1/62
幸運を
「本当にいいのか」
ゼノの問いに、ユィンは「俺は、いい」と返す。
「嘉一に、何を伝えるつもりだ」
「ゼノが優しい事を」
ユィンの言葉に、ゼノが「俺は嘉一に優しくする気が無いのに?」と笑う。
「いつまで意地を張れるか、見れないのが残念だ」
「俺が優しいって、ユィンは、俺の何を見たの」
ゼノは歩き出し、教会の扉を開ける。
ユィンが、その後ろを着いて行き、ゼノは杖を構えた。
「じゃあ、嘉一が居る地方に雪が降るようにして、雪に埋もれた嘉一が風邪で死んだら、お前と中身を入れ替えるから、お前は嘉一に話し掛けてね」
黙っていたユィンが「分かった」と口を開く。
ゼノが「多分、もう二度と、お前には会えないけど、幸せになれよ」と俯いた。




