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前編

私は不細工だ。

鼻はあるのかないのか分からないほどぺちゃんこに潰れているし、目は糸のように細い。

集中して授業を聴いていてもよく教授から居眠りしていると勘違いされて怒られる。

額はつるんと広く、髪の毛は鳥の巣のように爆発している。

どんなに美容室に行って真っ直ぐに伸ばして貰っても三日と経たずにまたくるくるとうねり始める。

体型は痩せ気味なのに顔はやたらとデカくて頬は下膨れ。


どこもかしこもアンバランスで、本当に不細工としか言いようがない。

それでもこれが、私だ。

もう少しだけでもバランスの取れた容姿をしていたのなら人生もっと楽だったろうなとは思うが、大きく悲観したりはしていなかった。

人間、外見だけが全てじゃない。

見た目が悪いのなら、その分内面を磨けばいいだけだ。


去年突然事故で亡くした両親はよく私に言ってくれてた。

————世間がなんと言おうと私達はあなたが世界で一番可愛いんだよ、と。


こんな私にだって愛してくれる人達が居た。

きっと両親以外にも私を受け入れてくれる人がいるはずだ。

両親の遺してくれた言葉を糧に必死で前を向いて生きてきた。


でも、もうダメかもしれない。



「え?」


人生で一番勇気を出して、告白した。

彼にOKされるなんて図々しいことを思ったりはしない。

ただこの想いを知って欲しかっただけ。


「突然なに言い出すんだよ、あははは」


でもまさか想いを打ち明けることさえ拒否されるなんて思わなかった。


いつも道化役に徹している私はよくこの容姿を笑われる。

そんな中で唯一私の容姿をからかわない男の子が彼だった。

ゼミの課題を皆で取り組み遅くなってしまった時、私は暴漢に襲われる心配がなくて安心とか暴漢の方が逃げ出すとかいう話題で盛り上がっていた。

落ち込みそうになる自分を奮い立たせて、場を盛り上げる為に戯けた調子で怒ってみせる私。

和気藹々とした雰囲気の中、彼だけが真顔で女の子にそんなこと言うなよと窘めてくれた。

それがどんなに嬉しかったか普通の女の子には分からないだろう。

始めて、女の子に生まれて良かったと思えた。


それから私の中で彼が特別な人になったのは言うまでもない。

そんな私を女友達は目敏く見抜く。

面白そうに告白を勧める彼女達。

こんな不細工が一丁前に恋なんてしたものだから、そりゃあさぞ面白いだろう。

しかも相手は男女共に人気の高い彼だったから尚更だ。


彼女達が純粋にこの恋を応援していないことを知っていて、背を押されるままに彼に想いを告げた。

返事が駄目なことは承知していたが、告白することにより自分の中の何かが前進する気がしたから。


でも結果は予想よりもずっとずっと酷いものだった。

好きだと告げる私に、彼は一瞬物凄く困った顔をした後に笑いはじめた。

私の告白を冗談として済ませてしまいたいらしい。

私みたいな不細工は告白することさえ許されない。

せめて私がもう少しマシな容姿だったのなら、あなたは普通に告白を受け止めて断ることだってしてくれただろうに。


「深谷ってほんと面白いよな」


こんなに必死に演技させるしか出来ない不細工さ。

違うの、あなたを困らせたいわけじゃない。

好きな人に迷惑をかける自分が恥ずかしい。

両親がくれたこの顔を初めて恥じた。


「うん、ほんの冗談。面白かったでしょ」


軽い口調と精一杯の笑顔を作ると、彼はあからさまにホッとした。


「やっぱり冗談だと思った。あ、そろそろ授業始まるな。行こう」

「先に行ってて。私ちょっと用事があるから今日はもうサボるよ」

「そっか、じゃあまた明日」


彼の後ろ姿に手を振りながら、私はボソリと呟いた。


「もう、消えちゃいたい……」


糸のように細い目をそっと閉じると、目尻に溜まっていた涙が雫となり一筋頬を伝った。





********



今日は家に帰って泣き通そう。

そう思ってゆっくり目を開け、そこに広がる景色に一瞬思考が停止した。


「おおおっなんというお美しさっ!」

「まさに美の神の化身そのもの!」


なになに、なんなの?

