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ストーカーに猫を飼わせてあげて!

『ナーオ……』

 とある放課後、彼女の視線に気づいてないフリをしながらアパートへと帰っていると、

 別の視線を感じたのでその方を見れば可愛い可愛い猫ちゃん。

 タオルの敷き詰められたダンボールに住んでいるようですね。



「……!」

 捨て猫を素通りした俺とは対照的に、捨て猫を見つけるや否やその場に立ち止まる彼女。

 確かに猫は可愛いと思うけれど、猫より俺を見て欲しいね。

 まあ、猫と少女って絵になるからいいけどさ。

 癒されながら猫と彼女をながめていたのですが、

「……」

 彼女はダンボールを持ち上げました。……これはひょっとして。



『ミーィ』

 アパートへ帰った後、隣の部屋から聞こえてくる鳴き声にため息をつく。

 駄目じゃないか捨て猫が可哀想だからってアパートで猫を飼おうとしたら。

 大家さんにばれたらここに住めなくなっちゃうよ? それでもいいの?

 俺より猫を選ぶの? 何さ、ちょっとかわいいからって彼女の寵愛を受けてさ!

 隣の部屋からシャワーの音がするけどきっと彼女は猫の体を洗ってあげてるんだろうなあ!

 猫の癖に! この泥棒猫!



 翌日の放課後。嬉しそうな彼女の視線に気づいてないフリしながらアパートへ。

 彼女は帰りにスーパーへ。そこで猫缶などのグッズを買っていました。

 むきいいいいい!



『ナーオ』

 部屋に戻り、隣の部屋から聞こえてくる猫の鳴き声に俺はイライラ。

 猫に嫉妬するとは我ながら醜いなと、気分転換がてらに外をランニングしようと部屋を出る。



「あら、3号室の」

「あ、大家さん。こんちゃす」

 アパートを出ようとすると、大家さんと遭遇。

 軽く会釈だけして素通りしようとしたのだが、

「……ところで、昨日下の階から猫の鳴き声がするって、あなたの上の階の住人が言ってたんだけど」

「……」

 大家の言葉に冷や汗が流れる。即効で感づかれてしまった。

 いや待てよ、冷静に考えれば憎き恋敵を追い払えるチャンスじゃないか。


 隣の部屋から猫の声がすると俺が言う

 →大家が直に彼女のところへ

 →猫を捨てないとアパートで暮らせない彼女は俺と猫を天秤にかけて俺をとる


 完璧じゃん。

 そうと決まれば早速隣の部屋から猫の声がすると大家に告げ口……を……

「ああすいません。演劇部の役作りで猫の声を練習してたんです」

「あらそうだったの。あなた体育会系だと思ってたけど文化系なのね」

 納得して大家が去って行く。さて……



「まったく大家さんにも困ったものだよ! 俺が猫を飼っているだなんて! このアパートは動物禁止だからもし飼ってたら追い出されちゃうってのに! まあ、アパートの敷地からちょっと離れたところを寝床にしている猫の世話をするくらいなら問題ないだろうけどさ!」

 演劇部もびっくりの名演技で、彼女にこれからやるべきことを伝えてやる。



『ニー』

 翌日、アパートを出たところで猫が気持ちよさそうに寝ていた。

 嫉妬してごめんな、と俺は猫の頭を撫でてやる。

 そのまま学校へと歩く。後ろをちらっと見ると、彼女が嬉しそうに猫の頭を撫でていた。



 べ、別に彼女が俺と猫を天秤にかけて猫をとるんじゃないかと思って怖くなったわけじゃないんだからね!

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