伯爵夫人

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 Bカップ 標準

・顔 可愛い系の顔 シェリルは母似 

・身長 160cm

魔法 なし


名前 メレディス・アストリー

所属 貴族 次期アストリー伯爵

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 標準

・顔 精悍な顔

魔法 なし


役名 剣の先生

名前 アーサー

所属 平民

容姿

・髪 赤のストレート

・瞳 黒

・体型 がっしり

・顔 優しげな顔 

・身長 185cm

魔法 炎魔法 中

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