第42話 悪意、錯綜
今話は第三者視点です。
その古代魔樹は、息を潜めて地中を移動しつつ、カルメラの村を目指していた。目的は村の侵略。当初はただ適当に攻めて侵略する予定だったが、村に鬼がいる事を察知し急遽作戦を変更。先にゴブリンを始末して力を付けた上で、鬼達を始末する方針を立てたのだ。
(待ってろよ餌共。お前らを食らいつくし、俺は更に強くなる。精々俺の糧になれる事を光栄に思え。ゲギャハハハ!)
しかし彼の作戦は、実行前から破綻する。
(っ!? 嘘だろ、この気配は!)
村にいた鬼達の中でも最も強い気配を放っていた鬼が、突然彼のいる方角へ全力で突っ走って来たのだ。
(まさか気付かれた? いや、ありえない。俺は地中にいて、気配遮断までやってるんだ。余程勘が良い奴でなきゃ見つけられはしない。しかし、これは………)
現在古代魔樹がいるのは、村から遠く離れた草原。周りには草しか生えておらず、必要が無ければ訪れる事は無いだろう。そんな所を全力疾走して、彼の元へ迫っている。状況から考えて、鬼の狙いは彼で間違いない。
(……………!!!)
凄まじい覇気を発しながら迫る鬼に、古代魔樹は戦慄する。速度から考えて逃げる事は不可能。こうなっては戦うしかない。
(敵は強大だが、勝てないわけではないな。もっと深く潜り、地中から根で攻撃すれば勝機はある!)
そう判断を下し、古代魔樹は地中深く潜ると、気配を頼りに鬼の位置を捕捉する。そしてその太い根を、鬼目掛けて思い切り伸ばした。
根は鬼の心臓に突き刺さる位置に出現する。これで心臓を穿つ事が出来れば、流石の鬼と言えど絶命するだろう。古代魔樹は勝利を確信したが、それはあまりにも浅はかな考えであった。根の先端は鬼に命中したものの、その皮膚を貫く事が出来ず、逆に鬼との衝突によって粉みじんに爆散してしまったのだ。
(………は?)
何が起きたのか理解できず、古代魔樹は間抜けな声を上げてしまう。その間にも、鬼は古代魔樹との距離をグングン縮めていた。
(カ、”呪詛刺突”!!)
立ち直った古代魔樹は、種族スキルの『怨嗟ノ咆哮』を根に付与し、大量の呪詛を纏った根を大量に出現させて物量と呪いによる殺害を試みる。並みの国の軍隊であれば全滅させる事も可能な技だが、相手が悪すぎた。
「はっ、温いな。この程度で攻撃してるつもりか?」
術も技も使わず、背中に担いだ大太刀を振るう事も無く、鬼はただ走り抜けるだけで根を破壊し、呪詛を蹴散らしていく。古代魔樹は気がおかしくなりそうだった。
(バカな! いくら鬼とは言え強すぎるだろ!? 一体どんなからくりで――――待てよ? よく見たらコイツ、精霊と同じ気配を纏ってやがる。もしや、コイツ鬼じゃないのか? と言うより、鬼からさらに進化してるのか? 鬼より上の存在って言ったら………鬼の精霊、”霊鬼” か!?)
