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第68話 パリピに教えを乞う

「一般家庭は対象外だなんて残念だわ…」

「ごめんね、私の加護は業務用だから一般家庭は加護に耐えられないの。壁とか床をダメにしちゃうから」


大掃除のサービスを利用したいという一般家庭の申し込みはすべて断っていた。本当は一般家庭も大丈夫なのでハンニバル家と風花家を、こっそり大掃除済みなのは内緒だ。家を内側から破壊してしまうから出来ないと言われれば諦めるしかない。



「ただいま、風花!」

「おかえり阿修羅」

阿修羅が帰宅し、ぴょんと跳ねて風花の腕に飛び込む。

「おかえりバル!」

カデンがハンニバルに抱きつく。


「ただいまカデン」

カデンの頭を撫でるハンニバルの頭の中は、風花をデートに誘うことでいっぱいだった。


今日はプライドを捨てて部下のパリピ3人組にデートの極意を聞いた。もちろん阿修羅に聞かれたくないので阿修羅は勘助に預けた。

あとは実践あるのみだが、まだ何もしてはいけないと念を押すパリピ3人組が怖かった。



*******


「隊長、デートに誘う時の一番のハードルは女性が自分に好意があるかないか…です。好意がなければ、どんな誘いも断られます。札束を積んでも無駄です」

「隊長の場合、すでにお互いに好意を持っていることを確認済みなので障害は、ほぼゼロです」

「すでにデートを成功させた実績もあるわけですしね」


「………」

無言のハンニバル。


「どこに行くかですが、これはカデンちゃんに相談すれば間違いないでしょう」

「普段の会話から自分で探りつつ提案して喜んでもらうのが理想ですが…」

「それは次のステップでの目標にしましょう」


「………」

引き続き無言のハンニバル。顔が怖い。


「カデンちゃんにリサーチして!」

「誘って!」

「デート! 簡単ですね!」

ね! と、パリピ3人組が迫る


「……あと…」

「はい?」

「誘ったあとが問題だ…」

ハンニバルが苦しそうにつぶやいた。知らない人が見たら医者を呼びに行くだろう。


なーんだ、そんなことか! と気楽なパリピ3人組。

「デートは日常の延長ですよ」

「普段通りでいいんです」

「ただ特別感はありますから2人の距離を近づけるチャンスです」


「具体的には…?」

そんなに難しいことを言われても…といった雰囲気のハンニバルが苦しそうにつぶやいた。


これが難しいなんて…とパリピ3人組が困り顔だ。

「んー…いつもしない事をしてみたり?」

「普段行かないような難易度の高い場所に誘って、彼女が特別なお洒落をしてきてたら、思うままに褒めるのは忘れずに」

「わざとらしいのはダメですよ。感じたままに素敵だと伝えるんです」

「エスコートもいつもより特別な雰囲気で」


「………」

考え込むハンニバル。

難易度の高い場所と聞いてハンニバルが思い浮かべたのはダンジョンだ。こういうところがモテない。


具体的に教えてあげないと、この上司はダメだと判断したパリピ3人組がさらに解説する。

「そこで経験値の高さを見せつけたり」

「スマートに誘導してあげたり」

「さりげないサポートや優しさでキュンキュンいわせたり」


「なるほど…」

ハンニバルが不敵に笑う。


具体例をあげたのに、とてつも無く不安になるパリピ3人組。

「…隊長。一応聞いておきますね」

「どこに誘おうと思っています?」

「どこを思い浮かべました?」


「南のダンジョン」

自分の考えに浸るハンニバルのおくちから無意識にツルッと出た。取り繕わない本当に思った場所だろう。


「ああ…フラれますね」

「行き先を伝えた段階で取り返しのつかないことになりますね」

「モテない人の思考が謎ですよ…」


「なっ!! デートは日常の延長だと言ったのはお前たちだろう!?」

「ダンジョンは隊長の日常かもしれませんが、風花ちゃんの日常ですか?」


ハンニバルが答えに詰まりながら言い返す。

「難易度の高い場所とも言った!」


「難易度の意味が違います!」

「南のダンジョンと、ドレスコードのあるワインが美味しくて、料理に細かいオーダーが必要なレストラン。

 隊長にとって難易度の高い場所はどちらですか? ちなみにお店のメニューにヒントは書いてありません」


ハンニバルの脳内で、いろいろな場面が展開される。


テーブルマナーは大丈夫…。一応、俺も貴族だからな!

ワインの選び方…俺は飲めて酔えれば何でもいいが風花の好みを知らない…成人したばかりだし、風花自身も分かっていない可能性がある。価格も罠だな…ワインはヤバい。

メニューも書かれている中から選べば良いのではないか? なぜ細かく注文しなければならないのか…。


「…うぐぐ……そんなに難しいレストランなど無い!!」

子供のような反論しか出来ない上司だった。


「ありますから!」

「いま1番話題のスポットですから!」

「風花ちゃんが行きたがっている可能性、高いですから!」

パリピ3人組がアイテムバッグからチャラい雑誌を取り出して見せた。


“今年オープン!Best10”

“勝負デートはここで決まり!”

“年代別、いま1番デートで行きたいお店ランキング”

── そのすべてにランクインしていた。


パリピ3人組が取り出した雑誌はメンズファッション誌だけでなく女性誌もあった。しかも、その内の一冊に見覚えがあるハンニバルが衝撃をうけている。


「そ…そのF1層向けの女性誌は風花が購読している雑誌ではないか! それに前回のデートで行った“ アリスの不思議なカフェ”もランクインしている…」

「F1層だと成人したばかりの風花ちゃんと誤差があるけど、女性は背伸びしたがるから想定内ですね」

「こういう、ちょっと大人っぽいスポットでリード出来ると印象が段違いですね」

「難易度の意味、理解出来ましたか?」

(F1層は20~34歳の女性を指すので16歳の風花にはちょっと早いです)


「理解…した…」


「実践はまだ先ですね…」

「教えることが山ほどありますから」

「当分はカデンちゃん同伴ですよ」


パリピ3人組に、まだ2人きりでお出かけしないと約束させられた。

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