表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
338/471

321.決着(前)


「ちっ、やはりユーシスに押されているか。こうなったら仕方ない。おい、アリサ!朱里!」



 身を引き裂かれる思いで4人の戦いを見守っていたアリサと朱里に、とうとう声がかかってしまった。



「アリサはルイスを助けてやれ!そしてユーシスを必ず仕留めろ! 朱里は僕と一緒に祐樹を倒すぞ!いいな!」



 ネストルはアリサと朱里に怒鳴りつけるように言い放った。


 しかしアリサと朱里は拒絶する!



「え、嫌です!どうかお許しを!」


「わ、私も祐樹に刃を向けたくない!」



 魅了しているにもかかわらず、命令に逆らう二人に少なからず驚くネストルだったが――



「これは命令だ!僕の言うことを聞け!」



ピシャリと二人に言い放つ!




「この野郎!朱里とアリサは、おまえ如き外道が偉そうに命令していい女じゃねーんだよ!」


「おい祐樹、俺と変われ!そいつは俺がぶっ殺す!俺のアリサになんて命令しやがる!」



 自分の大切な女達に対して、やたら偉そうに命令するネストルに、祐樹とユーシスは激しく憤る!



「残念だったな、今はもう俺の女だ!さあ、二人とも早く戦うんだ!ハーレムテンプ!」



 ― モワッ……



 ネストルはハーレムテンプを掛けながらさらに命令する!



「わ、私……どうしたら、祐樹……うう……」


「ユーシス……苦しいよぅ……戦いたくないよぅ……」



 さすがにユーシスと祐樹の前では、ハーレムテンプに若干の抵抗ができるようだ。


 しかしその分、二人はとんでもなく精神を擦り減らし廃人へと近づく。


 そして残念なことに、最終的にはハーレムテンプの効果により、ネストルの言うことを聞いてしまう事になる。



 どんなに足掻いても魅了には抗えずダメージが蓄積する。


 ユーシスはその事が分かっていた。分かっていたからこう言う。



「アリサ、構わないからルイスに付け!そして俺に剣を向けてかかってこい!」


「え、やだ……やだよぅ……もうユーシスに剣を向けたくない……」


「大丈夫だ、最後には必ず助ける!俺を信じろ!」


「ユーシス……わかった…………」



 アリサは虚ろな瞳で抜剣、ルイスの傍らについた。



「この様子なら、剣のキレは鈍いはず。必ずスキが生まれる!」



 ユーシスはスキを突いてアリサの魅了を解くつもりのようだ。




「なるほど、そういうことか……」



 祐樹もユーシスの行動の意図を理解した。



「朱里も俺にかかって来い!最後は必ず助けるから!」


「祐樹……でも……」


「大丈夫だ、信じてくれ!」


「う、うん!」



 ユーシスと祐樹の謎の動きに訝しがるネストルだが、とにかくあの二人が参戦するのなら、もう負けはないと確信したのだった。


 

「君達、バカだろ?だが感謝するよ。これで君達に勝利は無い!徹底的に痛めつけた後で、アリサと朱里が僕と一つになるところを特等席で見せてあげるよ!」


「寝言は寝て言え……いいや、寝言でも許さん!夢の中でも朱里に触るな!近づくな!」



 祐樹がネストルに向かって再び突撃!



「ジゴブレイク!」



 ― ガラガラ、ガッシャーーーーン!



 祐樹のジゴブレイクが再びネストルを襲う!


 しかし今度はさっきのようにはいかない!



ストライバー(絶対障壁)!」



 ― キン! ドギャーーーン!



 祐樹のジゴブレイクは朱里のストライバーにより防がれてしまった。



「ははは、いいぞ朱里!流石は聖女だ!」



 歓喜するネストルの声が祐樹を不快にさせる!



「祐樹―――!」


「朱里―――!」



 ― ガキン! ギュリン、ギュルルルルル……ザシュッ!



