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「私はヒロインだから幸せにならないといけないのよ!」
そう叫びながら無理やり連れてこられたのは牢の中、投げ捨てられらように入れられた
「痛い!何すんのよ」
「黙れ、王のご命令だ」
そう言って突きつけられた剣に言葉が出なくなる。
「なんで私ばっかりこんな目に」
泣きながら呟いたその声を誰が聞いてくれるのだろうか
わたしには前世の記憶がある。
前世では普通の学生で家族仲も良かった、でもとある事がきっかけで全てが壊れてしまった。
家族で外食する為、車で出かけていた時の事、車の前に人が飛び出してきた。その人はOLのようでスマホを見ていて赤信号に気づかなかったようで、飛び出してきたのだ、とっさのことで父も、反応できず轢いてしまったのだ
それがきっかけで人殺しの娘のレッテルを貼られた私は学校でいじめにあい自殺した。
両親には悪いと思うがあの日以来、塞ぎ込んでしまった二人には相談出来なかったのだ。
それでも好きな乙女ゲームのヒロインに転生したことで2人に報いるためにも幸せになる事を努力した。勉強も運動も色々な事を頑張った。攻略対象者達のトラウマも知っているので私のようにならないよう解消するのを手伝ったりもした。
攻略対象者達とも仲良くなりそれなりに学園が楽しくなってきたそんなある日、私は嫌がらせにあい始めた。まあシナリオを知っているしされることもわかっていたので耐えられたし、いじめの主犯もシナリオで知っていたので攻略対象者に聞かれた時に
「テレサ様だと思います」
とも答えておいた。
だから本当に知らないのだ自作自演の事もいじめの主犯がテレサ様じゃないことも。
「おい、クリス様がお会いされるそうだ」
そう衛兵に言われ手枷をつけられ連れてかれた部屋には第一王子のクリス様がいた。
「皆、下がってくれ」
「しかし!」
「いい、私が小娘一人にどうかされると思っているのか」
「…かしこまりました」
クリス様そう言って衛兵達を下がらせた
「君の罰が決まった」
「……」
「隣国の貴族に責任を持つから君が欲しいという者がいてね。まぁ悪い噂はあるが、君には隣国に行ってもらう拒否権はないよ」
怖い、そんな心の声が聞こえているのかいないのか彼は笑みを浮かべながら
「じゃあね、君のお陰でテレサが手に入ったよ」
そう言ってドアを閉めた
その時この一連の騒動の黒幕がわかった気がした。
「待っていた。私の名はウィン・ゴールド」
人を殺せそうな顔で、無愛想に名乗ったウィン様は隣国の方でパーティーが終わってそのまま隣国に帰るようだ。
「なぜ私を引き取るのですか?」
どうせ酷い事をされるのだろうと思いながらも聞きたかったことを聞いてみた。
「君は嘘をついていなかっただろう」
物凄い怖い顔でいわれたので、少し固まりながらも答える。
「な、んでわかるのですか?」
「強引で悪いが君を嫁にもらうつもりなので、そのつもりで聞いてほしい」
えっ?嫁?
「私は嘘を見破る力がある。国王には、わかってもらっているが、他のものからは気味悪がられてな嫁がおらなんだ、その上この顔だ正直どうしようか迷っていた」
嘘を見破る力など今の私にとっては有難い以外にない
「やってないという君の言葉に嘘はなかった、むしろ第一王子のあの男こそ嘘を付いている、偽造できないのとこだ。王族以外いじれないのは真実だったから彼が偽造したのだろう」
悔しくて解ってもらえて嬉しくて涙が出ていた。
「それで君は私の嫁になってくれるか?」
「確定なんですよね?」
「いや、君がどうしても嫌ならどうにかする」
人を殺せそうな顔でそんなことを言いってくるウィン様に精一杯の笑顔で答えた。
「私をこの王国から連れ出してお嫁さんにしたください」
◆◆◆
「どうだ、ウィン、妻がいる気分は、お前には縁がないと思ったからな」
「最高ですね。早く帰りたいです」
「それで、隣国のバカはどうなんだ」
「あれはダメですね王になったクリスはテレサのことしか見えていなく国民の不満が爆発しそうですし」
「なら、飛び火する前に国民達に力を貸してやれ」
「御意に」
数年後一つの国が地図からなくなった。