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魔女の仕掛け絵本ーRー  作者: 蜜りんご
第4章 シュワシュワ大河と渡り守
20/30

5 ***

 絵本の中に箱庭の世界を創った。

 魔女は人形たちに仮初の命を吹き込んだ。

 絵本を開けば、元のストーリをなぞって紙芝居(人形劇)が始まった。

 人形たちは、脚本通りに役割を演じる。

 役割を外れるものは現れなかった。


 だから、魔女はゲームを始めた。


 絵本(箱庭)の外にも世界があるのだと知らしめるために。


 王子そっくりの人形を餌に少女たちをゲームに誘った。

 絵本の中へ閉じ込めた人形の心。

 それを取り戻せば、人形は人間に戻る。

 見つけることが出来たら、人形はあなたにあげる。

 でも、見つけられなかったら、あなたも心を奪われて人形になる。

 そう囁いて、人形に焦がれた少女たちを絵本の世界へと送り込んだ。


 選んだ少女たちはみな、華やかで美しい見目のものばかりだった。

 どこか絵本の魔女に似た面差しの少女たちを(主人公)の立ち位置に据えた。

 それは、少女だった頃の感傷……の名残だったのかもしれない。

 

 魔女が直接的に働きかけて、絵本の魔女を箱庭から引きずり出すのは造作もないことだった。

 けれど、それでは意味がない。

 絵本の魔女が自ら覚醒し、己の力で箱庭から脱却することを魔女は望んだ。


 エンジのコレクションが増え。

 王子の人形が二体、勝者の元へと旅立った。

 絵本の世界には、揺らぎが生まれつつあった。

 自我の揺らぎ。


 引き金を引いたのは魔女ではなく、王子だった。


 王子は心を手に入れた。

 箱庭の世界には異形が放たれた。

 置物だった(元主人公)は物語に介入しだした。


 そして、絵本の魔女は――――。


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