 祐樹は朱里と聖刀を交えながら、できるだけネストルと距離を置こうとする。



 ― キンッ! キンッ! ギャルン!



「やはり朱里は躊躇っている、全力では打ち込んでは来ないな!」



 刃の無い聖刀だったせいもあるが、朱里は武闘会ではユーシスに対して本気で立ち向かった。しかし祐樹にはどうしても本気で打ち込めない。


 どうしても、どこか躊躇いがちになりスキが生じる。



「よーし、これならいつでも……うぉっと!」


「はははは、仲良く遊んでないで僕も混ぜてくれたまえ!魔腕ベルリヒンゲン(盗賊騎士の怪腕)!」



 ― ボッ!ボボッ!



 またしても空中に鋼鉄製の腕が複数現れ、空を飛び交い祐樹を襲う!



「またそれか、面倒くせーな! 身体強化(ブーストアップ)4倍!」



 ここで初めて祐樹が身体強化を使った!



 ― バシュッ!バシュッ!バシュッ!



「なんだ!?」



 先程までとはまるで違う祐樹の動きにネストルは驚愕!



「生意気な!ラベリーランス(盗賊の魔槍撃)百峰閃(ひゃくほうせん)!」



 ― ブオッ!



 秒間百撃に及ぶネストルの連続突き!



「ふん、こんなもの!」



 ― バシッ! ギュルッ! シュリリリン!



 祐樹は涼しい顔をしてネストルの槍突を全て躱す!


 そして視線を外しチラリとユーシスを見る。



「ユーシス、こっちはいつでも行けそうだ!」



 祐樹は少し離れた場所で戦うユーシスに声をかけた!






「少し待て!くっ、ルイスめ……」



 アリサの参戦により戦況に変化が起きたかと言えば、実は全く変わらなかった。



「やああああああああああ!!!!」



 アリサはユーシスに斬りかかろうとするのだが――



 ― バッ!



「くっ、また……ルイス君どいて!」


「駄目、前に出なイで!アリサを戦わせルわけにはいかナい!」



 ルイスはアリサに戦わせまいとして前に出る!その為ユーシスに付けられた傷が増えて、また異常な組織に身体が覆われて行く。



「くっ、アリサを庇ってくれる気持ちは痛い程わかるが、今はそれじゃダメなんだよ!」



 ユーシスは、なんとかアリサと剣を交える距離まで近づこうとするが、ルイスが身体を張って邪魔をする!



「アリサに辛イ思いはサセなイ!ユーシス、僕ト戦え!アリサに手ヲ出すナ!」


「仕方がない。許せルイス、おまえも後で必ず助けるからな!」


「やめてえええええええええええええええええええええええええ!」



 ユーシスの雰囲気が変わったのを感じアリサは悲鳴をあげた。


 しかしユーシスは心を鬼にしてルイスに打ち込む!



 ― ギャキッ!ザンッ!ズバッ!ズスッ!



「ギャッ!グハッ!オボォ……ギャンッ!」



 ユーシスの一方的な滅多打ち状態!


 ルイスの組織再生が徐々に間に合わなくなり、動きが鈍くなっていく。



「ああ、ルイス君……ユーシス、もう許してあげて!!!」



 動きの鈍くなったルイスのスキを見て、今度こそアリサが前に出る!



「くっ、やっとアリサが出て来たか……しかしこれは……」



 ― ガキンッ!ザンッ!ギュリンッ!



「なんで、なんでこんな事になってるの……どうしてこの三人が戦うの……どうして私がまたユーシスの剣を向けなきゃいけないのよ!」



 ― キンッ!ザンッ!ズバーッ!



「くっ、流石アリサだ、躊躇いながらも一撃一撃がとんでもなく早く重い!それでもなんとか……」



 ユーシスはなんとかスキを見つけて、ハリセンの一撃を与えようとするも中々厳しい!