ここで古代魔樹は、相手が霊鬼―――より正確には王霊鬼―――である事に漸く気付く。霊鬼のランクはSSS。最早戦いが成立するレベルですらない。古代魔樹は直ちにさらに深く潜り逃走を試みるが、もう遅かった。迫って来る霊鬼――――勇華が突如飛び上がると、背負っていた大太刀 ”地獄門” を構える。
「その面見せろコラァ!!」
勇華は落下しつつ ”地獄門” を突き出し、古代魔樹の真上の地面を穿つ。落下の速度を加えて威力を増した刺突は、大地を吹き飛ばし大穴を空け、地中数十メートルの深さで潜伏していた古代魔樹を露にする。
「う、嘘だろ!? 一撃でここまで穴を空けたのか!?」
あまりにも理不尽な暴力に古代魔樹は喚き出すが、勇華は気にも留めず古代魔樹の元へと迫る。そして古代魔樹の幹を鷲掴みにすると、まだ半分以上土に埋まっている彼を片腕で引き揚げ始めた。
「き、貴様! 俺を引きずり出すつもりか!?」
「あぁ。さっきので仕留めても良かったんだが、あたしが本気だしたら被害はこの程度じゃ済まないからね。トドメは上に放ちたいんだよ」
勇華は余裕の表情を保ったまま、古代魔樹を引きずり出していく。もちろんそれを黙って受け入れる筈も無く、古代魔樹は全力の抵抗を見せる。しかしその全ては、勇華の腰の ”酒豪瓢” から噴き出す闇色の酒に防がれ、勇華にかすり傷もつけられずに無効化された。
「オラ、吹っ飛べ!」
20メートルの巨体が有無を言わさず地中から引き摺り出され、そのまま天高く放り投げられる。勇華は即座に地上へ飛び出し突きの構えを取ると、再び照準を古代魔樹に合わせる。
「”鬼王牙突”」
”酒豪瓢” の酒と闇魔法を纏わせた ”地獄門” の刺突が、古代魔樹に炸裂する。古代魔樹は辞世の句を読む間も無く、顔面を木っ端微塵に吹き飛ばされ絶命した。さらにはそれに留まらず、その一撃は空を割り、上空の雲を吹き飛ばして快晴に変えた。
「やれやれ、『終炎』を使えばもっと早く片付いたんだがな。これで良いか?」
「えぇ、ありがとうございます、勇華様」
勇華の影からスカルが姿を現す。勇華が古代魔樹の討伐に行くと聞いた彼は自ら動向を志願し、彼女が古代魔樹を討伐するまでの間、彼女の影に潜んでいたのだ。
「”様” は要らない。それで、コイツをどうすんだ?」
「私の眷属に加えます。”不死者変換”!」
スカルの死霊魔法が発動し、古代魔樹が ”不死系魔族” へと作り替えられていく。『不死者支配』を使えば、死者を支配して眷属とする事が出来る。彼が勇華に同行したのは、古代魔樹を眷属とする為。『終炎』を使わずに討伐する用頼んだのも、肉体と霊魂の両方を揃えていた方が、より強力な不死系魔族へと変貌させられるからだ。
「う、うぅ………」
やがて、古代魔樹は樹系魔族の不死系魔族――――SSランクの ”幽霊古代魔樹” へと変貌を遂げた。吹き飛ばされた顔も元通りになり、生前と変わらない姿となっている。意識がまだ混濁している彼に向かって、スカルが声を掛けた。
「気分はどうだ?」
「あぁ………? 誰だお前は?」
「余はスカル。貴様の新たな主だ」
「主だと? 舐めた事を――――」
「控えよ、『不死者支配』」
「ぐぁぁぁ!!!」
不死系魔族の支配者階級が持つスキル『不死者支配』が発動する。不死者の王の支配に逆らう事が出来る筈も無く、幽霊古代魔樹は地面に倒れ伏す。
「これで立場は理解できたか?」
「ぐぅぅ………!!」
「口の聞き方にも気を付けよ。こちらの勇華殿はそれほどでもないが、余は言葉に甘くないぞ」
