390.制裁、そしてアース世界で異変発生? Side祐樹&朱里
「す、すみませんでした!何卒ご勘弁を!どうか殺さないで下さい!!!」
土下座しなおしてエスカは必死になって命乞いを始めた。
しかし、朱里が辱められ、自身も痛い思いをさせられた祐樹に慈悲の心など無い!
「あんたなぁ、こっちは眠り薬飲まされ、鞭で全身をシバかれ、そのうえ朱里を剥かれたんだぞ?勘弁できるわけねーだろ!」
並の人間なら、エスカ全力の鞭撃を受ければ、皮は引き裂かれ肉が千切れる程のダメージはあるのだが、鍛えられた祐樹の肉体には全身輪ゴムでバッチンされた程度のダメージしかなかった。
しかし、輪ゴムの痛みは中々に心理的なダメージが与えられる。
祐樹は、幼き頃に朱里から【輪ゴムバッチンゲーム】でされ泣かされたトラウマが脳裏に蘇っていた。
「ぶるるる、つまんねーこと思い出させやがって……覚悟はいいか!?」
「いやああああああああああ、殺さないで!許して!なんでもします!なんでもしますから命だけはぁあああ!!!」
「なんでも?……まあ、殺しはしねーよ。とりあえずあんたには鞭の仕返しにデコピン百撃だ!」
「で、デコピン!?それはいったい……ああ、いやあああああああああ!!!!」
ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!………
祐樹は粛々と勇者のデコピンを開始した。
「オラオラオラ―!」
「きゃああああ、痛い!もう許して!堪忍してぇぇぇ!」
必死で許しを乞うエスカを無視して“ビシッ!ビシッ!”とデコピン的制裁を続ける祐樹!
「ビシッ!っと……よし、これで百撃完了」
「ぶしゅう……ビクンビクン……」
エスカの額は赤く歪に腫れあがり、美熟女の面影はまったく無くなってしまった。
「うわあああ、祐樹って女の人にも容赦ないんだ。知らなかった……」
「バカ言え、俺はこいつに全身余すところなく鞭で打たれたんだからな!すんげー痛かったんだぞ!」
ドン引きする朱里に祐樹はピシャリと言う!
そして祐樹は次の制裁へ……
「次はキヨシ、おまえだ」
「うう、一体なにがどうなって……、うわっ、なんだおまえ!おれをどうする……」
「やかましい!」
― ゴキンッ!
祐樹はキヨシにゲンコツを食らわした後、燃え残っているサナダロープを使い、殴られて意識朦朧のキヨシを忍者結び(短いヒモで相手を拘束する結び方)して拘束。
「よくも朱里の全身をベロベロと舐め回しやがったな!おまえだけは絶対に許さん!」
祐樹の凄まじい怒気!
― シュウウウウウゥゥゥゥゥゥ……
怒りの熱波で祐樹の周りが陽炎が立つ!
「ちょっと待て、全身と言っても俺が舐め回したのは鎧だけだったろ!」
「やかましい、何が鎧だけだ!テメー、手を焼かれながらも朱里の胸を揉んだろ!しっかり見ていたからな!そのうえ何度も何度も俺を蹴る殴るしやがって!」
「ええ、そんなことが!?」
祐樹に暴露され、朱里の胸まわりにゾワゾワと悪寒が走る!
「いや、それは違う。おまえの勘違いだ!あれは……そう心臓マッサージだ!朱里ちゃん、信じてくれ!そいつを止めてくれ!」
「何が“朱里ちゃん”よ!この鎧フェチの変態!まさか胸まで揉まれていたとは……絶対に許さない!」
「それどころか、こいつ朱里のヘソに舌をねじ込もうとしてたぞ!あとキスもな!」
「オヘソに舌!?キス!?……いやあああああああ!!!変態!変態!変態!変態!変態!祐樹でさえオヘソなんてあんまりしないのに!」
今度は朱里のヘソ周りがゾワザワとしだし、両手で胸とヘソをガードする。
「違う、あれは……そう、掃除だ!ヘソのゴマを舐めとって清潔にしてあげようとしただけで……」
「それはそれでキモ過ぎるだろ!もういい喋るな!テメーは尻にタイキック百撃の刑だ!」
「タイキック!?やめろ、やめてくれ!うわぎゃああああああああああああああ!」
バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!……
嫌がるキヨシの尻を剥き出しにして、祐樹は粛々と勇者のタイキック!
