表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

えぴそーど1 姫様御生誕

──あなたの願いを叶えてあげましょう

…は?いきなり何コイツ…。願いって、お前は7つの龍の宝石から出たシェン○ンか?

──…もう一度言います、あなたの願いは何ですか。

冗談の通じない奴だな、さてはこれは夢か。おお!夢を夢と自覚できたの久しぶりだな。そうか、どうせ夢なら夢の中だけでも注目されたいなぁ…、例えば全くの別人になるとか。でもただハンサムになるんじゃ女の子にモテても、男にはひがまれるしなぁ。皆に注目されたいな。

──やはりそうですか、期待した通りです

は?何言ってるんだお前、おいちょっと────



ジリリリリリリリリリリリ!!!

…うるさい。

無粋な目覚まし時計の音で目が覚めてしまった。くそぅ折角夢判断できたっていうのに…。悔しいからこの目覚ましには永久に音を鳴らし続けてもらおうか?

ジリリリリリリリリリリリ!!!

…ああうるさい,だめだ,この目覚ましに対するささやかな復讐なんだ,ここで止めてしまっては元も子もない。

ジリリリリリリリリリリリ!!!

復讐だ…報復だ…。

ジリリリン!

「何を馬鹿なことやってるんだ俺…。」

結局目覚ましの罵倒に耐えられず,起床を余儀なくされてしまった。次はこうはならないからな,覚えてろ,目覚まし時計!

ベッドから抜け出して伸びをする。あれ?目覚めは最悪で頭は痛いのに,体はやけに軽いな。最近疲れてたから,昨日は早めに寝たおかげだろうか。うんそうだろう,そうに違いない。そのまま俺は,寝惚け眼のまま制服に着替えていく。…あれ,何だか着ずらい,凄く着ずらい。しっかり袖を通しているのに手が袖から出てこない。それにズボンも丈が長すぎるし,ベルトをぎゅうぎゅうにしても拳2個分くらい余る。学ランって伸びる材質だっけ?んなアホな。仕方なく袖と裾を折り曲げ,去年使ってたベルトで一番キツク絞る。…こんな格好で学校に行くのか?

二階の自室から降り,朝食が用意されているテーブルの前に座る。朝はやっぱ和食だよな。白い飯,味噌汁,焼き魚,漬物,生卵,完璧なまでの献立だ。ありがとう太陽,ありがとう大地,ありがとう母さん。命と労力をありがとう。

「いただきます…っと,おはよう母さん。俺の制服新しくしたの?」

洗濯物を干しに出ていたのであろう,籠を持ってパタパタと現れた。ごく普通の当たり前な挨拶と素朴な質問に,ごく普通な返事を期待しながら卵を割る。

「…あなた,どこの子?」

べチャッ。卵が目標地点,茶碗のご飯中心部から大きく外れてテーブルに落ちてしまった。…え,母さんってこんなに冗談がキツかったっけ?

「おいおいおい,息子の顔を忘れてしまったのですか?朝のジョークにしては突飛すぎるって」

「…え,優?ホントにあなた優なの?」

何を言ってるんだろうか?俺の顔を本気で忘れてしまったのだろうか,まったく卵がもったいな…,ん?なんだこの卵白にうっすらと写る俺の顔は…?見覚えが無いぞ…?

「っちょ,ちょっと待ってて!」

俺は椅子から飛び降りて,飛び降りて?そういえば座るときもよじ登ってたような…。あのときは寝惚けてたからわからなかったのか?アホの子ですか俺,いや誰の子ですか俺!?わけがわからなくなりながら洗面台の前に立ち,鏡を覗こうとするが,

「なんで届かないんだ!?」

無様にぴょんぴょんと飛び跳ねるが,洗面台は嘲笑うかのように高くそびえている。無駄だとわかりながら挑戦を続けていると,後ろから母さんが俺の脇あたりを手に乗せて,抱き上げてしまった。

「これで見れる?」

そんなガキみたいなことを…,ん,なんだこの娘?膝までゆったりとウェーブしながら流れ落ちていく金髪に,小柄でスッと整った顔立ち,どこまでも透き通りそうな碧色の眼,触れればすぐ折れてしまいそうな腕,のちっさい女の子が,鏡の中で母さんに抱き上げられている。抱き上げられてる?まさか…,

「この娘…,俺ぇーーーーーーーっ!!?」

評価に値するかわかりませんが、お読み頂いて感激です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