お早い再会
翌朝、俺達は街中心部にあるが、運良く難を逃れていたカジノの前にいた。
朝方来た職員曰くギルドは昨日の怪物騒ぎの後始末で停止中、宿代は持つので報奨金支払いまでの間街、もしくはその付近にとどまってくれとのことだった。
世の中には本音と建前があるもので、おそらく安全が確認される前に2度目、3度目の怪物騒ぎがあった時に対処が出来ないと困る、という理由もいくらかはあるだろう。
黒い玉は破壊されているため多分大丈夫だろう、とは思うがギルドに報告してないため向こうはそんなことつゆとも知らないだろう。
なので対処ができる、と思われている俺たちを引き止めておくという訳だ。
利用されるだけというのも癪なのでせめて一番いい宿の一番いい部屋に移ろうと提案したところ、ステラに「はしたないですわよ」と止められた。
ステラがそういうなら無理に移る必要もあるまい。
あまり街から離れて欲しくない、との事だったので暇つぶしと運試しを兼ねてここにいるというわけだ。
ステラは渋っていたが、嫌々といった様子で座ったスロットからコインが滝のように吐き出され始めるとその表情も緩んでいっていた。
一方テムはルーレットがお気に召したらしく、恐る恐るといった様子ながら着実にコインを増やしている。ステラは若いうちから賭け事なんて、と言っていたが地方によっては既に成人の儀を終えていることもある年代だ。早すぎるということはさすがにあるまい。
そして俺はというと、バカラでボッコボコのギタギタに負けていた。
ポーカーフェイスが売りのはずのディーラーが笑いを堪えている。
さすがにそろそろ潮時か。数日分の食費が飛んだが、幸いなことに蓄えはそこそこある。
これ以上泥沼にはまっても面白くないしな。
テムとステラはもう少し遊んでいくと言っていたので、俺は宿に戻ることにした。
「やぁ。お疲れ様。見事な負けっぷりだったね」
俺の部屋のベッドでは、マーシュエが寛いでいた。
「……なんでお前がいるんだ」
「つれないなあ。こーんなにかわいい女の子がベッドで待っててあげたんだよ?そこはあたしを見るなり服を全部脱ぎ捨ててダイブするべきでしょうが」
と、彼女はわざとらしく呆れるジェスチャーをし、溜息をつく。
「お前の得体が知れてればそれもあったかもな。で、何の用だ?」
「用なんてないよ。ただなんとなーく君の顔を見たかっただけ……って言ったら、怒る?」
「要件を簡潔に言え、と返すだけだ。お前みたいなのに怒っていたら、堪忍袋がいくつあっても足りない」
「そうだよねー。こんなにかわいい子に怒るわけないかーそうかそうかー」
と、マーシュエはまた、わざとらしく喜ぶ。
本当に厄介なのに目をつけられたな。




