表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/24

煮える茹蛸

「あら、よかったわ、身長も腰回りのサイズもぴったりで。

 良く似合っててカワイイわよ、ユリアちゃん」


 そう褒めるスザンナと現れたのは、ピンク色のロココ調ドレスを着たユリアであった。

 上半身はコルセットにより締められ、肩から足先までつながったひらひらでいっぱいのドレスの前面や大きなふりふりのついた裾に、腰辺りからふんわりと幅広い大きなスカートをはき、背中には蝶々結びのでかい赤いリボンまでつけている。

 さらには、ショートヘアーをごまかすためのピンク色の帽子までかぶっている。


「ふるふるひらひらのついたカワイイ服によくにあっててカワイイぞ。

 そうだ!せっかくだから、キルロスじっちゃんや父上、他の使用人達皆にも見てもらおうじゃないか。

 今度トロワに用があるから、その日もユリアの晴れ姿をお披露目しよう!

 町中の人達がユリアを注目するだろう。

 そうなったら主としてはまったく鼻が高いな!」


「う…うぅ……」


 ユリアは予想通り顔をトマトみたいに真っ赤にさせて俯き少し唸り続ける反応をしてくれた。

 カワイイ服を着慣れずにカワイイと言われて恥ずかしさで一杯になるユリアには、これが3人を言い含められるお仕置きだろう。

 俺だってそれくらい恥ずかしかったんだぞ、と正当化する。


「それじゃあ、まずはキルロスじいじに会いに行こう」


 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


「マリアのドレスでユリアを着飾らせてどうしたんじゃ、仕置きはしたんかの`?」


 どうやらマリアが着ていたことは覚えているらしい。

 が、じっちゃんはこれが仕置きとは気付いてないようだ。

 仕方ないのでこそこそと話して納得してもらうことにしよう。


「じいじ、ユリアは恥ずかしがりやなんだよ。見て、ユリアの顔。

 完熟トマト…というより茹蛸みたいになってるでしょ。

 カワイイって言われ慣れてないから余計にそうなっちゃってる。

 僕がどれくらい恥ずかしかったかわかってもらうのに一番手っ取り早いんだよ。

 それに金もかからないし」


 びしばし折檻しても疲れるだけだしな。


「見れば確かに破裂しそうなくらい熟れたトマトような顔をしとるわい。

 冬だったら湯気でもでてそうじゃな。うむ、金もかかっとらんし、まあいいじゃろぉ」


 第一関門突破っ!やはり金にがめついじっちゃんには効いた言い訳だったな。


「それじゃあ、ファルペ父上にも見せに行ってきます」


「えっ……」


「そうじゃな、かわええおなごが着た久しぶりにマリアの衣装を見れるんじゃ。

 あやつも感じ入るじゃろうのォ」


「ぅ…ぁぅ………」


 部屋へと行く間、そのまましゃがみ込みそうなユリアの手を引きながら使用人達に見せびらかすためわざわざ遠回りした。


「あんれぇ、めんこいねぇ、ユリアちゃん」


「ほんとだねぇ、お姫様みたいだねぇ」


「かわいいねぇ、マリア様を思い出すねぇ」


「ユリアちゃん、飴食べるかい?」


 使用人達のほとんどは中年のオバちゃんたちである。

 だから娘や孫みたいな感覚で褒める褒める。

 若い女の使用人が少ないのはファルペがベテランの人間でまわしたほうが問題が少なくていいだろうという考えと、ファルペが若い女に興味がないことの裏返しでもある。

 この様子じゃ、奴隷の癖になにカワイイ服着て調子に乗ってんのよ的な女の嫉妬攻撃はおこらなさそうだ。


 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


「父上、失礼します」

「入れ」

 事務的なやり取りの後で、涙目で後ずさりしたがりそうなユリアの手を引いてファルペの執務室へと入る。

 何年も入ってないから部屋の中はどうなって………

 っうーーわっ!机の上に書類が山盛りでファルペの姿が見えないよ。

 俺はこうはならないようにしないとな…


「父上、ユリアを連れてまいりました」


「うん…?おお、マリ…いや、ユリアか……、一体どうしたのだ?」

「はい、昨日の宴の後、ユリアの心をなにかで癒してあげようと思いましたら、亡き母上のことを思い出しまして。

 どのような姿だったか服だけでも面影を再現してみたくなりました。

 そうしたらドレスがぴったりでしたので、こうして父上にも見てもらおうと連れてきたわけです」


 嘘である。仕置きのつもりも、単に面白がってるだけとなってきている。


「うむ…ユリアも色々あるとは思うが、今後も一層ジルイドによく仕え励むように」


 ファルペはユリアの茹蛸にでもなりそうな深紅の顔を一瞥しただけで、これが仕置きの側面があると察したようだ。


「父上、ユリアを連れてきた理由はもう一つあります。

 父上のおっしゃったカゴ教の腐敗に関する仕事の詳細について伺いました。

 ユリアは私を補佐するのに必要となるでしょう。同席の許可を願います」


「いいだろう、女性に話すのは憚られるが、仕方があるまい」


 まあ、補佐してほしいなどというより、いっそ、ユリアが俺の代わりにすべてやってくれたらいいのだがとの思いで連れ込んだんだがな。



魔王の階というポーランドあたりの中世ヨーロッパを舞台にした、さんでーうぇぶりの漫画にはまりました。エミリア姉ちゃんすばらしいですね。はい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきましてありがとうございます
もし『ブックマーク評価感想をしていただけたら
もうかなり嬉しいですし助かりますのでよろしくお願いします
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