第2話
いつもお読みいただきありがとうございます。
先輩からのアドバイスを受けて、長くなっていた第1話を2話に分け、公開し直しました。あわせて、一部の展開も修正しています。
第3話以降は現在執筆中です。更新まで、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです。
午後の日差しが容赦なく照りつけ、空気はゴミの臭いで黄色く濁るほどだった。蠅が周囲を飛び回り、耳障りな羽音を立てていた。鼻を刺すような刺激臭や酸っぱい匂いが微風に乗って漂ってきて、涙が出るほどむせ返った。一人の少年がゴミ捨て場の端にしゃがみ込み、ほとんど口が開いていないムール貝を拾い上げた。袖で軽く拭うと、目の前の錆びた鉄の箱へ入れた。
「今日はこれで足りるだろう」
少年は立ち上がり、鉄の箱をリュックに押し込もうとした。リュックのチャックを二度引っ張っても閉まらないので、そのまま手に持つことにした。
「Fuck!」
近くの空き缶を蹴飛ばし、右手を掲げて高くそびえる城壁に向かって中指を立てた。見張り台に立つ衛兵の銀の徽章が陽に照り返し、彼は目を細めた。
「城内のくそったれどもが。食べ物を無駄にしやがって」
少年は荷物を背負い、遠くの賑やかな街区へ歩き出した。そこは街の正門から延びる一帯で、城壁外の衛兵や旅人が休む場所であり、余所から来た者たちが店を構えて商売していることもある。スラムへ戻るには、必ずそこを通らなければならない。
騒がしい通りを抜けながら、彼はひどくうつむいていた。それでも、周囲の話し声や笑い声、食べ物屋から漂う麦が焼ける香り、足元に薄く灰の積もった石畳が、いつまでも彼につきまとって離れなかった。まるでそのすべてが、よそ者の貧しい少年を嘲笑っているかのようだった。
ついに耐えられなくなり、彼はこっそり顔を上げて周囲を見回した。ピザ店の中に、傭兵の制服を着た二人の背中が見えた。唾を吐きたかったが、路面を汚したくもなく、結局はうつむいて小さく悪態をついた。
「くそったれの企業の犬どもが。よくもまあ、こんな場所に顔を出せるもんだ……」
華やかで清潔な街並みが背後で遠ざかり、足元の地面は次第にぬかるんで汚れていった。空も、乱雑な電線に引っ掛けられたトタン板とぼろ布に覆われ始めた。彼は体をかわして汚れた動力付きの台車をやり過ごした。この時代遅れのディーゼルエンジンは、内部の機械音と車輪のがたつく音が混ざり合い、耳障りな騒音を響かせていた。
「おい! カイル!」
「カイル!」
通りの老人たちは手を止め、親しげに彼へ声をかけた。子どもたちも彼の周りに集まってきた。
彼は無理に笑顔を作って手を振ると、ポケットから比較的きれいなキャンディをいくつか取り出し、集まってきた子どもたちに配った。しゃがんで一人の頭を撫でた。
「よし、早く家に帰って飯を食べなさい」
「お母さんはこの前帰ってきたあと病気で寝込んじゃって、薬を飲んでからずっとベッドで寝てるの。まだ起きてこないんだ」
カイルの笑みが一瞬だけ固まった。彼は荷物の底から未開封のビスケットの箱を探し出し、その子の胸に押しつけるようにして持たせた。
「いい子だ。じゃあ今日は家に帰って何か食べなさい。食べ終わったらマーサ婆さんのところへ行くんだ。どこにいるか分かるな?」
子どもはうなずいて「ありがとう、カイル兄ちゃん」と言うと、ビスケットを抱えて行った。
扉は開いていた。おかげで、トタン板が地面を引っ掻く嫌な音を聞かずに済んだ。家の中には片眼帯の男が座り、右足を不自然に曲げたまま、ほかの二人とスラムの現状について話し合っていた。
「戻ったか、カイル」
男は入口に立つ少年に気づき、手招きして座らせた。カイルは鉄の箱を机に置き、リュックを下ろすと、中から三人分の食料を取り出して皆に渡した。自分は鉄の箱から貝を一つ取り出すと、殻をこじ開けた。
「おい、正気か?」
男は彼の手首をつかみ、貝を取り上げた。眉をひそめ、もう片方の手で自分の食料を前へ押しやった。責める口調で言った。
「食い物がないわけじゃない。俺の分を半分持っていけ」
カイルは手を引っ込め、うつむきながら、また食料を押し戻した。
「いいんだ、平気だから、兄さん」
「平気なわけがあるか」
男は鉄の箱を手に取り、隣にいるもう一人へ渡した。
「ジョン、悪いが頼む」
ジョンはうなずいて箱を受け取ると、立ち上がってそのまま外のゴミ箱へ向かおうとした。
