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フォルトゥナ・エクスプローラ・オンライン  作者: 須藤 晴人
第十二章: みんなで伝説探究

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012_09_次の作戦立てちゃおう#1

「制御装置を動かすと広がったけど、動いてなくてもゲートは閉じてなかった。ゲートの大きさに制御装置からのエネルギーが関わっているけど、装置のバグを直してもエネルギーの供給が止まるわけじゃない。だからゲートはそのままだと広がっちゃうんだ。

 それにゲートはそれだけで、噴火のリスクを高めるから……バグを直しても、ゲートの影響で噴火が起きるかも、ってこと。二つは別々なんだ。

 だからバグを直して、ゲートも閉じないと破滅を防げない、ってことですか?」


 わたしは考えを声に出しながら、恐る恐るレイさんを見る。レイさんは目を閉じ、小さくうなずいた。


「多分ね。どうもゲートは、制御装置からとは別にエネルギーを吸い上げてるみたいなんだ。正しくシャットダウンされないままメインのエネルギー源だけ遮断されておかしな状態になったところへ、メインのエネルギー供給を再開して拡大させてるのが今の状態さ。だから、ゲートはゲートで正しく終了させる必要があるんだよね。だけど――」


「その方法が分からない、ですか?」


 言い淀むレイさんにわたしは尋ねた。やること、はっきりさせておかなくちゃ。


「……ああ、うん、そうなんだよ。でも、そっちはちょっと当てがあるから、僕がやるよ」


 レイさんはにこりとキレイな顔で笑った。キレイなんだけどちょっとだけ、それ以上首を突っ込むなと言われてるような感じもした。まあ、それなら任せておけばいいのかな。


 でもこんなに色々、一気に謎が解けるなんて凄いな! レイさん、意外と(失礼!)頼りになるなあ。わたしも同じ日記を読んだんだし、今まで色々見たり聞いたりしてきたのに、分からないことだらけだった。そう感心するかたわら、何か引っかかる感じもした。何だろうな、と考えていたら、ふっと少し寂しそうに苦笑いする顔を思い出した。


「下位互換、って、あの時言ってたっけ……」


 引っかかってたことの正体に気づいて、それを思わず声に出して呟いてしまったわたしを、レイさんがちょっと怪訝な顔で見た。


「え、何? 下位互換? カン君が、僕の? やだな、互換性があると思ってるなんて」


 彼はクスリと笑って肩をすくめた。そんな彼をわたしはつい睨んでしまった。そんな風に言う事ないのに!


「ああ、下らない冗談を言ってる場合じゃなかった。ゴメンね、そんな怖い顔しないで。悪かったよ、ホントに。そうか、でもカン君そんな事言ってたの?」


 彼は急に真面目な顔をして申し訳なさそうに謝ると、腕を組み、眉根を寄せた。


「前に、レイさんが運営じゃなくて探検する側だったら、きっと自分何かよりずっと色々発見してるはずだ、って言ってたんです。で、現に今レイさん、超越者の残したメモと遺跡の関係とか、あっさり解決しちゃったな、と思って。だからちょっと……何ていうか、複雑な心境かな、って……」


 何も言わないレイさんにわたしがそう答えると、彼はすこし驚いたような顔でわたしをしばらく見つめた後、ふっと笑った。


「そっか。うーん……それは意外だったな。何がって上手く言えないけど。

 まあ、一応僕も言っておくと、考えられるのは十分に材料があるからだし、考えをまとめるには今みたいに話相手が必要だからね、僕だけでできるわけじゃないよ。それに僕はそれほどこっちの世界自体に興味は無かったりするんだよね。だから君達ほどそういう【材料】を見つけられない気はするかな」


