ストーカーにパンツを見せないで!
「……」
おかしい。
登校中、彼女の視線に気づいてないフリをしながら、俺は一抹の不安を覚える。
どうも彼女、今日は俺から目を逸らしているような気がするのだ。
チラチラとしかこちらを見ていないのだ。
何が原因だろうか、俺を直視するのも恥ずかしいくらいに彼女は俺にゾッコンなのか?
それはそれでまあ悪い気はしないけど、やっぱガン見して欲しい。
それともう一つ。彼女が時折くすくす、にやにやと笑っているのだ。
あの笑い方は、嬉しい時の笑いではない。おかしい時の笑いだ。
どうして俺は彼女にくすくすにやにやと笑われているのだろうか?
髪がはねてるのかなと思って手で触ってみるが、別にはねてはいない。
結局原因がわからないまま学校へ。
「……」
授業中は、彼女はいつも通りの視線を俺に向けているような気がする。
そのかわり、
「……くすくす」
俺の後ろの女子生徒が笑っている気がする。
「……」
体育の授業中も、彼女はいつも通りの視線を俺に向けているような気がする。
そのかわり、クラスメイトが数人俺を指差して笑っているような気がする。
体育の授業を終えて教室で着替える時も、男子が俺を笑っているような気がする。
笑っている男子に詰め寄って、『お前俺の事笑ってただろ!? 何がおかしいんだよ!?』
と聞きただしたい気持ちにかられるが、被害妄想という線も捨てきれないので、うかつな事はできない。
「……」
結局この日、クラスメイトに笑われているような気がしながらも授業を終えて、アパートに向かって帰りだす。
やはり彼女は朝同様にチラチラとこちらを見てはニヤニヤとしている。
ああ、不気味だ。
全部俺の被害妄想なのだろうか?
周りの人間が自分を笑っているという妄想をしてしまう、精神的な病気があると聞く。
俺はそれになってしまったのだろうか。
いや、待てよ。ひょっとすると、彼女が俺をストーカーしているというのも本当は妄想なのではないだろうか?
たまたま俺の隣で一人暮らしを始めたクラスメイトを、自分のストーカーだと勘違いして、自分の都合の良いように妄想して、逆にストーカーしているだけなのではないだろうか?
そんな事を考えて混乱していると、カシャリという音が後ろから聞こえた。
どうやら彼女が俺を携帯電話で撮ったようだ。
彼女の表情をうかがうと、やはりにやにやとしている。
結局真相もわからないまま、アパートへたどり着く。
陰鬱な気持ちで部屋に入り、制服から私服に着替えようとして、真相に気づく。
ズボンの後ろが破けててパンツ見えてる!
「は、ははは……」
なんてことはない、彼女が、クラスメイトが自分を笑っていたのは俺の被害妄想ではなく、
単にパンツが見えてたから笑ってただけだったのだ。
いやーよかったよかった。
……全然よくねえ!