カイルの手が震え、彼は突然立ち上がってジョンの服を力いっぱい引っ張った。ジョンは踏ん張りきれず、二歩よろめいた。箱の中の貝が床一面にぶちまけられた。もう一人が慌てて駆け寄り、カイルを引き離してジョンを支えた。
「カイル! 何をするんだ?!」
カイルの兄が机を叩き、縁に手をついて立ち上がった。だが、その視線はカイルには長く留まらず、しゃがんで貝を拾っているジョンへ向いた。
「大丈夫か? 切ったりしてないか?」
ジョンともう一人は最後のムール貝を鉄の箱へ戻した。それからジョンは手のひらを確認し、首を振った。
「大丈夫だ、ブラム。カイルを責めないでくれ……」
「二人とも先に帰ってくれ……」
ブラムはジョンの背を軽く叩き、机の上の食料を二人へ渡した。
二人が帰ったあと、ブラムは再び腰を下ろしてため息をついた。左手で額を支え、右手の親指の腹で木の机の縁をさすった。机のほかの場所は裂け目やささくれだらけなのに、その一点だけは丸石のように滑らかに磨かれていた。
「カイル、今日はどうしたんだ……この箱を捨てろと言った俺が、そんなに間違っているのか? もしさっきジョンが切ったりでもしていたら……」
言いかけて、彼は口を閉じた。カイルの涙が机に落ち、裂け目を伝って床へ滴り、ぽたり、ぽたりと音を立てた。
「カイル?」
ブラムは額を支えていた手を下ろし、気遣わしげに彼を見た。
「ニッキーの母親が死んだ……三日前……子どものために食べ物を手に入れようとして、警備兵の袋を盗んだんだ。それで地面に押さえつけられて、ひどく殴られた……ジョンと二人で見つけたときには、もう人の形をとどめていなかった……それでも、あの袋だけはしっかり守ってた……診療所には医療用品が足りなくて、マーサ婆さんは彼女に簡単な手当てをして、痛み止めを出すことしかできなかった……」
ブラムは深くため息をつき、うつむいた。机の縁をさする指の動きが、次第に速くなった。
「ニッキーの母親のことは、本当にすまないと思っている。食料と薬のことは、ちょうど今、俺たちで話し合っていたところだ……」
「話し合い?」
カイルの体の震えはさらに大きくなり、嗚咽と怒りが混じった声が喉の奥から漏れた。
「毎回、話し合いだって言う……でも、実際はどうだ? 毎回だ! 毎回、俺たちはゴミ排出口をただ眺めて、期限切れの食料や薬を投げ落としてくるのを待つしかないんだ! 数年前の市街拡張のときは、まだ肉体労働で缶詰と交換できた……今はどうやって生きろって言うんだ?! エディじいさんは飢え死にしたんだぞ。コヴァッチの家はこの三か月、二日に一度しか飯を食えてない……」
「それでも、お前がそれを食うわけにはいかない……」
「どうして食えないんだ!」
カイルは机を拳で叩きつけ、涙に濡れた目で兄を睨みつけた。歯を食いしばって言った。
「去年、城壁で鉄筋を溶接していたとき、この目で見たんだ。奴らが脇門から、真水を積んだ車を何台も運び込んでくるのを。彼らが飲み水にしていると思ってるのか? あれはこんな貝を育てるために使ってるんだ! これが猛毒だって? 食ったら頭がおかしくなるって? きれいな水が貴重だって? 彼らにとっては、毎日俺たちの頭上にぶちまけているゴミと同じでしかない!」
ブラムの眉間の皺がさらに深くなった。もう片方の手も机の縁に添えられ、爪でささくれをいじった。
「貝のことは、俺が誤解していた。すまなかった。だが、やはり気をつけろ……お前の言い分も分かるが、俺たちに打つ手なんてあるのか……もしかしたら、俺たちは生まれつき……」
「打つ手?! 生まれつき?!」
カイルは冷笑し、袖で乱暴に涙を拭った。両手を机に強く突き、体を前へ乗り出して、怒りに満ちた目で兄を見据えた。
「ニッキーの母親も人間だ。エディも人間だ。コヴァッチ家の連中も人間だ。そして俺たちも人間だ。奴らと何が違うっていうんだ?! 奴らだけがいつまでも平然と高層ビルに住み、何不自由なく贅沢に暮らし、俺たちを荒地に放り出して、何も持たないまま死ぬのを待てと言うのか?!」
「カイル……」
「だったら、奴らを追い出して、俺たちが住めばいい!」
ブラムの手が止まった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
本作が初めての小説執筆となります。至らない点や拙い表現もあるかと思いますが、温かく見守っていただけると幸いです。
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