「くっ、分かり、ました………!」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべつつも、まだこの世に未練がある為彼は渋々従った。
「貴様は今この時より、余の眷属となった。その力をカルメラ様の為に使える事を光栄に思うが良い」
「カルメラ? 誰ですそれは?」
「余に名前をくださった偉大なるお方だ」
「ついでに言やぁ、あたしもそのカルメラの仲間だ。カルメラに手を出すなんて冗談でも言うなよ? 言ったら即たたっ切るからな」
「は、はい!」
幽霊古代魔樹は勇華の微かな殺気に怯え、その20メートルの巨体を思い切り低くする。
「勇華殿、こ奴の事は私めにお任せを。他に襲撃者がいないか、情報を洗いざらい吐かせておきます」
「助かる。ちょっと用事が出来ちまったんでな」
「成程、あそこにいる者共ですね。では、そちらはお任せします」
そう言ってスカルは、幽霊古代魔樹に尋問を始める。
「さて、おいお前ら! とっくに居場所は割れてんぞ? 敵対する意思が無いならさっさと出てこい」
勇華が何もいない場所に向かって呼び掛けると、突然空気が揺らぎ、蜥蜴の特徴を持つ人の姿をした者達が姿を表した。
「蜥蜴魔人か」
「は、はい」
「………何だ? 怖いのか?」
『当たり前でしょ!?』
蜥蜴魔人達は一斉にツッコミを入れた。先程の戦いを隠れて見ていた彼らは、勇華の圧倒的すぎる力にすっかり震え上がっていたのだ。
「そう怖がるなよ。見境なく襲うのはもう止めたんだ。いきなり取って食ったりしねぇよ」
「ほ、本当ですか?」
「本当だって」
わざわざ ”地獄門” を収納袋(ミカエル作)に仕舞って敵対心が無い事を示す勇華だが、蜥蜴魔人達は用心深く勇華を見据える。
「まぁ良いか。ところであんたら、何でこんな所にいるんだ? あんたらは本来水辺に住んでる筈だろ? 何でわざわざ草原に?」
「………ソイツに、村を滅ぼされたんだ」
先頭にいた3人の、中心にいた蜥蜴魔人がそう答えた。
「突然だった。いきなりアイツがやって来て、俺達の仲間を、次々と………!」
当時の事を思い出し、彼は嗚咽を漏らし始める。他の蜥蜴魔人も同様の反応だった。
「成程、それで仇討ちの為にここまで来たって訳か」
仮に戦闘になった場合、蜥蜴魔人達は古代魔樹に傷1つ付けられず全滅していただろう。勇華もそれは分かっていたが、仲間の仇を討ちたい気持ちは痛い程分かる為、それを口にする事はなかった。
「だから、あなたには感謝しているよ」
「別にあんたらの為にやったわけじゃない」
「分かっているさ。それでも、あなたが仲間の仇を討ってくれた事は事実だ。礼を言う」
蜥蜴魔人達は、勇華に向かって一斉に頭を下げた。これ以上ごねても面倒くさいと判断し、勇華はそれを黙って受け入れた。
「ところで、あなたは何故ここに?」
「この先にあたしらの村があってな。そこにコイツが迫ってたみたいだから、討伐しに来たのさ」
「村? この先に村があるのか?」
「あぁ、まだ小さな村だが、いずれは国に発展させる予定だ」
「成程、そしてそこの長をされているのが、あなたという訳か」
「え? いや、違――――」
「勇華殿」
そこへ、幽霊古代魔樹から情報を得たスカルが戻ってきた。
「奴から今回の襲撃の詳細を、知っている限り聞き出す事が出来ました。どうやら今回の襲撃、裏で糸を引いている者がいたようです」
「やっぱり黒幕がいたか。ただの現代魔樹ならともかく、古代魔樹なんて上位の奴がこんな辺境まで来るなんて、誰かの指示としか考えられん。で、その黒幕は誰なんだ?」
