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そう言えばこんな友達がいた。
"私に憑かれてみませんか
あなたの誕生日の十六時に歩道橋のどこかに立っていてください。
会いにいきます"
出会いのきっかけはネットの交流掲示板にこんなことが書かれていたことだった。その時はまだ私も十一歳で、三日後に十二歳を迎えようとしていた。
そして、三日後、歩道橋の真ん中で手を広げて、私は待った。どうせいたずらに違いないと半ばバカにしながら。
十六時を告げる町内放送が街中に響いたその時、誰かが私を押し倒した。
私の目に写った違う誰かの目には星が浮かんでいた。自分よりは三歳ほど幼い顔つきでにんまり笑っていた
「会いに来てくれたんだね!うれしい!」
誰かさんは私を力いっぱい抱きしめた。
その瞬間、私は歩道橋の冷めた地面に寝転がっていた。顔いっぱいにオレンジの空が降りそそいでいた。
十三も十四も十五も私はその誰かに会いに行った。誰かさんはいたずらっ子の様で背中側から抱きついたり、上から降ってきたりとめちゃくちゃな再開をいつもするのだった。
「君は誰なんだ?」と問いかける前にいつも消えてしまう、その度に何も無くなった空間を手で探ってみるが、得られたものは何一つ無かった。
それから何十年か経った。久しぶりにあの歩道橋へ立つ機会があり、丁度その日は誕生日だったので、私は午後四時を待った。四時を迎えて、私の手に違和感があった。風では無い、して病気や生理現象の類いでも無い。明らかにこの熱は誰かが手を握っている。今にも外れてしまいそうなか弱い力で。
「おめでとう、あなたへそれだけです」
聴こえてきたそれは確かに何度も会ったあの声だった。
「待って…行かないでっ!」
私は思わずそう叫んだ、だが、手にはもう熱は無かった。いや、ひとりぶんだけ
ひとりぶんの熱だけはびりびりと手のひらいっぱいに流れていた
二十四を迎えたその日のことであった




