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324.交戦、ブリジットとマルタ! 絶望の戦い



 当然、断固拒否するユーシスとアリサ。


 祐樹と朱里もノーを叩きつける!



「むぅ、最近の若者にしてはなかなか頑固ですね……」


「そうだ!じゃあ別れなくてもいいので私達の仲間になりませんか!」



 妙案が浮かんだとばかりにポンと手を叩くマルタ。

 


「はあ?俺達があんたらの仲間に?」


「私達にテロリストの仲間になれと?」


「こんな舐めたことしておいて何言いやがる!」


「テロリストとは交渉しません!」



「テロリスト……同志マルタ、聞きましたか!?」


「ええ、同志ブリジット。人々の住みよい世界を作ろうとしている私達をテロリスト呼ばわりするなんて……」



『およよ……』と、服の袖で涙を拭うそぶりをするブリジットとマルタ。


 もちろん涙など一滴たりとも出ていない。



「ユーシスさん、アリサさん、私達はテロリストではありません」


「人々が安心して暮らせる理想の世界を目指しているだけですよ!」



「たしか〈召喚者の存在しない世界再編〉とか言ったか。確かに異世界人の召喚を止めれば、ティラムとアース双方ともに不幸は無くなる。ここまでは支持できる」



「「でしょう!だったら……!」」



「しかし世界再編というのは世界中を巻き込んだ大戦争を始める事じゃないのか?あんたらのやっている事は戦争を起こすための……いや、女神様が危惧する大異変を起こすためのテロ行為じゃないのか!」



「ガーン!」


「ユーシスさんはお若いから分からないかもしれませんが、大きな革命において血が流れないなんてことは有り得ません。これは仕方がない事なのですよ」



「テロリストはみんなそう言うんだ!」



 テロ認定されてショックを覚えるブリジット。


 革命に流血は仕方がないと訴えるマルタ。


 一蹴するユーシス。



「一つ教えてくれ。俺達はあんたらの組織にとってなんだったんだ?」



 ユーシスはずっと疑問に思っていた事を問うた。


 ―― 何故俺達に干渉するのか?  ――


 ユーシスの願いは、アリサと平穏で幸せに暮らしたい、ただそれだけだ。


 それを邪魔する者は何人なんびとたりとも容赦しない!



「あなた方は、ターゲットを追っていた時に目に付いた、些細な存在にしかすぎませんでした。そう、少し前まではとても小さな潜在的脅威……」


「しかし真正勇者ヨシュアと歩調を合わし始めた今、あなた方は敵なのでしょうね。神託ではありませんがテラリュームの頼み事も受けたのでしょう?」



 そう、ユーシスとアリサは王都で女神テラリュームの頼みを受け、ヨシュアを助ける約束をした。



「あのド腐れ女神……女神の使徒だって幸せを得たいはずなのに……こんな純真な若者たちを誑かすなんて…………でも、少し……いやいや、かなり爛れましたかね?」



 大きなお世話だ!――


 と、心の中で思うユーシスとアリサ。多少の自覚はあるようだ。



「ねえユーシスさん、ヨシュア達やスラヴ王国と手を切り、女神テラリュームの神託も受けないのであれば、あなた方は敵でも味方でもありません。干渉はしないと約束します。どうされますか?」



ユーシス達の返事を迫るブリジットとマルタ。



「そうか、俺達はやはり敵か。だがまだ選択できるわけか……」



言葉一つ違えば即戦いになる。そして勇者としての本能が告げてくる。


『戦えば全滅するぞ!』と!



「なら重々考慮してからお返事しますので、今日の所はお引き取り願えませんかねぇ?」



 今は誰一人欠けることなくこの場を離脱せねば――


 そう思いながら額から油汗を流し答えるユーシスだが、



「いえいえ、お返事は今ここでお願いします」


「私達、こう見えて暇じゃないんです。さあ!」



 二人は返事を急かして来た。


 ユーシスは仲間の3人を見た。皆コクリと頷く。


 すでに腹は決まっているようだ。



「俺達は降りかかる火の粉を振り払うだけだ。もちろん俺達の大切な人達にかかる火の粉もだ!あんたらが俺達の大切な人達を手にかけると言うのなら、選択肢は一つしかない!」


「これ以上交渉の余地はなさそうですね」

「ユーシスさんの刀鍛冶の腕は高く評価していたのですが残念です」



 この瞬間、ブリジット達の組織とユーシス達が、明確にかつ完全に敵対関係となった!



 ― ブォウ!



 ブリジットとマルタの魔気が一気に膨れ上がる!二人はこの場でユーシス達を屠る決意をした!