「それが、どうやら先史魔樹が絡んでいるようなのです」
「先史魔樹か。また大物が出て来たな」
「えぇ、奴らは古代魔樹の進化系で、ランクもSSですからね。カルメラ様から名前を頂く前の私では、苦戦は必至の相手ですよ」
「………そういえば」
スカルの話を聞いて、蜥蜴魔人の1人が何かを思い出したように呟く。
「アイツ、村に来た時に言ってました。『とりあえず、こっちは任務を果たせたか』って。まるで誰かから指示されてるみたいで、ちょっと引っ掛かってたんです」
「その襲撃についても、先史魔樹に指示されてやったと認めました」
「そうか。他には何か分かったか?」
「先史魔樹は複数の古代魔樹に指示を出しているらしく、既に複数の街や村が滅ぼされているようです。彼ら蜥蜴魔人の村も、そうして滅ぼされた村の1つでした。また、指示を受けた者の1人は、桃華殿が向かわれた街の方向へ向かったようですが………」
「まぁ、桃華なら心配は要らないか。それよりも問題は先史魔樹だ」
「ですね。わざわざこんな辺境まで刺客を送り込むとは、いったい何を考えているのやら」
「それもあるがよ………あたし、ソイツが誰かと手を組んでんじゃないかって思うんだよ」
「何故です?」
「ただの勘だ。根拠はない」
普通なら笑い飛ばされてもおかしくないが、相手は鬼の首領の勇華だ。もちろん杞憂である可能性も否めないが、無碍には出来ない話だった。
「そういや、アイツはどこに?」
「村の守りに加えました。既に主要メンバーには伝達済みです。さらに言えば、村の周りに現れた樹系魔族や花草魔族は、奴の支配下の者でした。今頃は襲撃も止まっている事でしょう」
「ほう。それは棚ぼただな」
「しかし、仮に勇華殿の言う通りだとすれば、今後また同じような襲撃が無いとも限らないでしょう。桃華殿とミカエル様にも、注意していただくようお伝えしておきます」
「頼む」
「それで、そちらの蜥蜴魔人達はいかが致しますか?」
「そうだなぁ………あんたら、行く当ては?」
勇華の問いに、集団の先頭にいた3人の中で、杖を持った少女が答えた。
「い、いえ。考えていません。その、仇討ちの事ばかり考えていたので………」
「じゃあ、一旦あたしらの村に来るか? 近くに川もあるし、それなりに環境は整ってるぞ?」
「良いのか?」
「あたしらの首領なら、多分オーケーしてくれると思うぜ。ちょっと聞いてみるよ」
「首領? あなたが長じゃ………?」
「あ? あぁ、そういやその話、尻切れトンボになってたな。あたしは村の長じゃない。長は別にいる。あたしもスカルも、ソイツに使えてんのさ」
「霊鬼の王と不死王がいて、さらにはそれを従える存在が長を務める村………?」
『とんでもない魔窟じゃん』
いったい自分達はどうなってしまうのか? そんな不安が蜥蜴魔人達の脳裏をよぎったのだった。
*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*
場所は変わり、ここはとある一室。その中で、金色の髪に豪奢な服を身に纏った青年がイラついていた。
「おのれぇぇぇぇぇぇ!!!!」
青年は大声を上げて、部屋に置いてあった家具類に八つ当たりする。八つ当たりされた家具は木っ端微塵に砕け散り、部屋はどんどん荒れていった。
「はぁ、はぁ………」
やがて男は暴れるのを止めたが、その瞳には未だ怒りが滲み出ていた。
(おのれぇ、何故だ!? 古代魔樹だぞ!? S+ランクの魔物だぞ!? それが何故2体も倒されるんだ!?)
