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44. コックゴーレムとカーバンクル

オルガに絡みながらダイニングに行くと、

もうすでにみんなが揃っていた。


ダイニングにある幅の広い長テーブルには、

両側に4つずつ椅子が置いてある。

片方の真ん中の2つの椅子は子供用の椅子になっている。


テーブルの奥には、低く小さなテーブルがあり、

そこに、リオン用のテーブルとなっている。

みんな一緒のテーブルだと食事が難しい為である。


左奥には、キッチンへの続くドアがあり、

食事の時は、コックゴーレムが行き来する為、開けっ放しになっている。


ご飯はいつも”コックゴーレム”が作ってくれる。

リクエストがある場合は、前もって言っておけば、

コックゴーレムがその料理の作り方を知っていれば、作ってくれるそうだ。


そしてリクエストがなければ、

朝食なら朝食で登録している料理をランダムで作ってくれるのだそうだ。


知らなければ、新しいレシピを教える為、

作り方を見せる必要があるのだそうだ。


その後、作らせて味を確認して、

味付けの微調整をさせて、覚えさせる。


もともと、人間のコックさんを雇っていたそうだが、

頻繁に討伐依頼を受けて、いないことが多かった為、

コックさんにも悪いと雇うことを辞めたそうだ。


その後は、食事処に行ったり、酒場に行ったりしたが、ずっとだと飽きた。


自分達で。とも思ったが、料理ができる者が限られており、

結局その限られたものが、ずっと作るということになりそうで、

オルガが、コックゴーレムの話を持ち出してきた。


まずは全員、好奇心が勝ち、

料理の味は二の次で、面白半分でコックゴーレムを作り、料理を覚えさせた。

はじめは、料理が激マズだった。

それはそれで、後から思い返せば笑い話だそうだ。


銀翼達みんな青い顔しながら討伐依頼に行ったこともあった。

ギルドの受付嬢はすごい心配そうだった。

確かにかなりきつかったそうだ。


そんなこともありながら、それでもみんなでここまで出来たんだからと、

一喜一憂しながらゴーレムの料理の腕を向上させていったという。


おかげで今は、

自分の好みの味の料理を食べられる環境になったとか。


アレクは思う。

(いいな……コックゴーレム。一家に一体欲しい……!

でも、料理を既に覚えているコックゴーレムがいいな……)


このゴーレムは、オルガが試行錯誤して作ったもので、

また作れと言われたらゴーレム自体は作れるが、

料理の習得は、自分でやって貰うのが条件だとか。

はじめはとても根気がいるからと。


アレクは思い出す。

(そういば、前に、はじめは、まずい食事ばかりだったと聞いたことがある。

まあ、ゴーレムは料理を食べないから、味なんかわからないよな。

でも、食事は無駄にせず、全部食べたんだな。さすが冒険者。)


おっと。朝食だ。

今日は、リクエストして、パンケーキにしてもらったそうだ。


(どんなパンケーキが出てくるか楽しみだっ!!)


そうして、ドキドキしながら待つこと数分。

コックゴーレムがパンケーキを運んできた。


ちなみに、我が家にはコックゴーレムは3体いるそうだ。

なので、分担して食事を作ったり、持ってきてくれたりもする。

もちろん、手伝いで他のゴーレムが配膳をしてくれたりもする。


テーブルに置かれたパンケーキを見て、驚いた!!


厚めのふわっふわのパンケーキだった!!!

それだけじゃない!パンケーキの上には…。

切った果物と生クリームがふわっとのせられていた!!


オルガを見ると、胸を張って“どうだ!”と言わんばかりのドヤ顔をしている。


その姿が面白くて、くすくす笑う。


次に、ゴーレムを見ると、顔も変わらないが、オルガと同じように

「すごいでしょう!」とドヤ顔をしているように、見えてくるのが不思議だ。


ちなみにこのパンケーキは、俺やヒナに内緒で練習させていたものらしく、

練習では味のないパンケーキを何度か食べたそうだ……。

今はもう、昔のような激マズ失敗料理はないという。それはよかったね。


それで、今日がお披露目なのだそうだ。

ヒナを見てみると……。


きらっきらな目で、ふわっふわのパンケーキにくぎづけだった。

そうだろうな。これはすごい美味しそうだ!俺も驚いたもん!


