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第70話 残念なハンニバルと真面目な風花

カデン同伴で出かける許可が出た。


パリピ3人組の許可など以前のハンニバルなら憤慨しただろうが、この数日で自分のダメさを痛感してやや謙虚になった。

部下として信頼しているが個人的にリア充が嫌い。仕事ぶりは評価するがプライベートでは一緒に行動したくない、リア充怖い。そんな関係だった。

ハンニバルに経験値が不足し過ぎていて、ついていけないだけなのでパリピ3人組にしてみれば上司運がないとも言える。


「隊長、カデンちゃんの同伴は必須で!」

「いきなり風花ちゃんを誘うのはNGですよ!」

「カデンちゃんに相談 → 風花ちゃんを誘う。の順番です!」

パリピ3人組は今日もいい奴らだった。


「分かった…」

パリピな部下たちが苦手なリア充ではなく、頼もしい味方であると納得できたハンニバルが素直だ。もちろん今日も阿修羅は勘助のところだ。こんなにカッコ悪い姿は見せられない。



─── その頃の風花は店でてんやカデン達と話し込んでいた。今日は雨なので客足が鈍い。


「風花ちゃんは、どうして不安なの?」

首を傾げる天が可愛い。


「どのタイミングで将来を決めて良いのか、自分だけで判断出来ないことかな…。カデンちゃんの加護を、この先も私が使って良いかどうか分からないじゃない? すべては阿修羅とバルさんの関係が、この先もずっと良い状態で続く前提じゃない? 私とカデンちゃん、もしくは阿修羅とバルさんの間が上手くいかなくなる可能性だってゼロじゃないし」


「風花ちゃん! 私を見捨てないで!」

カデンが泣きながら風花に抱きつく。


「でも、ほら!最近のバルさんはカデンちゃんの加護が素晴らしいって理解したから阿修羅の加護は必要ないと思っているかもしれないし」

「いやいやいや! ダメだから! 私が無理だから! 風花ちゃんを知ってしまったらバルに戻れないから!」

さらに泣くカデン。契約者に対する評価がひどい。


「まあ、それはハンニバルとカデンちゃんの話で。あっくんの話をするとね…」

「やだやだ! てんパパもスルーしないで!」


「あっくんの事情だけど、あっくんは風花ちゃんから離れられないよ。理由は波長が合うのが1番で、風花ちゃん一家のご飯が2番。それに僕もあっくんが風花ちゃんとの契約をまっとうすることに賛成。風花ちゃんと一緒なら加護を悪用されてポイントがマイナスになることはないからね」


─── 引き続きカデンをスルーする天。


「もしも風花ちゃんがハンニバルと関わりたくないと思って、泣く泣くカデンちゃんとの仮契約を解除したとするよ」


─── えぐえぐとカデンがしゃくり上げる。


「そうなったら風花ちゃんは警備会社の社長になればいいよ。警備にあたる社員は僕とあっくん。僕らが揃えば、どんな依頼でも大丈夫。それに依頼の段階で怪しいものは僕が分かるし追い払える。逆恨みの襲撃も100倍返しできるよ」


阿修羅は子供過ぎて風花に扱いきれないだろう。しかし天がいれば話は別だ。カデンとの仮契約を解除しても問題ない。


「例えばだけど…ヨハンさんの酒場で風花ちゃんと僕が働きながら、あっくんが警備。3人分の労働で効率よく稼げるよ」


「う、うえっ…ひっく…うあああん」

「カデンちゃん、解除しようって話じゃないよ」

風花が泣きやまないカデンを優しくなだめる。


「ハンニバルが風花ちゃんに嫌われず、あっくんとも上手くやっていければ問題ないよね。これまでも、あっくんの無茶を止めてくれたり、ポイント加算のために助けてくれたし。僕はハンニバルに感謝しているんだよ」

「ひっく…ほんと?」

「すべてはハンニバルと、あっくん次第だと思うよ。風花ちゃんはカデンちゃんの加護が気に入っているようだし」


「ほんと? 風花ちゃん」

「うん。今のままの関係が続けばいいなって…」


風花は特別なことを願ってはいない。

両親のように地元で愛されるお店をやりたいだけだ。カデンの加護は “地に足のついた” 加減がちょうど良い。

もしも風花が軍人だったとしても、阿修羅の加護を利用して圧倒的な力を手に入れることを躊躇っただろう。


ハンニバルも阿修羅の加護を利用し過ぎるつもりは無い。もともと腕の立つ上に努力家のハンニバルは加護ばかりを頼りにする性格ではない。

災害級のモンスターが出現するなど、もしもの時に圧倒的な力を持つ阿修羅と協力出来たらいいと思っているくらいだ。


ただ、ちょっと下心を膨らませていて残念なだけだ。


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