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絵本の中に箱庭の世界を創った。
魔女は人形たちに仮初の命を吹き込んだ。
絵本を開けば、元のストーリをなぞって紙芝居が始まった。
人形たちは、脚本通りに役割を演じる。
役割を外れるものは現れなかった。
だから、魔女はゲームを始めた。
絵本の外にも世界があるのだと知らしめるために。
王子そっくりの人形を餌に少女たちをゲームに誘った。
絵本の中へ閉じ込めた人形の心。
それを取り戻せば、人形は人間に戻る。
見つけることが出来たら、人形はあなたにあげる。
でも、見つけられなかったら、あなたも心を奪われて人形になる。
そう囁いて、人形に焦がれた少女たちを絵本の世界へと送り込んだ。
選んだ少女たちはみな、華やかで美しい見目のものばかりだった。
どこか絵本の魔女に似た面差しの少女たちを姫の立ち位置に据えた。
それは、少女だった頃の感傷……の名残だったのかもしれない。
魔女が直接的に働きかけて、絵本の魔女を箱庭から引きずり出すのは造作もないことだった。
けれど、それでは意味がない。
絵本の魔女が自ら覚醒し、己の力で箱庭から脱却することを魔女は望んだ。
エンジのコレクションが増え。
王子の人形が二体、勝者の元へと旅立った。
絵本の世界には、揺らぎが生まれつつあった。
自我の揺らぎ。
引き金を引いたのは魔女ではなく、王子だった。
王子は心を手に入れた。
箱庭の世界には異形が放たれた。
置物だった姫は物語に介入しだした。
そして、絵本の魔女は――――。




