第112話 陛下のランチは貸し切りからのスマホ確認
「ほう、ここか」
「あっはい、『キクコベラのお姉ちゃんカレー2号店』です」
「まあ、あのカレーとやらは美味しかったわ」「王妃様にお褒め頂けて光栄です」
となぜか僕が感謝、
タワマン2棟めの商業エリアにも、
しっかり支店が開店したのです、そして初日なので当然……
「ようこそいらっしゃいました国王陛下、本店の店長をさせていただいておりますキクコベラと申します」
「そなたがか、確かにあの『レトルト』とかいうのの箱に描いてあった黒猫獣人であるな」「お目汚し失礼致しました」
「良い良い、では早速、頂こうかの」「本日はこの時間、陛下と宰相閣下で貸し切りでございます」「そうか、すまぬな」
陛下一家と宰相一家がそれぞれテーブル席へ、
僕ら3人は近い場所でカウンター席ですよええ、
一緒に食べて良いのか移動中に聞いたらお忍びだから良いって。
「ふむ、この一番高い『スペシャル・デラックス・グランド・シスターズ・キクコベラカレー』がおすすめか」
「はい、もし許可を頂ければ、陛下が美味しいと言っていただければ『ロイヤルキクコベラカレー』に名を変えようと」
「食材が豪華であるな」「はい、野菜もお肉もたっぷり、隠し味はりんごと蜂蜜でございます」「では、いただこうとするか」
ちなみにお子さんには甘口みたいだ、
こっちの店員になる黒猫獣人も3人いや3体ならんでいる、
名札を見ると前世の記憶からうっすら若手声優を思い浮かべるが、いや、やめておこう。
「あらまあ、これは美味しいなんてものじゃないわね、上品というかフルコースが一皿で」
「ははうえー、いっきにめしあがりたいですー」「あにうえ、おくちがよごれてますよ」「ふふ、ふたりともよ」
「うむうむ、これは美味じゃ美味じゃ、王城にも出したいのう」「ではこのカレーのレトルトも近々、新商品として」
お値段高めになるな、
宰相ファミリーも美味しそうに食べていて、
こっちはテーブルにある福神漬けやらっきょうも試してる。
「アイリス、どう、美味しい?」
「はいですわ、ただ……」「量が多いとか?」
「いえ、隣に出来た『ロミキッチン』が気になりますわ」
あぁ韓国料理屋の、
おそらく声が想像できるけど、
そっちはそっちでまた後日行こう、あの声で出迎えてくれそうだし。
「ふむ、私は大盛りを頼んで正解だったな」
「フィーナさん、別売りサラダとかまで頼まなくても足りそうですね」
「むしろ『キクコベラ奥様のハヤシライス』を追加注文して良いか」「えええぇぇぇ……」
あったなあキス禁止の元魔法少女な奥様を寝取るアニメ。
って隣のテーブルの宰相に話しかける陛下、いまはアマーティンさんだけど。
「スマホとやらの確認じゃ、番号を」
「はい、では私は」「スマホを互いに近づけるだけで、できますよ」
「なにっ、本当かガーベラよ」「ややや、陛下、番号が」「うむ、便利であるな」
奥様同士も番号交換できる、
ショップでメールの操作を教えて貰っていたけど、
やっぱこっちの世界にこれは凄いな、ていうかタブー感が。
(歴代の異世界転生者が裂けてきた行為なのかも)
これ、次やその次の世界が禁止して、
また古代遺物扱いされる未来も十分ある、
でも僕はあえて、逆に文明が行ける所まで振り切りたい。
(僕の事を無能って言っていた連中を、見返したい感じかな)
まあそんな連中、
ほぼ滅びて残っているのも『ざまぁ』されてるけど!
そういやアイリスと別行動するとショートメールやラインがうるさ、いや、やめておこう、婚約者だもの。
「それで陛下、あえてアマーティン様ではなく陛下」
「うむハルクよ、なんだ」「このあとなんですが、私の方のタワマン地下で、ドワーフとエルフから贈り物が」
「先日すでに貰ったが、またか」「はい、少し前に触れましたがドワーフは古竜の魔石で造った武器防具、エルフは奥様に衣服を」
一応『確実に喜ばれるものを』ってドワーフ・エルフにはお願いしてある。
「うむ、わかったがその前に、どうしても見ておきたい場所がある」
「えっ、どこですか」「このタワマンとやらに出来た……」「あっはい、もうお耳に」
「いや目じゃ、案内板に書いてあったぞ」「そ、そうですね、じゃあ出たら行きましょう」
そしてキクコベラお姉ちゃんカレーを出た時、
韓国料理店ではない方の反対側にある和食店、
その名も『そばと天ぷらとうなぎの店・立木』がめっちゃ気になった。
(あぁ、声がめっちゃ想像できる……くじら料理も加えてみては、どうだろう)
それだと店員も増えるねっ!