「オラオラオラ―!」
「ぐええええええええええええええええええ!!!!!」
「バシッ!っと……よし、こいつも百撃完了と」
「うう……殺す……絶対殺してやる……」
キヨシのケツも巨大に腫れあり、近づくとストーブのように熱を感じる。
真冬にこの暖かさは丁度いい。
「まあ、朱里の仇と痛い思いさせられた分の制裁はこんなもんでいいか」
「うう、私はなんか非常に納得がいかない……でももうこの人達とは関わりたくない!」
「こ、これでお許しいただけるのですか!?」
「てめぇ……いつか絶対に殺す……だが今日のところは勘弁してやるぜ……」
キヨシとエスカは床に這いつくばりながら、制裁が終わった事に安堵した。
ところが――
「は?何いってんだ?」
「「 え゛ 」」
「まだ終わりじゃねーぞ!おら、おまえら正座だ、正座!」
― ドカッ!
「ぐはっ!!」
祐樹はキヨシを蹴り飛ばし正座させた。
そして二人に対して、
『自分達の存在を一切口外しないこと』
『奴隷化した外国人に対して金を渡して即時解放すること』
『今後一切自分達に関わらないこと』
この三つを殺さない条件として叩きつけた。
もちろん条件を断っても殺す気などない。
ただの脅し文句だ。
「さて、どうする?」
「わ、わかった条件を飲む!だから酷い事はしないでくれ!」
「うわあああ、これで私は破産よぉぉ!」
二人は泣きべそをかきながら条件を飲んだ。
エスカの店に拘束されていた外国人たちは、大金を渡され一人また一人と解放されていった。
その解放される外国人達を呆然と見送るエスカ。気の毒だが、エスカの金庫は完全に空になった。
また、祐樹はキヨシに対してトンデモナイことを提案した。
「おいキヨシとやら、俺達は近いうちに元の世界に帰る予定だ。悪さをしないと誓えるなら連れて行ってやってもいいぞ」
「ちょっと、祐樹!」
なんと祐樹は自分が召喚者であることを明かし、そのうえ一緒に帰還しないかと誘いをかけた!
一方、自分達の正体をどうやって誤魔化そうと、必死で思案していた朱里は慌てに慌てた!
祐樹の意外な甘さだった。やはり同郷人、悪人とは言えキヨシの事が気になるようだ。
ところがキヨシは――
「はぁ?おまえ頭おかしいのか?あんな汚染された世界、帰りたいワケないだろう!」
冗談じゃないとばかりにプイと横を向く。
「なに、それはどういう意味だ?」
「汚染された世界?」
祐樹と朱里が尋問すると、アース世界はリアース世界同様にバイオハザードが発生しているようだ。
しかし残念ながらキヨシの頭はかなり悲しいようで、詳しい事はまるで理解していなかった。
ただ「人が窒息死するー」「次から次へと新型がー」「細菌だかウイルスがー」「子供がー」などと同じキーワードを繰り返すのみ。
どうもキヨシは、新聞やテレビのニュースなどは一切見ないDQNなようだ。
しかしながら、祐樹と朱里が異世界転移した2019年4月と比べ、その後のアース世界が悪い方に大きく変化したのは確からしい。
「朱里、どう思う?」
「うーん、話半分だとしても、何か伝染病が蔓延しているような……新型のノロかインフルエンザ、あるいはコロナかなぁ……子供って抵抗力弱いからバタバタ死んでるのかも……まさか核戦争じゃないよね?」
貴重なアース世界の情報は、祐樹と朱里にとっては凶報めいたものだった。
それまで自分の住んでいたアース世界は不変であり、帰りさえすればすべてが元通りと思っていた。
それがキヨシの証言通りなら覆される可能性が出て来たのだ。