青年は整った髪をグシャグシャと搔きむしり、尚も怒りが収まらない様子でいた。
「随分お怒りのようだな」
「っ!!」
青年しかいなかった部屋に、突然別の人物の声が響く。こちらも若い男で、瞳も、髪も、服も、全て緑一色で固められた、植物のような人物だった。本来なら侵入者として助けの1つでも求める所だが、青年は助けを求める事もせず、いきなり男の胸倉に掴みかかった。
「ヴェイル、貴様! よくもノコノコと私の前に顔を出せたな! 古代魔樹を使えば確実に制圧できると言うから、わざわざ名前を与えてやったと言うのに! 蓋開けてみれば何だこのザマは! 古代魔樹が2体も倒されているではないか!」
「確かに2体やられたが、他は生きて――――」
「やられた事が問題だと言っているんだ! 計画が完璧に進まない事が!」
青年のあまりの完璧主義っぷりにヴェイルは呆れるが、それを一切顔に出す事なく謝意を述べる。
「それは申し訳ない。どうも、アイツらじゃ手に余る奴らがチラホラいるみたいでな。倒された奴らは、運悪くソイツらにぶち当たったんだろうよ」
「何を他人事のように………! 分かっているだろうな? 貴様と結んだ魔法契約――― ”我が貴様に名前を与える代わりに、貴様は我の指定した場所を滅ぼす”。我は契約を履行したぞ? 契約を破れば、死ぬのは貴様だからな!」
「もちろん分かっているとも。それに、俺だって怒ってるんだぜ? いくら役立たずとは言え、可愛い眷属共をやられてるんだ。このまま終わらせる気はない」
ヴェイルから僅かに殺気が漏れる。その僅かな殺気に怯えて顔を青くする青年だったが、威厳を保つ為すぐに立ち直る。
「………分かっているなら、さっさと次の作戦を考えろ!」
「りょーかい」
そしてヴェイルは、最初からそこにいなかったかのように姿を消した。
*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*
ヴェイルが向かった先は、どこかにある地下室だった。壁、天上、床、全てが木の根で覆われ、数人の樹系魔族達が床に散らばった色とりどりの果実を拾い、色事に分けて籠に入れている。
「やれやれ、役立たず共め。アイツらのせいで、またあのバカの相手をする羽目になっちまった。………まぁ、相手を見る限り仕方ないとも言えるがな」
ヴェイル、もとい、先史魔樹には、自身の眷属たる樹系魔族を生み出す能力と、眷属の見聞きした情報を入手する能力がある。故に彼は、イリゼ、スララ、そして勇華の存在を認知しており、彼・彼女達の強さもある程度理解していた。
(あの赤髪の人間、そして王霊鬼。どっちもバケモンだ。真正面から挑んだら俺でも勝てない。逃げるのがせいぜいって所だな。スララとか言うミラクルスライムも油断ならねぇな。アイツの種族スキルは厄介だからな。倒すなら、俺自ら1対1で挑まねぇと。だが、色々始める前に、まずはこれだな)
ヴェイルは、赤い果実の籠と紫の果実の籠を樹系魔族から奪い取ると、両腕を木の根に変形させて籠を包み込む。そして赤と紫の果実を、籠ごと食らいつくした。
「ふぅ~~~………力が漲るぜ!!」
ヴェイルの言葉通り、彼の力は大幅に上昇していた。決して比喩などでは無く、果実を食べただけで力が数倍になったのだ。
「おい、お前ら。古代魔樹共にもこの果実を持ってってやれ。もちろん、今は待機してる奴らにもな」
『はっ!』
樹系魔族達が、ヴェイルの指示で一斉に動き始める。そんな彼らの様子を眺める者が2人いた。
「愚かだね、あなた達」
「急に得た力で、強くなった気でいるなんて」
部屋の壁に、少年が1人と少女が1人、木の根で四肢を拘束され磔にされていた。2人はヴェイルを見下し憐れむが、ヴェイルは意に介さない。
「それはお前達もだろう。そんな様になってんのがその証拠じゃねぇか?」
「この、人質取っておいてよくも!」
「そうとも! こっちには人質がいる。分かってるだろうが、妙な気は起こすなよ? お前らのお友達の命が掛かってるんだからな」
「「………っ!!」」
「はははっ! 良いね、その悔しそうな顔。上位の存在を手玉に取ってるみたいで良い気分だ! ふはーはっはっはっはっはっは!!!」
ヴェイルはひとしきり笑うと、再び部屋から姿を消し、どこかへ消えてしまった。