誰この人達。

え? ここさっきまで大学の裏庭だったよね?

なんなのこの広い部屋。

激しく混乱している私に見知らぬ人達は興奮した様子で告げる。


「「「ようこそおいで下さいました、女神様」」」








どうやら私は拉致されたらしい。

それも異世界に。

干ばつが続き疲弊しきったこの世界に豊穣と美を司る女神を召喚したつもりが、やって来たのは異世界の私。

彼らは拉致したばかりか、雨を降らせてみせろと迫ってきた。

勿論私にそんな力はないし無理だと言ってみたが、実際数時間後にはポツポツ雨が降り始めていよいよ私=女神説は決定的になってしまった。

雨が降るのは半年ぶりだったらしく涙を流して狂喜乱舞し、五体投地の勢いで感謝されるものだから拉致について強く怒ることもなんだか出来なくて。

ただの偶然だと主張しても認めてはくれない。

拉致されて一ヶ月が経過した今では、雨は三日に一回と良い感じに降り続けるものだから誰も私の話なんて聞いてくれなくなった。


最強の雨女認定を受け女神として祭り上げられた私は、やれ美しいだのやれ麗しいだのとあからさまなお世辞の嵐に日々悩まされている。


目が合っただけで鼻血を勢いよく噴き出したり、笑いかけると硬直したまま気絶したり。

あまりに大袈裟過ぎるパフォーマンスの連続。

美しい女神を召喚したはずが実際にやって来たのは、雨は降らせど不細工な私。

何かの嫌がらせなのかと思い悩んだこともあったが、美辞麗句を送る彼らの瞳はいつもとても真剣だった。


だからこれは強制的にこの世界に引きずりこんだ彼らなりの精一杯のアフターケアであるのだと解釈した。

確かにこんな不細工な私は誰かに容姿を褒められたことなんて一度もなく、それがどんなにオーバー過ぎるものでも少し嬉しかったりするのも事実だ。

美とは正反対に存在する私の容姿をここまで褒めちぎる彼らの苦労に苦笑しか出ないが。


王宮で召喚された私は王子様や逞しい騎士団長、若き宰相や年上のプレイボーイな公爵様に熱烈なプロポーズを受けた。

更にはグラマーなメイドさんや清楚な姫様まで、抱いて欲しいと迫ってきたではないか。


「愛しております女神様」


全員が全員、熱い視線で愛を囁く。

これも私を気持ち良く女神としてこの世界にとどめておくことへの努力だと思うと涙ぐましいものがある。

そんなパフォーマンスとは分かっていても、彼らにはお断りを入れている。

もし愛の言葉の中に極々僅かでも好意が含まれてたりしたら、きちんと向き合いたかったから。

こいつ何真面目にとってんの? お前みたいな不細工に惚れてるわけがないだろ。

そう言って笑われるのを覚悟したが、彼らは皆心底悲しそうなガッカリ顔をしてくれた。

私に断られるなんて屈辱以外の何物でもないだろうに、良い人ばかりだ。



そんな彼らにある日尋ねた。


「ねぇ、私いつ帰れるの?」


彼らの動きがピタリと止まる。

互いにアイコンタクトを取り合うと、代表した王子様が言い難そうに口を開く。

ある程度予測していた言葉を聞いた私は—————





********



「げへへへへ、こりゃあ涎もんのいい女だ」

「うひひひひ、まさかこんな別嬪が手に入るとはなぁ」

「ぐふふふふ、たっぷり可愛がってやるぜ」


………なんだこの状況。

なんでこんなことになったのか全然分かんない。

