第90話 国王陛下への報告からのダンバムの決意
「……という訳で、こちらがお土産、ハルク辺境伯からの貢物となります」
「ふむ、立派なクリスタルのような槍、いや剣か、と素晴らしいマントであるな」
「それと酒、ワイン、更に『レトルトカレー』なるもので御座います、美味であります」
戻ってきた王城、
先導していたガイドベラ殿は、
他のドラゴンを先導していた『黒猫型ドローン』とやらと一緒にハルクパークへ帰って行った。
「いつでも来て下さい、あとまたツアーのお知らせを捲きに来ますね」
彼女が去った後、
あの『公園都市』というのが本当にあったのか、
実は幻影だったのではとさえ思えたが、この土産が何よりも証拠だ。
(陛下も私の話を聞いて、終始ずっと『信じられない』といった表情だった)
こればかりは、
本当に観ていただくしかない、
これでも事実をきちんと説明したはずなのだが。
「実はな、先ほど貴殿に同行した『記録係』から『写真』というのを大量に貰った」
「それを見ていただけたのですか」「凄いなこの塔、そしてこの『観覧車』というのは」
「陛下がいらっしゃるのを、心待ちにしているかと」「罠では」「それは無いです、特に良く知る姪が妻になるゆえ」
ここで人間臭い力関係を改めて説明、
私の姪であるアイリスはすっかりハルク殿に惚れており、
ハルク殿のためなら何だってする妻(予定)で、15歳になれば出来る入籍を待たず13歳で結婚式を挙げる。
(それだけ待ちきれないのであろう)
あの姪っ子らしい性格だ、
そしてそのアイリスの従者であるフィーナ、
元は私の姉に拾って貰った私兵、女騎士だったのだが、姉が亡くなってからはその恩をアイリスに返すようになった。
(最後の方はメイド扱いであったが、唯一、死地へ捨てられるアイリスについて行った)
それだけ忠誠心は凄まじく、
アイリスのためなら自分の命を引き換えにしても構わない、
生涯、アイリスのためだけに尽くす、そのような強き女性であった。
(そして事をややこしくしているのが、ハルク殿とそのフィーナとの関係だ)
巨女好きなのか、おそらく母性を欲してか、
ハルク殿はフィーナに惚れてしまいすっかり骨抜きだ、
それこそハルク殿もフィーナのためなら何でもする、まさに傀儡状態らしい。
(側室状態となった今、それがますます強く、いや、酷くなっているという)
おそらくフィーナが『王都を攻めるぞ』と言えば、
喜んで言う事をきくであろう、いやもちろんフィーナがそんな悪女でないことはわかっているが、
ただ、アイリスがそれを望めば……しかしその場合はハルク殿が止めるであろう、うむ、ややこしい。
(そしてあの黒猫獣人だ)
全員がハルク殿のメイドであり私兵であり、
結局、最後まで正体はわからなかったのだが、
ただの獣人では絶対にない、あれはドラゴンをも超える『何か』だ。
(それを全て命令できるハルク殿、その戦力は、計り知れない)
陛下もそれは心配になる部分だろう。
「それでだダンバム」「はっ陛下」
「ハルク辺境伯の、我々への忠誠は確かなのだな?」
「はい、きちんと旧辺境伯家を、正式に罰した事に関して感謝しているようです」
エンシェントドラゴンに脅されただけなのだが。
「それで、いつ行けば良い」
「はい、あちらから準備が整い次第連絡すると」
「行くぞ」「はっ?!」「今、行くぞ」「それはさすがに」
立ち上がる陛下。
「一大事だ、すぐに視察が必要だ」
「し、しかし準備が」「まずは平民のふりをして潜入する」
「陛下がですか」「さすれば本性がわかるであろう」「危険が」「わかっておる」
……遊びたいだけでは?!
「休みを取る、ここ2年半、休暇を取っておらぬから良いだろう」「ま、まあ」
「お主の前に報告したデュアル、その孫娘のはしゃぎっぷりを見ての、我慢できん」
ターニャ嬢、
帰りのドラゴンでは遊び疲れて寝ていたらしいが。
「わかりました、あくまでお忍びということで」
「長男だけ残して家族で行くぞ、あくまで内密にな」
「ははっ、畏まりました」「後で書面にしてくれ、宰相にも読ませる」
ということで報告が終わり、
王城を出て自宅へと向かう私、
ハルクパークの方角を見て心に思う。
(よし、我も行こう、妻と息子と、娘を連れて!!)
以上が騎士団員ダンバムの報告日誌である、
信じられない者は行くと良い、幸せな都市公園、
きっとそこは迎え入れてくれるであろう、そう、入口でこう言ってくれるはずだ。
『ようこそハルクパークへ』……と。
~番外編おわり~
次回後日談、国王陛下お忍び訪問編?!
とりあえず一区切りのおしまいです、
続きはまた、皆さんの評価を沢山いただければ!!
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『ゆるふわ☆ぱ~てぃ~! どう見ても冒険者に見えないお嬢様が無双する!!』
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