そして、ヒナの近くには小さなお皿に小さなパンケーキがのっていた。

「きゅい~(おいしそ~~)」

突然参加のカーバンクルの分も作ってくれてた。

コックゴーレムすげー!


皆の分がそろったところでテーブルを見ると、

好みによって、果物は別皿でパンケーキにはバターのみとか、

その人に合わせたものが乗っている。

すげー!好み把握してる!


結局、味はとてもおいしかった。

コックゴーレムがまだいたので、おいしかったよーの合図で、

親指を立てて、ニコッと笑ってみると、

ゴーレムも同じ合図をしてきた。


芸が細かいな!


***


食後はリビングに移動。


座り心地のいいソファが置いてあり、

みんながよくいる場所だ。


朝食を終え、みんながふかふかのソファに沈み込んでいる。


「みんな、ちょっときいてほしいんだ。

ひなが、もふもふのこと、しょうかいしたいんだって」


そういうと、銀翼の皆とリオンがヒナの方を向く。


ヒナは、カーバンクルを両手の上にのせて、息を吸う。


「あのね!このこ、ようせいのもりから、きたんだって。

くろいのはらう、やりかたも、このこが、おしえてくれたの!

でね、みんなで、かわいいなまえ、つけてあげたいの!

おねがいちましゅ!」


言い終えると、みんなの顔が今度はアレクをみる。


(訳せというわけか)


「おれらをおって、ようせいのもりから、ついてきたみたい。

げんじゅう、かーばんくるだって。りおんにいちゃんがいってた。

くろいおーらのはらいかたも、このもふもふがおしえてくれたんだって。

このもふもふとは、ひなとおれと、りおんにいちゃんが、こころのなかでかいわできる。


それで、ひなが、みんなにももふもふをしょうかいして、

みんなでかわいいなまえをつけてほしいんだって」


アレクの言葉をきくと、


ジークは困惑顔。

「げ……幻獣?本物?カーバンクル?

すごいな!神獣の次は、幻獣か!

しかも、黒いオーラの払い方をヒナに教えたのは

カーバンクルだったのか!!

あの時は本当にありがとう。お会いできてうれしいよ」


「きゅきゅ!」


カーバンクルと握手するジーク。

カーバンクルの手がちっちゃくて可愛い。


オルガはとりあえず、撫でまわす。

「こいつか、さっき転がってたもふもふ。可愛いーな。ほれほれ

それにしても、黒いオーラの払い方、よく知ってたなー」


「きゅきゅきゅい!きゅい!(神様がね言ってたの。力ある者に教えてあげなさいって)」


「かみさまがね、もふもふに、くろいおーらのはらいかたを、

ちからあるものにおしえなさいって、いったんだって。

それがひなだったみたい」


「「「「「え!?」」」」」


銀翼みな固まる。


さいしょに動き出したのは、オルガだった。

「お、おまえ、えらいなー!!こんなちっこいのに!ほれほれ」


「きゅっきゅい~~」

オルガのなでなではうまいのだっ!

もふもふはデレッとした顔になった。


エルミーは興奮していた。

「げ……幻獣!精霊達がすごく喜んでいます。

本物のカーバンクル!素敵な赤い宝石が額についていますね。

お会いできるとは光栄ですね。よろしくお願いしますね!」


「きゅっ!」


フリードは興味津々だ。

「この子が幻獣カーバンクル!本で見るよりずっと可愛いね!

殲滅戦の時は助かったよ。ありがとうな!」


「きゅきゅいっ!」


クロムはじーっと見ている。

「幻獣、カーバンクル。ほんとだ。本で見るよりずっと可愛いね!

カーバンクルさん、なでなでしていい?」


すると、カーバンクルがクロムの手に乗って、

するする肩に移動する。


ほっぺにカーバンクルがスリスリする。


「か、可愛いー!!カーバンクルさん、よろしくね!」


そして、リオンの顔にスリスリして、またヒナのところに戻った。


ジークがコーヒーを飲みながら、落ち着いた声で言う。


「さて……挨拶が終わったところで、名前を決めようか。」


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