いきなり召喚された時よりもっと意味不明なんですけど。

細い目を頑張って皿のように丸くして固まっている私に群がり、下品に笑う男達。



王子様達から帰還の方法は存在しないと聞かされた私は、彼等の謝罪の言葉も右から左へ流し放心した。

元の世界に帰れない? 方法がない? 私が居るだけで、この世界が潤うからどうか一生居てくれ? 私って雨雲製造機か何かなの? 本当に勝手な人達だ。

でも、でもだよ。

元の世界に私を待ってくれてる人って居るのかな? 少しは心配してくれているだろうけれど、きっと時間が経てば忘れてしまう。

そんな人間関係しか築けなかった自分が悪いんだ。

しかしだからと言ってここの人達とも上手くやる自信はない。

私は被害者で彼等は加害者だから。

根底にその思いがあるから、私はきっと彼等を受け入れはしない。

どこに居てもひとりぼっちだ。



少し考え事をしたいからと王宮の庭へふらふらと散歩に出た。

いつも着いて回る彼らも気を遣って独りにしてくれたので、遠慮なく感傷に浸りながら素晴らしい庭園をフラついていたのだけれど。

見事な薔薇の花の匂いを嗅いで暗く孤独な心を落ち着かせようと、ペシャンコの鼻を薔薇園へ近付けた時である。

突然垣根からニョキッと大きな手が生えてきて私へと掴みかかった。

そうして訳も分からぬ内に大きな袋状の物でスッポリ身体を覆われて誰かに担がれた。

声を上げる間もなく、そのままかなりの時間揺られていたと思う。


酸欠の袋の中からようやく解放されて、大きく呼吸を繰り返す。

少し落ち着くと、周囲の様子に気付いた。


見知らぬ男達に囲まれていたのだ。

そうして、人生二度目の拉致に合ったのだと知る。


「な、なんて美しい女だ……まるで天使じゃねぇか」

「流石は美貌の園の王宮。こんな人間離れした女までいるのかよ」

「目が潰れちまいそうだぜ」

「こんな上玉だと一体いくらの値がつくんだ?」

「もちろん味見はしていいんだよな!?」

「いやいや! 売るなんて勿体無さ過ぎるだろっ!」


可笑しい、絶対に可笑しい。

何が可笑しいって?

そんなの勿論…………


「「「「ぐへへへへへ」」」」


この突然拉致して私を囲っているイケメン集団だ。

なんか涎垂らしてるし、ハァハァ言ってるし、薄汚れてて汚いし、鼻息荒いし。

私を囲っているのは全員が全員目を見張るようなイケメン達なのに、所作が全然いけてない。

なんかキモい変態のような目で私を見てくるのはなんでだ?


「あの………」


恐る恐る声をかけると、一瞬全員の動きが停止した。


「うぉぉおおお声まで天上の音色ってどういうことだぁぁあああ!!」

「こんな声で俺の名前を優しく囁かれてぇぇぇ!!」

「俺はこの声で叱られてぇぇぇ!!」


声……?

この人達の言ってる声って、私のダミ声のこと?

あんまりお酒は得意ではないにも関わらず酒焼けみたいに掠れてしまっている、容姿同様不細工なこの声のことじゃないよね?

いやいや、それはないか。


「い、一体なんの目的で、私をこんな所へ?」


薄暗くてよく分からないが、どうやら室内ではあるらしい。

でも床は砂だらけで埃っぽいし、ベニヤ板が剥き出しの壁はボロボロであまり清潔感はない。


「目的なんて一つだろうイヒヒヒヒヒ」

「命がけで王宮へ忍び込んだ甲斐があったってもんだぜドゥフフフフ」


だからその笑い気持ち悪いって!

