私の家族
兄にひたすら謝り倒す母を、兄妹で見つめる。
なんとも言えない空間となっている。
―――これって、どう収拾したら? ……と思案していると、父が土下座している母の背後から近付き腰に手を回してヒョイと抱え上げた。
母は涙を流していたが、父の行動に吃驚したのか目を見開き「ほぇ?」と、何とも気の抜けた声を出し涙が止まった。
おおぅ、さすが父。
「ヴィー、ちょっと一度深呼吸してぇ―――。ん、よし。あのね、レオンとリアンが困ってるからね。一回落ち着いてから話そうか」
そう言うと、私達に視線を流し、苦笑しながら台所に行こうと提案してきた。
私も、このまま私の部屋で収拾のつかない状態で居るのはキツかったので助かる。よかった。
台所の自分の席に着き目の前の母と兄の顔をジッと見つめる。
『晶』と『リアン』の記憶は私の中で上手い具合に混ざり合えたようで、違和感無く『自分の行動』がとれる。
フッと目線をコンロ側に向けると4人分の飲み物を淹れてくれている父がいる。『うん、父だ』と一人で確認した。
そうこうしていると、木盆に4つカップを乗せた父がコト、コトっとテーブルに置いていく。そして私の横に座った。
「ありぁとぉ〜」と父に伝えて、フーフーしながら甘いココアを口に含む。
温かい飲み物を飲むと、体の中が温まってホッと気が緩むのが分かる。
兄も一息つけたようで頬にほんのりと赤みが戻り笑顔がみれる。
スッと目線を母に向けると、未だに顔色は悪いままで項垂れている。
さっきの両親の会話からすると、ちょっとこれはやっちゃいけない類のやらかしをしちゃってたんだろうなぁ〜と推測された。
だが、どの位やゔぁい事なのかは分かってないので説明して欲しいところだ。
ココアを飲みながらチラッチラと母に目を向ける私に気づいた父が苦笑し、前の席に座る母に声を掛ける。
「ヴィー、飲んで?」
母が顔を上げると、にこっと笑う父。
母の強張った表情が微かに緩んで声なく頷き、カップに口をつけてコクッと一口飲んだ。
段々と目尻に赤みが差し潤んでくる瞳。
テーブルを挟んでいる為、父はちょっと腰を浮かせて手を伸ばし、ぽんぽんと頭に手を置く。
ピクッと肩が揺れた母にぐっと身を寄せて母の額と自分の額を合わせ目を見て「大丈夫だから」とふふっと笑う。
優しい声を掛けて見つめあう2人。に悶える娘。はぅ〜……すみません、眼福ですぅ!
そして、その様子を『いつものことだ』とでもいう様に美味しいココアをニコニコしながら飲む兄。
はっ!! そういえば、これは、ほぼほぼ日常茶飯事の光景だった!
『晶』の記憶も混じってたから新鮮だったのか!!
「落ち着いた?」
父が尋ねると、母はこくんと頷き、ふぅ〜と息を細く吐き出してゆっくりと右を向く。
そして、私たちを視界に入れると申し訳なさそうに眉尻を下げる。
どこから話しだそうか悩んでいる?
最初の一言を口に出すのって思ってるより難しい。私はそうだった。
説明を求められている状況で、自分から話さなくては前に進まないと分かっている。
………そう思っているのに、時間が経てば経つほど不思議と思考はマイナスに転じていく。
自分の勝手な想像は、何故か悪い方に悪い方に落ちていき抜け出せなくなる。
「おかぁさん ここおシワできちゃうの め〜よ?」
自分の眉間を指差して、にぱっという言葉が浮かぶ位の満面笑顔を浮かべ母に言う。
明るく発した声は、空気を少しでも変えれただろうか?
そういえば、こんな事があると今までも私は『わたし ちいさいから よくわかんないの』という特権を使っていた気がする。無自覚で。
『秘技・負な空気? え? 何それ? おいしいの? わたしぃ わかんなぁ〜い! えへっっ クラッシャー!!』(魔法少女必殺技風)
………まぁ、要するにいつもの流れに持っていけたということで。
ちろっと視線を動かすと父と兄は私を優しい目で見ていた。私の行動は正しかった! よしっ
肝心な母は…というと、気持ちが少しは落ち着いた様。
お話聞けるかな? 大丈夫?
よし、じゃあ、ちょっと何がやゔぁかったのか聞かせてください。
まだ家族愛な話ですが、頑張って恋愛話まで書けたらいいな、と思っています。




