ストーカーに自信を持たせてあげて!
前回のあらすじ。
俺は彼女の水着姿が見たかったが、お世辞にもスタイルが良いとは言えない彼女は自分に自信が持てず、貧相な身体を見せたくないと水泳の授業をサボってしまった、気がする。
そこで次の授業にはちゃんと参加して貰うように彼女を誘導したい。
「……」
とある休憩時間中、彼女は何やら机で雑誌を読んでいる。
読書に集中しているようで、俺が後ろに来ても気づかない。
どうやら彼女はモデル雑誌を読んでいるようで、時折ため息をつく。
雑誌に載っているスタイルのいい女の子と自分を比べてしまっているようだ。
「おい見ろよ、Fカップだってよ」
「うひょー」
その付近では、男子共が週刊誌のグラビアできゃっきゃうふふしている。
貴様ら、彼女がナイーブになっているのに追い打ちをかけるような真似をしくさって。
でもFカップかあ。でかすぎても気持ち悪いけど、Fくらいまでならいい大きさだよね。
そんな感じで俺の心が揺れ動いていると、
「なあ、お前はスタイルどんなのが好みなんだ?」
週刊誌を遠巻きに眺めていたのに気づかれて、読んでいた男子が質問してくる。
「そりゃあ勿論……」
ボンキュッボンだよと言おうとして、思いとどまる。
俺まで彼女に追い打ちをかけるような真似をしてどうするよ。
そうだ、ここで自分は幼児体型が好きだと言えば、彼女は自信がつくのではないだろうか?
……駄目だ、クラスメイトの前でそんな事言ったら俺のスクールカーストは底辺に落ちる。
ロリコンというのは人間扱いされないのだ。
「ふ、普通かな」
結局そんな事を言って逃げに走る俺。なんて情けないのだろうか?
「……」
下校中、彼女の視線に気づいてないフリをしながら俺は次なる作戦を考える。
彼女は時折自分の胸にぺたぺたと手を当ててため息をついていた。
愛らしいけど痛々しい。早く彼女に自信をつけさせないと。
部屋に戻る。ここなら俺がロリコンだと言っても、クラスメイトの評価が下がる心配はない。
しかし一人部屋でそんなことを言うのは相当痛い人間ではないだろうか?
独り言で自分がこれから何をするかを喋ってしまう人間はそれなりにいる。
しかし独り言で自分の性癖を語る人はあまりいないだろう。
悩んだ末、俺は架空会話を試みる。
つながってない携帯電話を耳に当てて、あたかも誰かと会話しているように見せる人間がたまにいる。
この場合は誰にも見られていないので携帯電話を耳にあてる必要すらないし、
スカ●プなどで会話しているという設定でもいけるだろう。
隣の部屋にいるであろう彼女に向けて、俺は架空の会話を試みる。
「よう! もしもし、俺だよ」
架空会話の難しいポイントは、会話の間だ。
実際には会話をしていないので、どのくらいのテンポで喋ればいいのかが掴みづらいのだ。
「うん、うん、マジで? へー、信彦が結婚かー」
架空の知人である信彦の結婚話をしているという体だ。
「いいよなー、俺達もいい嫁さん欲しいよなー」
そして自然と理想の女性という話題につなげる。
「俺? 俺かあ、うーん、どっちかっていうと、ロリかな。うん、ロリロリだよ。背も胸も小さくて童顔、最高だよねロリは」
部屋の向こうにいる彼女のために、全力で幼児体型を肯定。
「おう、それじゃあまたな」
架空会話を終了する。
……虚しい。
喋っている途中は考えていなかったが、
電波ジャック、監視カメラ等を用いて彼女に俺が架空会話をしていることがバレていたらどうしよう。
何せ彼女は俺のために隣に越してきたストーカーなのだ、それくらいやったっておかしくない。
まあ過ぎたことは仕方がない。俺の想いが、彼女に届けばいいのだが。