「みんな気を引き締めろ!仕掛けて来るぞ!アリサ、さっきの歌はできるか!?」


「や、やってみる!」



 ユーシスはアリサの聖女の歌(セイントヴォイス)の一つ、【勇者への聖歌】に賭けた。あれならブリジットを上回る可能性があるかもしれない!


 そして全員が戦闘態勢に入った!




 Lu~♪ Lulu~♪…… Lala♪ Lu~♪ ………… Lu~♪ Lulu~♪…………



 両のコブシを握り、清らかな声でアリサが【勇者への聖歌】を歌い始めた。


 また二人の勇者の力が爆発的に向上する!



「いいぞ、これなら……」



ユーシス達に希望の光が見えかけた。


しかし――



「ふむ、聖女の歌(セイントヴォイス)ですか。そんなものは私達には通用しませんよ。マルタ!」


「お任せを……無効聖歌(インバリッドヴォイス)!」



 Lu~♪ Lulu~♪…………Lu~♪ Lulu~♪……



 両腕を開き、声高らかに聖女の如く歌うマルタ!



「なんだ、奴らも聖歌だと!?」



 アリサの聖女の歌(セイントヴォイス)とマルタの無効聖歌(インバリッドヴォイス)がぶつかり合う!



 ― シュゥゥゥゥゥ……



 途端に湧き出た力が急速にしぼんでいく!



「これはまさか……まさかアリサの歌が消滅させられているのか!?」


「そ、そんな!?」



 なんとアリサの聖女の歌(セイントヴォイス)が無効化してしまった!


 信じられない事態に狼狽するアリサ!



「くそ、このままやるしかない!」



 4人はそれぞれ身体強化を使い――



「炎獄流星斬!」


 ― ボウッ!ゴオオオオオオオオオオオウ!


「雷帝彗星斬!」


 ― バリバリ!ドッシャアアアアアアアン!


「ジゴブレイク!」


 ― カッ!ガラガラガラ!ズゴオオオオン!


「炎華斬撃!」


 ― シュボウ!ボワアアアアアアアアアア!



 それぞれの得意技による一斉攻撃!


 相乗効果により途轍もないエネルギー発生し、それがブリジットとマルタにクリーンヒット!?



ネイルストライバー(ネイル絶対防御)



 ― キンッ! バシッ、バシーーーン!



 否、クリーンヒットならず。


 四人の技はマルタの放ったネイルストライバーに全て防がれてしまった。



「終わりです。では皆さん、せめて来世では幸せに結ばれる事を切実に願っております」



 ― ゴオオオオオオオオオオオオウ!



 ブリジットの全身が黒き炎に覆われる!



「「ストライバー!」」



 アリサと朱里が危険を察知してストライバーを張る!が――



「無駄です。お二人の魔力周波数は解析済みです。ストライバーは役に立ちませんよ!それ!」



 ― ボゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオウウウウウウウウウ!



 確実な死を予感させる超高温の黒き炎!


 アリサと朱里のストライバーの障壁を易々素通りし、ユーシス達四人に無慈悲に襲いかかる!


 四人は、直感的に自分達の人生が、今この瞬間に終わる事を悟らされた!



「も、もうだめだ!アリサすまん!」


「ユーシス!ありがとう、私幸せだった!」



「朱里!朱里!朱里!」


「祐樹、最後まで一緒に!」



 どうしようもない状況を覚悟し、それぞれのパートナーと強く抱きしめかばい合う四人!



 ― ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウウウウウウウウウ



 無念……なすすべもなく、四人は黒き炎に巻き込まれる!



 ………………

 …………

 ……

 …




 否!



「「 多 重 結 界 ! 」」



 ― バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウ!ゴゴゴゴ……



 突如、東洋的な八角形の巨大結界が現れ、ブリジットの黒き炎を完璧に防ぎ切った!



「な、この結界はリアースの!?」


「同志ブリジット、上です!」



 キッ!と上を見上げるその先には――




「ちょっとあんたら、さっきから何を騒いでるのよ!」


「あんたらのせいで、こっちは津波に巻き込まれたりしてエライ目に合わされたんですけどー!」



 そこには明らかに不機嫌そうな美少女が二人、空に浮かんでブリジットとマルタを睨みつけていた。



「やはり現れましたか、魔力特異点!」


「殲滅女子、桜木瑠香と多岐川陽子……」



 ブリジットとマルタは、もはやユーシス達など眼中になく、新たに現れた二人の敵を前に、最大限の警戒と緊張をした。



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