表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華風皆殺し娘の交渉術  作者: 微睡 虚
第十二章 繭国分裂編
345/345

エピローグ

繭国編のエピローグです。


 【繭国】の動乱は終わった。蠅蟷螂(ヨウトウロウ)を本物の金玄蜂蛾(キンゲンホウガ)だと誤認して指示に従っていた官僚・文官たちはお咎めなしである。彼らが本物の金玄蜂蛾(キンゲンホウガ)が現れたあとは従順であり、何より彼ら自身が自分達の過ちを悔いている故に厳罰する理由もなかったのだ。

 それよりも有能な人物はその力をいかんなく発揮してもらい、蠅蟷螂(ヨウトウロウ)が滅茶苦茶にした内政や外交を正す方向に動いてもらうことになった。


「「「金玄蜂蛾(キンゲンホウガ)さま。数々の御無礼お許しください」」」


「よい。元々は余が長らく留守になったが故のこと。その元凶も蠅蟷螂(ヨウトウロウ)が余の転生卵を喰っていたからだ。そなたらの責任ではない。だが責任を感じるならば実績をもって汚名を払拭して見せよ」


「「「はっ!」」」


 当の金玄蜂蛾(キンゲンホウガ)蠅蟷螂(ヨウトウロウ)に騙されていた彼らを責めるつもりはないようだった。

 勿論、政治は学や知識のない人間でも納得させるためどこかで折り合いをつけなければならない。失政の責任を取らなければならないのだ。これは亡き本人の意向もあり狡白(ジャオバイ)に汚名を着てもらうこととなった。


「まったく、狡白(ジャオバイ)ってのはとんでもない輩だったな」


金玄蜂蛾(キンゲンホウガ)様を騙る偽物野郎に与して政権を奪うなんて!!」


 領民達が彼の真意を知ることもない。鱗粉(リンフェン)も少し心を痛めてはいたが国民をまとめるためには致しかたなしと自身の心に留めておいた。

【繭国】は蠅蟷螂(ヨウトウロウ)が仕掛けた周辺国の戦争の清算を行った。代表者は鱗粉(リンフェン)、仲裁者として美鳳(メイフォン)が間に立った。

戦争を仕掛けてきた【繭国】が捕虜と領土を返還すると言い出した時は敗戦国たちはかなり訝しんでいたが徳の高い美鳳(メイフォン)が仲裁してくれると名乗りを上げたために信頼して交渉の席についてくれた。


「此度の戦は【繭国】を牛耳っていた狡白(ジャオバイ)派閥のものが起こしたもの。元来の元首である(ホン)鱗粉(リンフェン)にその意思はなく、周辺国とは和睦したいと申しています」


美鳳(メイフォン)の言う通り、我が国は調和を望んでおります。したがって伯父が勝手に奪った領土と捕虜は返還します。それで水に流してもらえないかしら」


「……他でもない、美鳳(メイフォン)殿下がおっしゃるなら」


「領土が戻るならなんでもいい! 願ったりかなったりじゃ!」


敗戦国は犠牲者が出ているために本来反【繭国】の感情が出るはずだが、敗戦して奪われたはずのものを返還してくれるということで為政者達が《蟲族》に対する悪感情排除に舵を切ってくれたのである。急激に反《蟲族》、反【繭国】感情は薄れ、寧ろ簡単に自分達の領土を奪えるのにそれまでそうしなかった鱗粉(リンフェン)の評価が上がったのだ。強い国との関係を維持しようと交易が盛んになった。【繭国】を中心にそこらの治安は一気に安定していった。実態は独立国であるが経済的軍事的には【繭国】の影響を色濃く受けた準属国の色彩が強い。それでも彼らとしては乱世を巧みにわたっているのだろう。


【愁国】もこれら政変に関わったことで一定の利益を得た。【繭国】が暴走しないようにある種監視の役目として経済圏に【愁国】を組み入れることを【繭国】の周辺諸国が臨んだのだ。おかげでお零れに預かることができた。勿論それらの詳細をまとめたのは美鳳(メイフォン)の信任を受けた(フー)(ヤン)である。


そして【愁国】と【繭国】の関係性も一気に強化された。政変の仲裁に一躍買ったこと、スタンピードから同胞を守ったことで《蟲族》の一般人や《八星天道(ヤツボシテントウ)》構成員から蕾華(レイファ)たち食客が高く評価されたのだ。対して文官や官僚たちから評価されたのはここ一番で自分達と交渉し周辺諸国との仲裁に協力してくれた美鳳(メイフォン)である。蠅蟷螂(ヨウトウロウ)との最終決戦時点では中立裕子王条約だったものが固い軍事同盟条約が締結されることとなった。【宍国】に次ぐ対等な同盟条約である。


 妖蟲を使役する彼らの偵察情報収集力は凄まじいものだった。彼らは【冰国】領土へと蟲を飛ばして一紗(イーシャ)の足跡を把握したのだ。枷を嵌められて氣の一部を封じられてはいるが辱めを受けている訳ではない。そればかりか【冰国】の武将たちから信頼されていると聞いたときは驚く者や苦笑する者など多くの人間が多様な反応を見せていた。


「やっぱり囚われの御姫様で終わりませんでしたね」


「さっすが私の一紗(イーシャ)さま!」


「ただ敵からも評価されているのなら執着するはず。一紗(イーシャ)を取り戻すのは難儀だと思うけど」


「大丈夫! 敵に妖魔王がいてもこっちにも妖魔王がいるゾ!」


 血漿巨怪(ケッショウキョカイ)の後継・(ユエ)には金玄蜂蛾(キンゲンホウガ)をぶつけるのは当然としてこの奪回作戦は綿密に練られた。【繭国】が謝罪と友好の証として兵を貸して防衛の一部を担ってくれることとなり、いつも守備についている龍宝(ロンバオ)も前線に出ることになった。


「後は彼の到着を待って綿密な準備をしてから一紗(イーシャ)に伝言を出す予定です」


「……彼?」


 その時、ちょうど入口に大きな翼が羽ばたく音が聞えた。

 心強い同盟国【宍国】の貴公子が姿を現したのだ。


「呼び出してしまってすみません、兄上(・・)


一紗(イーシャ)を取り戻すには協力を惜しまないさ」




いかがでしたでしょうか。

主人公不在なので半ば外伝のような感じですが本筋ではあります。

次章から主人公に視点が戻りますので一紗(イーシャ)の活躍にご期待ください。


※私事で恐縮ですが身内を亡くしまして多忙になっております。

 次章の更新にはしばらく時間をいただきます。

 筆を折るつもりはありませんので今後とも宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
狡白にもそれなりに言い分や理由はあったけど、権力と支配欲や鱗粉への嫉妬と対抗心が強すぎて国を二分したのは擁護出来ないね。 美鳳達による一紗救出の準備が整うタイミングと、一紗が冰国で活躍する中で嫉妬に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