 そして言葉を選びつつゆっくりと答えた。そんな答えにわたしが戸惑っているうちに、


「まあね、僕は知的な感じの美形だし、何ていうか華があるからさ、みんなが敗北感を覚えてしまうのも無理からぬ事、とは思うけどね?」


 と、羽根帽子の下のさらりとした前髪を細い指で跳ね上げながら、何かムダにキラキラした笑顔を浮かべて得意げに言った。


 うわあ、何か腹立つ。でも余計な事を言っちゃうのは照れからかもしれないな。そのへんは二人とも似てるのかも。あ、でもレイさんの方がイラっとする感じな分上だな。


「……と、冗談はさておき。ここからはみんなに聞いてほしいんだけどね」


 わたしの冷たい視線に耐えきれなくなったレイさんはコホン、と咳払いを一つして、真面目な顔に戻ると全員に視線を送った。


「とにかくリンとツバサはミライちゃんを連れ出して、全ての遺跡でミライちゃんにこの図を打ち込んで貰いたいんだ。

 ぶっつけ本番になっちゃうのは不安だけど、仕方ないよね。君達ならやってくれるでしょ? 任せたよ!」


「幸福な未来を取り戻すのは私の役目だ。勿論そうしよう。だが……彼女の居場所は分かるのか?」


 ツバサは力強く答えながらも、少し顔を曇らせた。


金騎士団(ゴールドナイツ)に連れてかれたんだから、きっとソリドゥスだよ!

 でも、絶対簡単には入れないところにいるよね……」


 ぱっと居場所は思いついたんだけど、助けに行くとなると結構ハードル高そうだ。それに、何かまだ忘れてるような気がするな。何だろう?


「あの黒雲達は簡単には渡すまい。どうするかは考える必要があるな。

 ところで、お前達が【超越者】の日記からどういう結論に達したかは分からんが、我々の伝説では、超越者の男はまず全ての遺跡の封印を解け、そうでなければ破壊神を鎮める事はできない、と言っていた。最後の封印は解くという事で良いのか?」


「それでいいよ。君達のところにそう伝わっているなら、それが正しいはずなんだ」


 レイさんがうなずいた。


 あ、それだ。元々そのために最後の封印を解く鍵である宝剣を探してたんだった。宝剣は強硬派が握ってて、それを扱えるミライもそこにいる。強硬派はゲートを拡げるために、遺跡の封印を解くわけだから……。


「強硬派がミライに封印を解かせた後に、ミライを連れ出して遺跡に向かえばいいんだ!

 でもミライがその儀式を行う破壊神の日の次の日が、戦争を始める戦神の日なんだっけ。それに噴火やゲートを使った宝物の持ち出しの事もあるし……。だったら封印を解いたすぐ後にミライを連れ戻さなくっちゃ!

 そうだ、最後の封印を解く儀式が丁度終わったところに行って、そのまま遺跡のバグを直せばいいんだ!」


 わたしはポンと手を叩いて言った。いろいろ考えると、このタイミングがベストなんじゃないかな。


「そうだな。だが向こうも我々が邪魔をしに来る事は想定しているはずだ。きっとあの死神が我々に立ちはだかる。それでも……彼女を取り戻さねば。

 ところで、最後の遺跡の場所は分かっているのか?」


 静かに、強い決意を述べた後、ツバサはレイさんとわたしを交互に見た。そういえば遺跡の場所ってどこなんだろう? そういえば知らない。もう見つかってるのか、ミライだけしか知らないのか、どっちなんだろう。


「それなら大丈夫。心配しないで。その時になったら教えるよ」


 レイさんが軽く答えた。よかった! 最後の遺跡はもう見つかってるんだ!


「場所が分かるんだったら、後は助けに行くだけだよね! でも、ツバサが言った通り、ショウさんだって邪魔されたくないから、一番強いセイを護衛につけるよね……。それにもしかしたら金騎士団(ゴールドナイツ)やリスクオンまでいるかもしれない。そうなったらやっぱりキツイし、どうしよう、何かいい作戦ないかなあ……」


 がんばろうって思うけど、敵の多さについ不安になってしまって、ついそんな弱気な言葉が口をついて出た。


「ああ、その辺は何か作戦があるんでしょ?」


 そんなわたしの不安なんてどこ吹く風でレイさんがまた軽い調子で言って、それまでずっと黙っていたマドカさんの方を見た。


 彼――彼女って言った方が良いのかな、でも何か違うしな――はニヤリと不敵に笑った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 『012_09_次の作戦立てちゃおう#1』 レイさんにもなにやら色々事情があるようで…… でも、どうやってミライを奪還するのかな? セイともまだ仲直りもできてないしなぁ……課題がいっぱい。…
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