「なんでルイス君が傷ついて……私がユーシスに剣を……いったい誰のせい……誰のせい……」



 ― ガキン!ガキン!ガキン!



「アリサ?」



 ユーシスはアリサの様子がおかしい事に気が付いた。



「誰のせい……それは……あああああああああああ!」



 ― ガキッ!ギリリリリ…



「決まってる!あいつの……!ネストルのせいよ!!!!!!!」



 ― パリーン!!!!!!!!!




 アリサの脳内に巣食っていたハーレムテンプが一気に砕け散った!



 ―ギンッ!



 アリサはユーシスへの打ち込みを止め、離れた場所で祐樹と戦っているネストルを睨みつける!



「ネストル!あんたは絶対に許さない!」



 完全にアリサの様子が変わった事に驚くユーシス!



「アリサ、もしかして自力で魅了を解いたのか!?」


「ええ、もう大丈夫!私はもう魅了されていないわ!」


「そうか!なら……祐樹!」



 ユーシスはネストルと交戦中の祐樹を呼んだ!





「待っていたぜ!」



 祐樹はギンッと目の色を変え、聖刀を鞘に納め猛ダッシュ!



「な、おまえ何を!?」


「邪魔だ!どけええええ!」



 ― ガツッ!



「グボォッ!」



 祐樹はネストルの槍撃を掻い潜り、鳩尾に重い一撃を食らわした!


 そしてそのまま朱里の元へ!



「いやっ!来ないで!」



 ― バシュッ!



 躊躇いがちの朱里の斬撃を易々かわし、腰のホルスターからハリセンを引き抜き一閃!



 ― スパーーーーーーーーン!



「きゃああああああああああああああ!!!!!!」



 ― シュワー――……



 朱里の脳内に巣食う、ネストルの偽りの愛が、潮が引くように消えていく……



「え、祐樹……え?え?ええええええええ?」



 混乱し狼狽する朱里だが、ここでモタモタする訳にはいかない。


 祐樹はネストルを警戒しながら、朱里を抱きかかえて一目散に一旦離脱する!



「ゆ、祐樹、私、私、祐樹に向かって剣を……それに……」


「朱里、今は考えるな!そして絶対に近づくなよ!アリサ、朱里を頼む!」


「わかった、ストライバー!」



 ― キンッ!



 アリサは狼狽する朱里を預かると、ハーレムテンプから身を守るために、すぐストライバーで周囲を囲った。


 アリサと朱里を無事奪還し、ユーシスと祐樹はもう何も遠慮はしない!



「さあて、それじゃあ!」


「思う存分ぶっちめてやろうぜ!」





 ユーシスと祐樹は鬼の形相で、改めてネストルとルイスに対峙した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【追放した側のファンタジー~英雄ケンツの復活譚】☆イケメンポーターを追放したら、なぜかド底辺に大転落したんだが!?
ティラム逃亡記第七章と同一世界・同一時間軸の裏面的姉妹作品。
第一章ではサブヒロインにアリサが登場・活躍します!
ティラム逃亡記の休稿日はこちらをお楽しみください!

【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】
イケメンポーターを追放したら、なぜかド底辺に大転落したんだが!?
https://ncode.syosetu.com/n5138hd/



小説家になろう 勝手にランキング
♡♡♡♡♡♡♡♡
― 新着の感想 ―
[良い点] ネストル、無茶しやがって。 踏絵がまだ早いのは既に分かってただろう…… アリサは祐樹に。朱里はユーシスにぶつけるべきでしたな。 と思ったが、可能性としては ユーシスと祐樹の戦意が揺らぐこ…
[良い点] アリサが自力で解除した…だと!? [気になる点] ユーシスへの想いだけでは自力解除に至らなかったのに、ルイス君からも愛されて、彼が傷付いた事で自力解除が出来るようになったところ。 ※ルイス…
[一言] うおー! アリサ偉い!良くがんばった! しかし、まだ後半もあるから油断ならないな…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