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入社だよ!全員集合⑤

「さぁ、じゃあ始めましょうね。先ずは年長者の私から。笹部 美和(ささべ みわ)と申します。お婆さんだけど、みんなに頑張って着いていくから、よろしくね」


あの後、あの不機嫌な奴も含めて3人程別室に行こうと束内さん達の元へ向かおうとしたが、この笹部さんにまぁまぁと引っ張られ、今は何とも言えない表情で10人集まっていた。なんというか、あのお歳の方に無下に突っぱねるまでの奴じゃなくて安心した。最初は笹部さんにあいつが食って掛からないかヒヤヒヤしたもんだ……


笹部さんを筆頭にみんなで順番に挨拶していこうという話になっている。正直後ろの履歴データも気になるところではあるんだけど、先ずは、と笹部さんから強い勧めを受け開始された。


笹部さんの次、左隣に座っているのは……あれ?なんて読むんだろ。履歴データの名前欄に皆デカデカと名前が表示されているんだが、読めないぞ……はぁ、漢字力が欲しい。


「はい、私ですね。御薬袋 雪(みない ゆき)といいます。実家が大昔ですがそこそこの薬師をしていたそうで、珍しい苗字になっちゃいました。自分で色々作ったりするのが大好きで、これからこの特務課で頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いします」


つらつらと挨拶し、深々とお辞儀する御薬袋さん。なんというか深窓の令嬢……ちょっと違うかな。こう、儚く吹き飛びそうなんだけど、意外と根強い花、みたいな雰囲気の女性だ。


黒髪ロングヘアー・大きい(身長ではない)・お淑やか、の、絵に描いたような大和撫子。心なしか他の男性メンバーの表情、というか鼻の下な、みんな気をつけましょうね。



次に回ってきたのはなんというか……失礼な話、暗い。とても暗い。束内さん達の説明を聞いているとき以外では顔を上げているところを見ていない。


肩にかかるくらいまでの黒髪を後ろでまとめる、いわゆるポニテってやつだが、いかんせん髪はばっさばさ、目にかかりまくりの前髪とあまりお手入れはされていないようだった。元々入室時に見かけた時、176㎝の俺よりも頭3つ分身長が低かったように見えたが、今は椅子に座り、更に怯えたように体を縮こませているので一層小さく感じる。



「……あ、あの。わた、私……え、と」


順番が回ってきたので頑張ろうと口を開いたはいいが、気持ちが追い付かなかったのだろう。……みるからにこういうの苦手そうだし、なんだったら彼女が一番あのまま帰りたかったのかもな。


「ゆっくりでいいわよ、頑張りなさい」


見兼ねた、というよりは見守るような声色で促す笹部さんに少し後押しされたのか、ゆっくり話し始める。


「……下野 愛実(しもの まなみ)、です。よ、よろしくお願いしましゅ!!」


噛んだ。


「ありがとう、よろしくね愛実ちゃん」


瞬間、真っ赤になった下野さんを笹部さんが小さな拍手でフォローする。俺や道山さん達も揃って控えめに拍手。驚いたのは下野さんの隣、つまり順番が次の金髪ヤンキーも拍手していた。いやお前マジか、結局いいやつなんか。


「あ?んだよ、お前。文句あんのか」


「ごめんごめん。ちょっと意外だったと言うか……」


俺の視線に気づいたのか睨みつけてきたので素直に謝罪する。見た目に騙されちゃだめだな、うん。


「あたり前だ。どんなやつだって頑張ったんだったらすげーんだよ」


「素敵な考え方ね、お名前は?」


「……砂塚 悠(すなつか ゆう)だ。……まぁ、よろしく」



笹部さんスマイルには毒気を抜かれるのか、砂塚くんも早々と着席し、何とも言えない表情だ。さっきの件もあってか、周りからも少し大きめの拍手があり、気恥ずかしかったのだろう。


次は……何というか、すごく。すごく偏見なんだけど、俺の審美眼が告げている。あの人は腹黒い、と。

笹部さんほどでは無いにしろ、高そうなパリパリのスーツ。人の良さそうな笑顔。姿勢もよく気品も有る、ぱっと見どこかの若手社長とか言われても遜色ない。


「じゃあ次は私だね。秋月 孝太郎(あきづき こうたろう)といいます。見た感じでは笹部さんに次いで年長者になるかな?これからよろしくね」


THE・ホワイト。ホワイト過ぎてなんとなく近寄りがたい雰囲気があるが、バックのスクリーンの経歴はすごい。某大手企業のコンサルタントや個人で色々事業に手も出しているようである。高身長・爽やか・男前、と同じ男としてぐうの音も出ないな、これは。現に女性組なんかは見る目が違う気がする……被害妄想なのかもしれないが。


また拍手が上がり、次はいよいよ俺の番だ。



「えー……初めまして、識守 蒼司といいます。特に目立って特技とかは無いんですが、ネットゲームは結構やってまして、思わず応募していました。楽しい職場にできればと思いますので、みなさんどうかよろしくお願いします!」


よし!なかなかの好感触だ、ちらほらみなさん拍手してくださってるし、これ以上ないほど無難に行けたと思う。言ってて特技がないってどうなんだとは思ったが、まぁいい。


「…………おぅよ」


よーしわかった、彼はあれだな。ツンがデレなんだ。確定、なんだあいつテンプレだなぁ。一応彼の方にも「ありがとう」と言っておくと、視線を逸らされてしまった。きっとあんな性格だから誉められなれてないんだろうなぁ……


で、俺も着席したということで、お次は……


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