表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/33

【5】おっさん、驚愕される


「今回のことは本当に助かった! 改めて礼を言わせてくれ!」


 カウンティア冒険者ギルド支部。

 そのギルドマスター室に通された俺は、応接用のテーブルを挟んで対面に座ったギルドマスターから、深々と頭を下げられていた。


 目の前のギルドマスターは、俺を治療室まで案内した壮年の男だ。

 ギルドの職員に色々と指示を飛ばしていたから薄々とは気づいていたが、やはりこの男がギルマスだったらしい。


 その事に驚きはないが、一支部とはいえ、その頂点に立つ男にこれほど面と向かって感謝されるのは面映ゆいものがある。


「いや、俺は俺にできることをしただけだ。気にしないでくれ」

「そんなわけにいくかよ。あんたが作ってくれた解毒ポーションもギルドが買い取るから、安心してくれ。そこまで高くは買えないが、色つけるからよ」


 そうして顔を上げた髭面のギルドマスターは、厳つい顔に意外にも愛嬌のある笑みを浮かべた。


「それに何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってくれ。あんたはこのギルドの恩人だ。冒険者にできることなら力になるぜ」

「そいつは心強いな。ありがとう。覚えとくよ」


 ここで遠慮するのも違うと感じて、俺は苦笑しながらそう言った。

 ギルマスも「おう!」と頷いて、ニカッと笑う。


「んで、改めて自己紹介するが、俺はカウンティア支部のギルドマスターをやってるザックだ」


 ギルマス――ザックの名乗りに、こちらも返す。


「俺はロイドだ。一応カウンティア出身なんだが、つい最近までは帝都で冒険者クランに所属していた。まあ、色々あってクランを辞めて、故郷に帰って来たばかりだ」

「なるほど。見ない顔だと思ったら、そういう事情だったのか。ってことは、これからこっちで冒険者をするつもりか?」


 俺は「まさか」と首を振る。


「さすがにこの歳で冒険者をやっていく自信はないさ。こっちに帰って来たのは、アイテムショップを開くためだ」

「アイテムショップ……ってぇと、自分で作ったポーションでも売るのか?」

「まあ、ポーションっていうか、色々だな」

「……なあ、別に隠したいことなら答えなくて良いんだが」


 と、言葉を濁しつつ答える俺に、ザックは様子を窺うように聞いてくる。

 やはりというか、冒険者ギルドのマスターをしているだけはあり、色々と勘づいているのだろう。


「ロイドのクラスは何なんだ? 一瞬でポーションを作り出すなんて、アルケミストにあんなことができると聞いたことはねぇし、アイテムクリエイターかとも思ったが、ありゃ確か素材がねぇとアイテムを作れなかったはずだ。ロイドみてぇに何もないところからアイテムを取り出すみたいに「生み出す」なんてよ、これでも生産系のクラスにも顔見知りは多いが、あんなの初めて見たぜ」


 俺はザックに答える代わりに、腰に下げているアイテム袋に手を突っ込み、冒険者カードを取り出した。

 それからカードに魔力を流して、俺自身のステータスを表示する。

 ちなみに魔力のないクラスの場合、魔力の代わりに「気力」を流すとステータスが表示される仕組みだ。


「確認するか?」


 そう言って冒険者カードを差し出した。

 ザックは戸惑ったように視線を揺らしていたが、


「良いのか?」


 興味には勝てなかったのか、恐る恐るというように手を伸ばしてきた。


「まあ、今さらだろ?」


 目の前でポーションを作って見せた時から、問われることは分かっていた。

 それに、素材も何もなく一瞬でポーションを生み出せるのは確かに珍しい――というか、かなり特異だが――それでも作成できるのは、所詮初級のアイテムだけだ。

 むしろ思わせ振りに隠したりする方が、余計な面倒事に巻き込まれたりしそうだ、というのが、俺の結論だった。


「すまん、確認させてもらう」


 ザックはカードを受け取り、神妙な顔でステータスに目を通す。

 そして――、


「なッ!? なんっだこりゃあッ!?」


 両目を見開いて叫んだ。

 俺は苦笑しつつ、内心で頷く。そりゃあ、「アイテムマスター」なんて聞いたこともないクラスを見れば、驚きもするよな。


「なんだこの魔力量は!? 化け物か!?」

「――って、そっちかよ」


 どうやら驚いているのは、俺の魔力量に、だったらしい。


「そんなに驚くことか?」

「そりゃあそうだろ!? こんな数値、A級の魔術師でも見たことねぇぜ!? いったい何したらこんなことになるんだ?」


 何って言われても困るんだが……。


「そうだな……ほぼ毎日、魔力を枯渇するまで消費して、魔力回復ポーションを飲みながらさらに魔力を使う……ってのを、22年くらい続けたら、誰でもそれくらいにはなるんじゃないか?」

「…………」


 正直に答えた俺に対して、ザックは失礼なことにドン引きしていた。


「……ロイドは、あれか……? 苦痛を快楽に変換するっていう人種か……?」

「そんなわけあるかッ!」


 本当に失礼だな!?


「いや、隠さなくても良いんだぜ……? 俺の知り合いにも何人かいるからよ。……いや、さすがにロイドほどの領域には至ってねぇが」

「だから違うって言ってんだろッ!?」


 この後、ザックのふざけた誤解を解くのに、無用な時間を浪費してしまった。



お読みくださりありがとうございます(o^-^o)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 知り合いにドMが何人もいるのか……類は友を呼ぶってやつかな?(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