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首吊り死体が呪う村、痣のスミレの狂い咲き  作者: 藤野
第四章 隠された過去
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あれは誰?

 どうしよう……。


 ——ザッ、ザッ。


 考えている間にも足音は近づいて来る。


 ——ザッ、ザッ。


 ええい、こうなったらお墓に隠れちゃえ!

 すみません、失礼します……っ!


 冷たい墓跡に背中を付ける。息の音も聞こえないように、必死で口を押さえながらじっとする。足音は、次第に近くなってきた。

 こんな状況なのに心臓は太鼓のようにうるさい。だから()()に気づかれるのではと思ってしまい、もっともっとうるさくなる。

 静かにしろ、静かに、お願いだから気づかれないで——!


 ——ザッ、ザッ。


 足音がちょうど僕の真後ろ辺りを通る。

 ここで気づかれなければ大丈夫だ。

 ここで……。


 空気が張り詰める。次の足音がするまで一瞬なはずなのに、何分にも感じられる。

 本当はこちらを覗いているのではないか。

 次の一歩で急にこちらへ来るのではないか。


 お願い——!


 ——ザッ、ザッ。


 安堵して息を吐く。それが聞こえていたのではとぎくりとしたものの、足音は続いていた。そろそろ上に着く頃なので、僕は上から見ても見えない位置に移動する。

 そして、興味本位で一瞬見てしまった。


 白い足首だった。か細くて、健康そうな白い足首だった。そこしか見えていない。靴は何を履いていたのか、服はどんな服を着ていたのかは見ていない。

 怖くて仕方がないはずなんだけど、少し満足感があった。


 ——ザッ、ザッ。


 ()()が動き出した。どうやら右手に向かっているようだ。……あれ。

 右手は木しかないぞ。……僕の考えを読んで?

 それとも縄垂らしも御神体を見に……?


 疑問が頭を駆け巡る。


 その間も足音は聞こえる。


 ええい、ままよ!

 思い切ってお墓の影から飛び出し、あれの後をつけることにした。

 ぶわっとあれの全貌が目に入る。

 そして仰天した。


 女……?


 そこには肩くらいまである黒髪を垂らして、首からは縄を垂らして、死装束を着た縄垂らしがいた。

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