「俺達の世界にも大異変か……」
「どうなんだろう。私、この人の言う事はイマイチ信用できないかな。言っている事が支離滅裂だし。アニメか漫画の話をゴッチャにしてるのかもよ?」
二人はそれからも尋問したが、これ以上は何も情報は得られそうにないので切り上げた。
というか、ろくに会話が成立しないアホを相手にしたせいで、頭が酷く疲れたようだ。
『なんだなんだ?』
『エスカさんのところで何があったんだ?』
ザワザワと大勢の人の気配。
どうやら騒ぎを聞きつけた近隣住民が集まってきたようだ。
「祐樹、早くこの場を去らないと」
「ああ、そうしよう」
祐樹と朱里は二人に対し、くれぐれも自分達の事は秘密にするようにと強く念押ししてからその場を去った。
しかしその1分後――
「キヨシ様、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃねえよ!あの野郎、絶対に許さねぇ!必ずギタギタにしてやる!エスカ、すぐ警察と自警団に通報しろ!絶対に見つけるんだ!ただし奴らが召喚者であることは伏せておけ!」
「は、はい!」
エスカは言われた通り通報しに走った!
「おーい、この辺りに外国人が潜伏しているそうだぞー!」
「探し出して警察に突き出せ!」
「見つければキヨシ様から報奨金が出るぞ!探せー!」
その晩、マハパワーの都は大騒ぎとなった。
そして通報から戻って来たエスカに対してキヨシは……
「エスカ、見つかったか!?」
「いいえ、それが皆目……」
「ちっ、まあ仕方がない。それよりエスカ、おまえにはまた頼みたい事がある」
「は、はい、なんなりと……」
「おまえがさっき言っていた【ランジェリーアーマー】と【ディメンションアーマー】を解除するアイテムを至急取り寄せろ!届き次第奴らを追うぞ!金は連邦に付けておけ。ついでに半壊した店も建て治すがいい」
「本当ですか!?ありがとうございます!すぐ手配いたします!ところで祐樹達の正体を伏せたままでよかったのですか?」
「それでいいんだ。奴らの正体が知れ渡ったら他の召喚勇者も朱里を狙うからな」
「なるほど、召喚聖女の存在が知れ渡ったら、召喚者だけでなく連邦も兵を差し向けて来ますからね」
「そう言う事だ。ふふふ、聖女朱里か。かならず見つけ出して俺の特別にしてやる!」
どす黒い欲望を滾らせ、キヨシは朱里を狙うかなり面倒な追跡者と化したようだ。
~幼き日の出来事~
祐樹・朱里「「じゃんけんポン!」」
朱里「また祐樹の負けー!」
祐樹「くちょおおおお!!」
― バチンッ!
祐樹「く、つつつつつ……くそ次は勝つもん!」
祐樹・朱里「「じゃんけんポン!」」
朱里「またまた祐樹の負けー!」
祐樹「くちょおおおお!!」
― バチンッ!
祐樹・朱里「「じゃんけんポン!」」
朱里「またまたまた祐樹の負けー!」
祐樹「くちょおおおお!!」
― バチンッ!
祐樹・朱里「「じゃんけんポン!」」
― バチンッ!
― バチンッ!
― バチンッ!
― バチンッ!
― バチンッ!
― バチンッ!
― バチンッ!
…………
……
…
祐樹「うえあああああああああああん!朱里がイジメるうううううううう!」
朱里「いじめてないもん。ズルして後出ししてるのに、それでも負ける祐樹がおかしいもん。」
祐樹「ふびいいいいいいいい!!!!」
もしかしたら、それは朱里を輪ゴムバッチンしたくないという祐樹の優しさだったのかもしれない。
――しれないが、祐樹はガチで悔しそうに泣くのであった。