いくらイケメンでも許容範囲というものがあるだろう。

目の前の残念なイケメン達を前に引き気味な私は、少し後ずさる。


「一緒に楽しもうぜ」


その言葉を皮切りにイケメン達の手が一斉に伸びる。

女神用に誂えられた上等なシルクのドレスのスカートの裾に手をかけられ、下からビリビリと裂き始めたではないか。

あまりに簡単に裂ける様にも驚いたが、それ以上に何故このイケメン達がこんなことをするのか分からない。

目を血走らせ興奮に酔ったかのように赤らめた顔の数々。

サッと肝が冷えるのが分かる。

まさか……まさか………


「いやぁ! やめてっ!」


暴れて手足をバタつかせようにも至る所から伸びる手により少しも動けない。

シルクのドレスは最早原型をとどめてはおらず、とうとう下着姿を晒す羽目になった。


「………綺麗だ」


一人が呟くと、そこかしこでゴクリと喉を鳴らす音が響く。

伸ばされていた腕はそのまま私を拘束していたが、それ以上に何かされることはなく只々固まっている男達。

凝視されていることに私は身体の芯から震えた。


「私は女ですっ! スカートを穿いた男ではありませんっ!」


小学校低学年の時、今と同じように男子に裸にさせられそうになったことがあった。

当時の私は自分の容姿に対する周囲の反応をどう処理していいのか分からずに、言われることに一々俯く暗くて大人しい少女だった。

それがクラスの男子を助長させ、「こんな不細工な女がいる筈ない。男に決まっている、確かめようぜ!」という流れから服を剥かれ始めたのだ。

その時は幸い教師に発見されてことなきを得たが、事件を知った両親に随分と心配かけた。

それからだ。私が容姿を悲観しすぎずメンタルを鍛えようと誓ったのは。

もう両親を悲しませたくなかったから。


しかしトラウマというのはそう簡単にはなくならない。

この世界に来るまで制服以外でスカートを穿くことは一切なくなったし化粧なんてしたこともない。

女の子らしい格好を意識していると思われるのを酷く恐れる故の自衛だ。

女としては認めて貰えなくても、人間としての尊厳は守れるよう強く生きよう。


そう決意したのに、このイケメン達は面白半分、怖いもの見たさでこんな不細工な生物を観察したいらしい。

私だって! 身体も心もただの女なのにっ!


