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期日指定郵便  作者: 遊星族
第2章 のようなもの
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32/35

それを確かめる方法

「上様?」

 僕が目覚めた時、僕の顔を覗き込んでいた人物にそう言った途端

「たわけ!」

 こんな言葉が返って来た。確かにその人物は上様に良く似てはいたが、良く見ると眼鏡を掛けていた。

「東方不敗」

 目の前の人物のエプロンに書かれた標語を、僕は思わず口にした。目の前の人物は、見覚えのあるツインテールの猫耳メイドだった。

「ふっ、私としては、赤方偏移をお勧めしたのですが」

 もうひとりの見覚えのある無駄にイケメンな人物が、不敵な笑みを湛えながら述べた。

「エクスカリバー、それを言うならドップラー効果だろう」

 ツインテールの猫耳メイド、麻布十番ロズウェル氏が威風堂々たる態度で言い返した。

「ロズウェルさん達も、バミューダ虎夫に招待されたの?」

「たわけ」

「え?」

「果たし状が送られて来たのでございますよ、由宇作様」

「本来、あの厨二病男の余興に付き合う筋合いなど無いのだが、ここで黙らせとおかないと後々ウザくて仕方がないのでな」

「左様な事情でございますので、今回は由宇作様御一行とは、一時休戦とさせて頂きます。勿論、ツングースカ様にも了解は取ってあります。先程メールにて、由宇作様の事よろしく頼むと連絡を受けました故」

「まっ、そういう事だ。貴様もせいぜい大船に乗ったつもりでいるが良い」

 こんなに愉快な事はないとでも言いたげな笑顔が、麻布十番ロズウェル氏の満面に広がっていた。



「ところで……ここはどこなんですか?」

「聞いてないのか? ツングースカから。あの厨二病男が、ログアウト不能なゲームにやたらはまっているという話を」

「あっ! MMORPG! 本物そっくりホログラム使った!」

「ふんっ、やはり聞いているではないか」

「バミューダ虎夫様は宇宙のいたるところに、このような施設を作っているのでございます。そして各々の施設に宇宙セレブを招待しては、MMORPGに興じているのでございますよ」

「それぞれの施設がネットで繋がってるって事?」

「左様でございます、由宇作様」

「でもそれじゃあ超光速通信になっちゃうと思うんだけど。超銀河郵便連盟に検閲されて通信切られちゃわないの?」

「超銀河郵便連盟が通信を切るのは、あくまで因果律を崩壊させる恐れのある情報が、光速を超える場合のみだ。そしてバミューダ虎夫はウザいくらい、そんなヘマはしない男だ」

 ロズウェル氏は忌々しそうに述べた。ロズウェル氏らの説明によると、バミューダ虎夫は本物そっくりホログラムで出来たこれらの施設内部を、あたかも仮想空間のようにシミュレートし、ネットで繋がった各々の施設を、ひとつの仮想空間として共有しているとの事だった。

「要するに別の施設にいる連中は、本物そっくりホログラム製のアバターで、こちらの施設に出現するという寸法でございますよ」

「勿論逆もまた然りだ。おかげで遠く宇宙に散らばっている連中が、あたかもひとつの世界で冒険をしているような気分を味わえる。多忙な宇宙セレブにはうってつけの娯楽だ」

 この説明を聞いて、僕は頭の中にある疑問が浮かんだ。

「もしかして……今、目の前に見えているロズウェルさん達もアバターなの?」

「ふんっ。それを確かめる方法は簡単だ」

 そう言った途端、ロズウェル氏は僕の頬を摘んで引っ張った。

「ててっ!」

 僕は思わず叫び声をあげた。

「やはりな! 佐藤由宇作、どうやら貴様と我々は同じ施設にいるようだ」

 ロズウェル氏は不敵な笑顔で僕の頬から指を放した。



 ユニバーサルランドで突如黒服にサングラスの男達に囲まれた僕は、睡眠光線で眠らされてこの場所まで運び込まれたようだ。しかし……

「睡眠光線って、感情的になってる相手じゃないと効果ないんじゃ? 僕はあの時、怒りに震えてたわけじゃなかったけど」

「より正確に言えば、パニクってる相手に効果があるのでございますよ、由宇作様。故に怒りに震えている者以外にも、突如、驚きと恐怖の入り混じった状態に陥ってしまった者にも、効果があります。先日のパーティーの時の宇宙セレブの方々が、良い例でございます」

 言われてみればそうだった。あの時、上様がステージに上がってしまい、一人取り残された僕をいきなり怪しげな男達が取り囲んだ。確かにあの瞬間の不安と驚きは、睡眠光線に効果をもたらすには十分だっだ。

 しかしそうだとすると……

「ここって地球のユニバーサルランドの中なんですか?」

「残念ながら、ここは地球ではございません、由宇作様。地球から75万光年程離れた、バミューダ虎夫様所有の施設のひとつでございます」

「……」

 僕は絶句した。

「まあ、今回はツングースカの奴とは休戦中だから、貴様を地球に無事送り届けてやっても良いのだがな。だがしかし、ひとつ厄介な問題があってな」

「厄介な問題って?」

「ご存知だとは思われますが、由宇作様、我々この世界からログアウト出来ないのでございますよ」

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