見張り台詰所の会議室
アルバートル隊が詰める見張り台に行くには、彼等の食事を運ぶ名目を使うのが一番だと台所に行ってみれば、エレノーラとリリアナがせっせと彼等の大量の食事を作っている所だった。
そうだ、新婚であるエレノーラは一分一秒でもダグドの傍にいたいのだ。
「またダグド様は詰所に行っているの?」
「そう。モニークとシェーラが西の森に行っているでしょう。」
「嘘、そうなの?」
「えぇ。シロロちゃんとグリとウィンも一緒。みんなでご飯がいいかなって。あなた方が来てくれて丁度よかったわ。手伝ってくれる?一緒に食べましょう。」
「素敵ね。」
ただし、私は失敗したと確実に思った。
告白どころではない。
会議室のドアを開けたら、全裸のアルバートルが全裸の自分を私達に見せつけたのである。
もう、ぎゃあああああと、悲鳴をあげるしかない。
って、私以外は悲鳴のひの字も無かった。
アリッサはあの過去話で裸に見慣れているのだと胸が痛み、だが、リリアナが言った裸に見慣れている理由は釈然としなかった。
「私は子供の先生をやっているでしょう。粗相をしてしまった子供の着替えを手伝ったりはよくありますもの。裸ん坊を見たくらいで、今更驚きません事よ。」
いや、子供達の裸とアルバートルの裸は違うぞ。
凄く違ったでしょう!
私達は会議室から出て、あった事を話し合うことも出来ずに、かといってこのまま一緒に昼飯も出来ずに帰ることもためらわれて、気まずい気持ちで会議室や見張り台のエントランスからも遠い廊下でうじうじしていたら、リリアナが不穏な言葉を呟いた。
「アルバートルって裸になるのが好きよね。」
「え?」
「え?」
「え?」
ありがたいことに、私以外のエレノーラとアリッサまでも同じく驚いていた。
しかし、私達の驚きをもっと広げてしまいたいのか、リリアナはコロコロと笑い出して、もっと信じられない台詞を語り出した。
「あの人達、公衆浴場の露天風呂を使う時はいつもね、塀登り大会して遊んでいるのよ。みーんなプランプランさせたまま、目隠し塀を登って遊んでいるの。ほら、音楽室から見えるでしょう。男湯の露天風呂の塀。あの人達、塀の向こうに音楽室って建物があるって忘れているのよね、きっと。」
エレノーラは真っ赤になって両手で顔を覆い、あの馬鹿と嘆き、リリアナに謝罪をし始めたが、リリアナはのほほんとしたまま、今度みんなで酒の肴にして鑑賞する?と物凄い事を言い出した。
「ぜんっぜん気が付いてない彼らの馬鹿な姿が子供そのもので楽しいのよ。あら、本気でおバカさんって感じで。」
アリッサは参加しますと右手を上げ、私も今日失恋したら彼等の痴態を肴にリリアナと酒盛りをしようと右手を上げた。
きっと馬鹿丸出しの彼等の姿を見ることで、カイユーへの失恋の痛手も消えるような気がしたからだ。
ダグドが大切にして欲しいと願っているらしき純粋さも失ってしまうかもしれないが。




