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5.戦後処理

2023.01.28 狼子王国の国名を、一部変え忘れていたので、訂正。

 公開処刑用の広場に、多くの民衆が集まっている。

 これより、敵国狼子(ろうし)王国の国王等の処刑が行われるのだ。

 陛下と我々近習の近衛が、少数で狼子王国に侵入して捕らえて来たのである。


 その際、彼の国の王城は、陛下と城の警備兵との戦闘により半壊した。

 我々陛下の護衛は、巻き添えを懸念された陛下の御命令で、王城の外で待機していた。

 護衛としては情けない限りだが、陛下の攻撃に巻き込まれて命を失う訳にもいかないので、仕方が無い。


「これより、狼子王国と言う名の盗賊団の幹部の公開処刑を執り行う!」

「「「わあ~~~!!!」」」


 観衆から、興奮の声が上がった。

 縁座や連座で一族郎党公開処刑したい所だったが、如何(いかん)せん少数で連れ帰るには数が多過ぎた。


「盗賊だと?! 何たる侮辱!」


 狼子王国の王だった男が、盗賊呼ばわりに腹を立てて怒鳴る。


「集団で、金品や土地等を強奪する者共は、誰がどう見ても盗賊である!」

「「「そうだ。そうだ~!!!」」」

「ふ、ふざけるな! 我は、誇り高き狼子王国国王である!」

「盗賊行為が誇らしいとは、根っからの盗賊ではないか!」


 盗賊行為を恥ずべき事だと思っているなら、それをしておいて、どの面下げて誇り高いなどと言えるのか。


「豊かな土地に住まうお前等に、何が解る!」

「盗賊の心情など知った事ではない! お前は、盗賊に思いを馳せた事が有るとでも言うのか!?」

「我等は盗賊では無い!」


 盗賊に思いを馳せた事が有るとは、嘘でも言いたくないらしい。


「職に就いていようが身分が高かろうが、盗賊行為を行えば盗賊である! それとも、狼子王国では、強奪する者を盗賊とは呼ばぬのか!?」


 その程度の事が、何故解らぬのか。


「貴族が他領に攻め入り土地を奪おうとしても、盗賊とは言わん! 我が国では良くある事だ! 経験を積んでおるから、我が国の軍は強いのだ!」

「その強い軍隊は、お前等を助けに来ないようだが」


 強いと言っても、国軍ではなく領主の持つ私兵。

 他領との戦闘が良くある事なら、これ以上戦力を失いたくないと考えてもおかしくない。

 或いは、これを機に、自分達に好都合な新たな国王を立てようと考える領主もいるだろう。


「そもそも、国王に抑え込む力が無いから、国内での領地の奪い合いが頻発するのだ!」


 龍芯帝国では、領土の奪い合いなど先ず起きない。


「これ以上の問答は無用である!」


 陛下のお言葉で話は打ち切られ、いよいよ刑が執行される。


「殺せ~!」

「地獄へ落ちろ~!」


 観衆から死刑囚へ様々な罵声が飛び、興奮は最高潮となった。

 そして、首が斬り落とされると歓声と悲鳴が上がった。


 悲鳴を上げたのは、自分で思っていたより人間が斬首されるのを見るのが苦手だった者達だろう。

 心を病むかもしれないが、公開処刑の見物は自己責任である。


「ソウ。戻るぞ」

「は」


 私は、陛下に従い処刑場を後にした。




「漸く一段落だな」


 自室の椅子に腰を下ろされた陛下は、疲れたようにそう仰った。

 邪教徒は悪鬼に変化し、反乱に与した異民族は妖魔となって、其々討たれた。

 やるべき事はまだ山積しているが、一つの区切りが付いた事は間違いないだろう。


「ソウ。明日、良いか?」

「承知致しました」


 陛下と肌を合わせるのも、随分と久し振りだ。

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