「っ、やだ……見ないでよ………ふっ、ふぇ…………」


情けないことに我慢出来ずに泣き出してしまう。

自分よりも遥かに容姿の優れた人間達に信じられないものを見たとばかりに凝視されて、悔しくて恥ずかしかった。


「ぅぅっ、ふっ、っぅ……」

「「「「…………………」」」」


声を押し殺し泣きじゃくる私に彼等は口を噤む。

ただ泣きながらもなんとなく彼等の戸惑いが感じ取れた。

それはそうだ。こんな不細工の泣姿なんて戸惑うしかない筈だ。


「な、なぁ……俺達みたいなのが、この人に触れていいのか?」

「……駄目だろ。この人は穢しちゃいけねぇよ」

「ああ。神をも恐れぬなんて言われてる俺達だが、そんな悪行を犯す勇気はねぇな」


何やらボソボソ聴こえるがそんな事を気にする余裕はなく嗚咽を漏らし続ける。

ペシャンコの鼻は赤くなり、小さい目からは涙が止まらない。下着姿でなにやってんだか本当に情けない。


気付くと拘束は完全に解かれており、少し冷静さを取り戻した私は涙に濡れたグチャグチャの顔面を手の甲で拭う。

そうして漸く落ち着いてくると、嘲笑も何も言ってこない彼等に違和感を感じ始めてチラリと視線を向ける。


「だが、俺もう、限界……」

「お、俺もだ……」

「同じく……」


彼等は全員真っ赤な顔をしてワナワナ震えていた。

なんだろう。

予想と違う反応に首をこてんと傾げる。

その後でああ、しまったと後悔した。

普段は周囲をイラッとさせないよう女の子らしい動作をしないように気をつけていたが、首をこてん☆なんて……気が動転していたらしい。

怒って殴りかかって来ないだろうかと怯えたのも束の間、私の視界にどえらいものが飛び込んできた。


「「「「ぐはっっっ!!!」」」」

ブシュュューーー


「えぇぇぇぇぇ!?」


全員血を噴き出してその場に倒れてしまった。

しかもただの血ではない。鼻血だ。

どうしようコレ。私のこてん☆は血圧超急上昇しちゃうほど殺人的なおぞましさだったのか。

私は逃げ出すのも忘れて途方に暮れた。


「おいお前ら! 王宮に忍び込んだ後の報告はどうしたっ!」


突然乱暴に扉が開き、この悲惨な室内に怒声が響く。

私は新たな人物の登場に焦った。

何故なら今私は惨めな下着姿。

そして血の海に大量のイケメンが沈んでいる。

私の仕業であることは疑いようがない。

不細工の下着姿はそれほど強烈だ。


「あの……ち、違うんです。これはその……」


下着姿のせいではなく、こてん☆のせいだと説明しようとして口ごもる。

どっちでも同じだろ。


「…………」


突然の参入者をオロオロと見やると、そこに居るのはとんでもない美形だ。

血の海に沈む男達もイケメンだが、彼は頭一つ飛び抜けた美貌を持っていた。

きめ細かい肌にサラサラな金髪。

吸い込まれそうなほど澄んだ青い目に綺麗な鼻筋。

全てのパーツのバランスが完璧で、まるでそう、神に愛された天使のように美しい男性。

あまりの美しさに息をするのも忘れて口を開けたまま惚けてしまう。

対する男性も、私とは180度違う顔形で私と同じような表情で固まっていた。


あまりの不細工さにさぞ驚いたでしょうとも。こんな美形なら醜いものなんて見慣れないから尚更だろう。

悲鳴を上げないでいてくれるだけありがたい。


しかし問題はこの男性が意識を元へ戻した時だ。

私は被害者のはずなのに、このままだと加害者としてお縄になりそう。

こんな時は不信感を少しでも拭うことが肝心である。

私は到底無理だろうがなるべく爽やかさをアピールすべく、男性に向けにへっと笑いかけた。

笑顔は不細工にこそ必要なものだというのが私の持論だ。

だって愛想の悪い不細工なんて一番最悪ではないか。

せめて人当たりは良くしておかないと迫害されかねない。

という訳で、初対面の人には笑顔が一番。

不細工ならばこれ絶対である。

そんな私の渾身の愛想笑いを受けた彼はというと……


「ぐふっっっ!!!」

ズザァァァァ———


「えぇぇぇぇぇ!?」


頭からスライディングして額をズリズリ床に擦りつけた。

慌てて駆け寄れば白目を向いたまま鼻血を出して気絶しているではないか。

恐らく醜い者を見慣れていないだろう超絶美形には、笑顔でさえ凶器となるらしい。


「うーん……」


さてさて、超絶美形にまで気絶された私は二つの選択肢を迫られている。

一つはこのままトンズラするということだ。

私は誘拐されて此処に居るわけだし、逃げ出すのは妥当な選択であろう。

もう一つは男達の介抱だ。

男達の倒れた原因は全て私の不細工さである。

罪悪感が疼かないこともないが、自業自得だとも思うのだ。

しかし一番気になるのは超絶美形である。

彼は男達の仲間という可能性がかなり高いのだが、そう言い切れるだけの材料もない。

もし仲間でないのならば、彼を見捨てることは出来ない。

ほとほと困り果てて超絶美形を見下ろす。


「っ……ぅ、どう、か……」

「っ!?」


朦朧としながらも意識を手繰り寄せた超絶美形が私の足首を震える手で掴んできた。


「いか、な……くれ……」


それだけ言うと再びパタリと力を失った手。

超絶美形と鼻血の海に沈む男達を改めて見回した私は決意を固めた。


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