第74話 崇拝の儀式からの冒険者拠点
ドラツー殿に促されて、
エンシェントドラゴンの背から降りた私達、
ドワーフの巫女と呼べるべき女性がドラモン殿の前へ立った。
「本日の生贄は、ワタクシで御座います」
「ウム、イニシエカラノギシキナラ、クッテヤッタガ」
「ではやはり」「ソレヨリ、ウマイモノヲヨコセ」「ははっ、皆よ」
老婆ドワーフの号令で、
何か大きな桶を持って来た、
中はぷるぷるした半透明の食べ物、か?!
「ベラツー殿、あれは」
「園長に代理で買って頂いた『ドラゴン病みつきチュルチュルゼリー』ですね」
ドラゴンの大口に放り込まれる。
「ウメエウメエ、イキテルッテカンジガスルゼ」
「もっと魔石を集めて、沢山食べていただけるようにドワーフ一同」
「ウム、ワガスノオソナエデモ、イロイロトイタダイテイル、ゴクロウ」
更に次々と放り込まれたのち、
満足したのか上空に向かって炎を吐いた、
そしてバッサバッサと飛び上がって皆を見下ろす。
「コマッタトキハ、ワレカ、エンチョウニイエ」
「「「「「「「ははーーーーーーーっっっっっっっ」」」」」」」
「デハマタナ、キガムイタラ、マタキテヤロウ……サラバダー!!!」
こうしてハルクパークの塔の方向へ……
「叔父様、これがドワーフによる『崇拝の儀式』ですわ」
「そうか、なかなか迫力があったな」「ダンバム殿、観光客は呼べそうか」
「フィーナ、ま、まあ、ダークネスドラゴンを間近で見られるというのであれば」
ベラツー殿も頷いている。
「タワーマンション屋上では姿をきちんと見られる可能性はあまりありません、
しかし決められた儀式の日に、確実に観られるという事でしたら、これはもう立派な観光に」
「なるほど、協力して貰えるのか、あのドラゴンに」「ちゅるちゅるゼリーが食べられるなら、まず断らないでしょうね」
ドラゴンを見送り終わると、
大量のドワーフ達が満足して帰っていく、
四方向だな、それぞれ違う乗り物のようだ。
「叔父様、どれで下まで行かれますか?」
「アイリス、何があるんだ」「エレベーターとエスカレーターと階段と滑り台ですわ」
「滑り台?!」「あちらだ、一気に鉱山の麓まで、地下鉄の駅も近いぞ」「危険は無いのか」「軽い屋根はありますね」
そう言ったベラツー殿についていく。
「おお、並んでいるな」「ご説明しますね、まず長老レベルの偉い方々はエレベーターです、誰も使ってない時間ならどなたでも、
観光客は早めに使うのであれば問題ないかと、続いてエスカレーター、足腰の弱くなったお年寄りや子供はこちら、スパイラルエスカレーターです、
元気な普通のドワーフは螺旋階段、集団で昇ってくる様子は規律正しくさすがです、そして帰り専用でとにかく早く降りたい方は滑り台を、間もなくです」
うむ、手すりもあって、
雨なら凌げる屋根が連なっている、
そして鉱山を一気に下るようだ、アイリスがまず飛び込む。
「行きますわあああああ!!」
「では先に失礼する」「あ、ああフィーナ」
「次にダンバムさんどうぞ」「では失礼して、うおおおおお」
これはこれで面白い、
絶景も楽しめる、身体が大きくても詰まらない構造か、
途中で蛇行したり角度が変わったりして楽しんだのち……!!
「はいおかえりなさい」
「ベラツー殿いつのまに」「ベラシックスですよ」
着地した場所からどかされると、
後ろからベラツー殿も滑り降りてきた。
「さあダンバムさん、今から見て頂きたい場所が」
「それは、やはり鉱山で何が採れるかであろうか?」
「いえいえ、まあそれも観ていただいて構いませんが、お客さんを呼ぶ施設です」
丁度、鉱山から森へ出ている場所だな、
道らしき物は一応あるが、奥は危険な香りがする、
いや騎士としての嗅覚の話だ、あの奥には、強く危険な魔物が……
(そう、かつての辺境伯領、城塞都市の周囲のように)
それを背にして鉱山の入口へ、
開いている門をくぐると、そこには……!!
「ここは、このカウンターは、そしてこの室内は、ベラツー殿」
「はい、冒険者ギルドですね、人さえ集めていただければ正式に、もちろんドワーフに委託も可能です」
「すなわち、ここからあの危険な森で」「すでに腕利きの、住民の方々は行って魔石や魔物肉を稼いで来ていますよ」
見るとドワーフとエルフとオークとオーガとウェアウルフのパーティーが、
依頼を張れるボードにもいくつか紙が貼られている、そして室内には救急所もあるようだ。
「いたれり尽くせりだな」
「観光というか、人間の冒険者の方々にも来て頂こうと」
「わかった、王城お抱えの契約冒険者を来させよう」「ありがとうございます」
すっかり人を呼び込むつもりでいてくれている、
これは色々と楽しみだな、私も加わりたいくらいだ。
「では叔父様、鉱山見学はなさいますか?」
「そ、そうだな」「ミスリルが採れるらしい」
「フィーナ、それは本当か?!」「では詳しいお話をしながら、こちらへ」
こうしてベラツー殿の案内は続いた。




