第18話 お出かけ
図書室に入って、何となく釣りに関する本を見ていた。
(釣り......だけど最近お母様がさらに厳しいから無理かも)
「なんの本を読んでいるんだ? また旅の記録か?」
「釣りの本です」
「釣り?」
「今度一緒に釣りしませんか?」
───
「今日はリアナ様とのお出かけでしたよね。どこへ行かれるのですか殿下」
「釣りだ」
「はい?」
王宮から少し離れた湖は静かだった。馬車から降りたリアナは満足そうに周囲を見渡した。
「凄くいい場所ですね! 流石は皇太子です」
「ここへ来るのは久しぶりだ」
今日はレオンハルトの近くにいるはずの騎士達の姿が見えない。
「あれ? 今日は騎士がいないんですか?」
「俺が下げた」
時は今朝。
『護衛を下げる!? そんな、完全には無理ですよ!!』
『これは命令だ。下げろ』
『ですが!!』
と護衛達が抗議していたのだった。しかし、レオンハルトの命令により、リアナと二人きりで釣りに行くことになった。
───
「殿下は餌を付けたことがありますか?」
「ないな」
「では私がお教えしますね」
レオンハルトはリアナが手慣れた手つきで餌を付けているのを不思議そうに見ていた。
公爵令嬢である彼女だが、社交界は嫌い、好きな物は読書や魚釣りといった普通の令嬢とは違う。しかし、またそこがいい。
釣りを始めて数分。隣のリアナは真剣な顔で水面を見つめている。その表情は、本を読んでいる時のリアナと同じ顔だ。
「なんですか殿下。さっきから私の顔ばかり見つめて」
「いや。いい表情をしているなと思っただけだ」
「そんなこと言っても婚約しませんよ」
その時だった。
「あっ! 来ました! 釣れそうですよ殿下!!」
勢いよく竿を上げる。リアナは満面の笑みを浮かべ、釣り上げた魚を見つめている。
「見ましたか殿下! これが私の実力です!!」
「すごいな」
「教えてあげます」
「上からだな」
───
二人は木陰で休憩していた。魚釣りをしに来たというのにリアナは結局本を読んでいる。
「殿下も読みますか?」
「そうさせてもらおう」




