パーティー。
「だからさー。わたしは普通にパーティーの仲間を探しにギルドにきただけなんだって。そりゃあ今まで登録とかしたことなかったから今はランクは6級の初心者だけど、そんなの関係ないくらいわたしは強いもの。だからあんなポーターが欲しいだなんていうパーティーはお断りって言ったのに」
お料理に舌鼓を打ちながら饒舌に話すエミル。
あたしとタケルとエミルの三人で腰掛けたテーブルには、なぜかルミーナさんまで同席している。
あの騒動の後あたしがエミルを連れて行ったのを知ったらしいルミーナさん、お仕事を切り上げ追いかけてきたのだと。
「初心者冒険者さんの動向はちゃんと気にしてるのよ。それがあのドワン・リューデットに絡まれていたとあったら心配します。それに……」
それに?
「シズカさんなら、エミルさんも懐くんじゃないかって予感もあったのよね」
そう微笑む彼女。
懐く、って、どういうことよ……。
それにあの、「普通の人間じゃない」って意味も聞きたかったけど、ルミーナさんも同席だとちょっと聞きにくくて、結局こうして夕食の時間になってしまったわけだけど。
エミルはホーンラビットのシチューを飲み干し、こちらに向き直った。
「まあでもよかった。これでもう困らないわ。わたし、このシズカたちのパーティーに入れてもらうから」
え?
「ちょっと待ってよ」
「ん? そのつもりでわたしをここまで引っ張ってきたんじゃないの? わたし、強いよ。絶対に役に立つしそれに魔道士職だけど白魔法も得意だからきっと重宝するよ? あんたたち見たところ白魔法は苦手に見えるし」
それは確かに。あたしも自分の治癒はどんだけでもできるけど他人を癒すのはあまり得意じゃない。けど。
このパーティーはタケルのためのもの。タケルがどう思うかの方が問題だわ。
そう思い隣に座っているタケルの表情を覗き見る。
「はは。シズカがいいなら僕は構わないよ。それに、確かに回復魔法や補助魔法が使える仲間がいるといろいろ助かるしね」
そう、朗らかな顔で笑っているタケル。
まあ、いっか。
この笑顔が見られるのなら、タケルを冒険者にって引っ張ってきた甲斐もあるってもの。
「もう、しょうがないなぁ」
「あは。ありがとう。シズカ!」
身を乗り出し笑顔でそう言うエミル。もう、憎めないなぁこの子。ほんと、しょうがないかぁ。




