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ストーカーと夏祭り楽しんで!

 タイトル:『今日は楽しい夏祭り』

 本文:思い切りハメを外したいと思います。18時くらいに部屋を出るかな?

 

 コメント:夏祭り私も行きます! 出会えるかもしれませんね!

 

 

 鏡の前でポーズを決める。

 今日は夏祭り。流石に俺もおめかししようと思って、甚平を着てみました。

 いやあハメを外したいと言ってはみましたが、ひょっとしてハメることになるかもしれませんね。

 それくらい夏祭りって男女の仲が急接近ですよ。げっひっひ。

 

 

 時間になったので部屋を出る。勿論虫除けスプレーも忘れずにかける。

 少し遅れてついてきた彼女は今回も美しい浴衣姿。

 しかも今日は変装をしていません。今日は仮に俺にばれても偶然を装えばいいやとかそんな事を考えているのでしょうか?

 代官プレイがしたいなあ。紐をつかんでくるくるくる~っと。

 そんな感じに煩悩に悩まされているうちに、出店が並ぶ神社への道へと到着。

 さて、彼女にいいところ見せるぞ。

 

 

「おっちゃん、金魚すくい1回」

「あいよ」

 まずは金魚すくい。彼女の見守る中、ポイを手に水の中に蠢く金魚達に狙いを合わせ、

「ふんっ」

 力強さと繊細さを併せ持つポイ捌きで見事……

 

 

 2匹の金魚が入った袋を手にして、その辺をぶらつく。

 2匹って。上手いわけでもなく下手なわけでもなく2匹って。

 ほらみろ後ろの彼女もどう反応すればいいのか困ってるじゃないか。

 大体俺、金魚飼うためのセットとか用意してないんだよなぁ、この金魚どうしよう。川に放流しようかな。

「おっちゃん、射的1回」

「あいよ」

 まあいい、今度は射的だ。狙うは携帯ゲーム機。砂芋界の帝王と呼ばれた俺の繊細な射撃技術をなめるな!

 

 

「っざけんな! どんだけ重り入れてんだよ!」

「ははは、こっちも商売だからねえ」

 3回やって全弾命中したというのにビクともしない景品に憤慨する。くそ、この店ははずれだ。

 悪態をつきながら射的の店を離れる。次はスマートボールでも挑戦するかなと考えながら後ろを向くと、

「……」

 射的の前で財布を開く彼女の姿。俺の敵討ちでもしてくれるのだろうか。

 でもやめたほうがいいよ、相当重り入ってるから。

 ライフルを手に、やはり俺の狙っていたゲーム機を撃つ彼女。

 しかしそれはビクともせず、彼女の残弾は無常にもなくなってしまった。

「……」

 めげることなく、お金をおっちゃんに手渡す彼女を見て物悲しくなる。思う壺だよ、俺もそれで3回もやってしまったんだから。

「ははは、まいどあ……り……お、お嬢!?」

 ところが突如射的のおっちゃんが彼女を見て震えだす。

「ちょ、ちょっと待っててくださいね。今準備しやすから」

 おっちゃんはすぐに景品のゲーム機を棚から取る。

 彼女の方向からは見えなかったが、俺の位置からなら見える。おっちゃんはどうやら中の重りを取り出しているようだ。

「さ、さあお嬢、どうぞばんばん撃ってくだせえ」

 彼女がゲーム機を狙って撃つと、あっさりとそれは景品棚の後ろへ落ちた。

「いやあお上手ですなあ、はいこれ、商品」

「……♪」

 ゲーム機を貰って嬉しそうな彼女。

 それにしても、的屋の人間にあんな反応をされるって、彼女はひょっとして……

 

 

「……♪」

 神社につく頃には、彼女はお面を被り、両手にはわたがしとりんご飴。

 彼女が出店に惹かれてお金を出そうとすると、お店の人間がびっくりして品物を差し出すのです。

 これは間違いありませんね。

 

 

 彼女は街のアイドルだったんだ。

 そりゃそうだ、あんだけ可愛いもん。

 出店やってるおっちゃん達の間で、きっと娘にしたいランキング1位とかそんな名誉ある称号を戴いているのだろう。

 

 

 さて、神社についたことだしお参りをするか。

 そういえば昔、ここで彼女に丑の刻参りされたんだよなあ。今となってはいい思い出か。

「(彼女がもっともっと俺を監視してくれますように)」

 ……いや、俺は何をお願いしてるんだ? アホなのか?

「……」

 その隣では、彼女も目をつぶってお参り中。何をお願いしてるのかなあ、気になるなあ。

 そういえば今日は変装をしていないということは、こちらから接触しても構わないということなのだろうか?

 

 

「やあ、奇遇だね」

「!?!?!?」

 意を決して声をかけると、一瞬にして彼女は沸騰する。

 彼女は目の辺りに手をやって、ハッとした表情になる。え、ひょっとしてサングラス忘れてただけなの?

「あ、ちょっと待ってよ」

 逃げ出す彼女を捕まえようとして、帯を掴みそうになる。

 流石に他に人も多いし、こんなところで代官プレイをやったらとんでもないことになってしまうな、という俺の心の迷いがすんでのところで帯を掴むのを制止し、彼女は人ごみの中へと消えてしまった。

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