第38話 ダンジョン攻略とハンニバルの妄想
――― 「任せろ」の言葉通り国内最難関のダンジョンすべて楽勝だった。
「ふふん♪ ふーん♫ 帰ったら風花に褒められちゃうなー」
阿修羅がご機嫌だ。器用に四つ足でスキップしている。
意外なことに阿修羅のスタンドプレーによる無双ではなく、可能な限りハンニバルと勘助が自力でモンスターを倒せるよう、阿修羅はサポートに徹した。
「それは間違いないよ、阿修羅殿のサポートやアドバイスは絶妙だった。普段なら僕らだけでは倒せないようなモンスターも倒すことができたからね」
――― 悔しいが勘助の言う通りだった。
阿修羅の助言やサポートでハンニバルと勘助はレベルアップを果たした。
単純にレベルが上がっただけでなく、阿修羅に導かれて新たなステージに上げてもらった実感がある。自分でも戦い方が洗練されたと感じているのだ。
――― 恋敵に、これほどの余裕を見せつけられるとは……。
浮かれた豆柴の前に敗北感でいっぱいだ。
風花にトキメキ過ぎてこのままでは心臓が持たないと思いつめたハンニバル。距離と時間を置いて冷静になるために遠征に出たのに、遠征中も頭の中は風花でいっぱいだ。距離と時間を取った意味がない。
「阿修羅殿には悪いけど、帰りに寄りたいダンジョンが3つあるんだ。ここのところ挑戦する冒険者が減っていて、この状態が続くとモンスターが氾濫する可能性が高いんだ」
「俺は構わないぜ。せっかく出掛けて来たんだからな!」
「ありがとう、阿修羅殿」
――― しかも聞き分けがよくて良い子過ぎる!
「ほかに心配事はないのか?」
「ありがとう、でも可能な限り僕ら人間の力で解決しなきゃダメだからね。
今まで必ず犠牲者を出していたダンジョンも、今回は無事に攻略出来た。この成果をもとに今後は阿修羅殿を煩わせずに済むように対策するよ。どうしても……という時は相談させて欲しい。」
「人間て真面目だな!でも、そういうとこ好きだぜ」
阿修羅の尻尾がぐるぐる回る。
――― 勘助のやつ、阿修羅の良いところを引き出しすぎだぞ!
「この5日間、ずっと緊張が続いたから明日は休養日だよ。僕は昼まで眠りたいな」
「俺は起きたら自由に出かけて良いよな?」
「ははは! 阿修羅殿は元気だな。昼には戻ってくれるかい」
「オッケー! じゃあそろそろ寝支度するか」
阿修羅がインベントリから、遠征中ずっと使っているブランケットを取り出してフミフミしながら整える。
「手伝おうか?」
「サンキュー、でもシワとか俺なりのこだわりがあるから!」
「そうか。そのブランケットはお気に入りなんだね」
「これ風花のブランケット! 俺、これが無いと眠れないから遠征のために貰った!」
――― 風花のブランケットだと!?
勘助と阿修羅のやり取りを聞いていたハンニバルがカッと目を見開く。
各地の神殿に納められた半裸や全裸な神々の像が腕枕で風花に添い寝する姿を妄想した。
――― 自分の妄想に耐えられずハンニバルは倒れるように意識を失った。
「ははは! 阿修羅殿ったらワンコみたいだよ」
「今はワンちゃんだから!」
「姿に影響を受けているの?」
「そう! 嬉しいと尻尾が勝手に動くし!」
「阿修羅殿は可愛いなあ」
「撫でてもいいんだぜ!」
「ええ! いいの!?」
勘助が阿修羅を撫でまくり、阿修羅の尻尾がブンブン動く。
「ハンニバルのやつ、もう眠ってるぞ!」
「珍しいな、疲れたのかな?」
「勘助! 手、止めないで! 次は首も揉んで」
「はいはい」
「次、お腹なでて!」
「はいはい」
ハンニバルは悪夢にうなされたが、勘助と阿修羅には大満足な夜だった。
・ モンスターの氾濫を未然に防いで+プラス20,000ポイント
・ ハンニバルと勘助のレベル上げサポートで5,000ポイント




