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第21話 ノエルとヴァイスの魔導指南

「明確なイメージを伝える……か」


 これまで魔導理論など学んだことのないカッツェだが、「詠唱省略は誰にでもできる」と言われたことで、好奇心がむくむくと頭をもたげていた。自分はあくまで武器による攻撃がメインだが、ノエルのように簡潔な呪文で魔導術を発動できれば、もっと戦いの幅が広がるかもしれない。どこまでも戦士らしい、彼の発想だった。


「はい。精霊は純粋なエネルギー体なので、私達の思念おもいがダイレクトに伝わります」


 そう言って、ヴァイスがより具体的な例を挙げた。

 例えば火を起こすとき。

 術者が雑念を持ったまま呪文を唱えた場合、精霊には”火を点けたい”という意思がきちんと伝わらない。よって、発動する魔導術の効果も弱々しいものになってしまう。

 逆に、術者が「燃え盛る炎」を明確に思い描き、ストレートにそれだけを念じた場合。精霊は術者の意図を理解して、効果は高まり、発動も早くなる。


「例えば、ノエル様の場合。元々持っている魔力量が多いだけだけでなく、精霊に強く意思を伝える天性の才能を持っているので、強力な魔導術をすぐに発動することができるのです」

「ううむ……。でもノエルは、大型の魔導術を使った後によくぶっ倒れてるよな?」


「そうですね。実は、上級の術者となって精霊も成長してくると、元々契約している精霊以外にも、その地にいる精霊達が自然と力を貸してくれるようになるんです」

「ノエル様の場合、自らの差し出せる魔力量を超えて、精霊が集まって来てしまうようですね」


「”もっと強い威力を出したい!”って思って集中してると、こう、精霊たちが手を繋いで、遠くから”ぶわぁ~~”っとパワーを運んで来てくれるんだよね!」


 ノエルが両手を大きく広げて、何やら力説している。せっかくヴァイスが論理的な説明を続けていたのに、ノエルの感覚的な説明で、再びカッツェの頭に「?」が飛び交い始めた。


「最後のは、よくわからなかったが……。とにかくお前が凄いってのは、なんとなくわかったぞ」


 無理やりノエルを持ち上げて、適当なところで話をまとめにかかる。カッツェとしては、難しい理論よりも実戦で役立つ魔導術の活用方法が大事だ。


「もー。せっかく僕とヴァイスが丁寧に教えてあげたのに」

「いや、お前の説明だけじゃ正直、全然わからなかったぞ」

「ノエル様は、感覚タイプなので……。まぁ、普段魔導術を使う分には、そこまで理解していなくても大丈夫です。とりあえず、カッツェにも使えそうな戦闘系の炎魔導術を、いくつか練習してみましょうか」


 カッツェの意図を汲み取り、ヴァイスが魔導講義をようやくお開きにした。

 翌日から、ヴァイスとノエルによる実践的《スパルタ式》魔導術指南――いわゆる特訓――が始まったのだが、その話はまた別の機会にするとしよう。



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◆冒険図鑑 No.21: 呪文スペル

 言霊ことだまというものを知っているだろうか。言葉には、魂が宿っている。

 私たちが自分の”想い”を口にするとき、実は魂の内にあるエネルギーを取り出して、外に向かって投げつけている。それが「言葉」であり、「呪文」の本質だ。


 本心からの”想い”を口にしたとき、それは正しい呪文となる。

 もし本心とは違う言葉を口にしたなら、それは歪んだエネルギーとなって、自分自身に跳ね返る。

 精霊は、人間の言葉の意味を理解しない。ただその”想い”を読み取るだけだ。


 ”想い”は、響きに表れる。悲しい響き、朗らかな響き。嬉しい響き、怒りの響き……。それらはエネルギーの波となって、精霊の耳に届く。だから、呪文を口に出すときには、表面上の文字の連なりよりも、”想い”と”響き”が大切になるのだ。

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