犠牲
「……という事は、蜂蜜を手に入れるためにはマッドベアラーの住処を見つけて、奪い取る必要があるの!? ビービーは!!」
「近くの巣が壊れたから、この花畑には見つけにくいと思う。蜂蜜を狙って、マッドベアラー付近にいる可能性は十分あるかと」
ビービーもそうだが、ビックワガタが誘き寄せられる事もありえそうだ。
「新たな巣を探すにしても、マッドベアラーに先を越された意味がないんです。だったら、マッドベアラーの住処から……の方が可能性はあると思うんです」
ビービーの巣があるとすれば、後はゴール地点の花畑か? それ以外にあっても、マッドベアラーが徘徊しているのなら、壊されるのも時間の問題だろう。
それを考えると、試験官は参加者達をマッドベアラーの住処に行かせるつもりだったんじゃないか?
ソロは無理でも、パーティーを増やせば可能性はある。合格者数上限があったとしても、何処まで協力出来るのかを試しているのか?
「なるほどね……焼けた!! 先に食べてもいい?」
ラビは空腹に耐え切れず、OKを聞く前にキノコンじゃなく、何かの肉を食べ始めた。
俺様が見た感じ、毒は無さそうだったからな。危険なら、流石にサマナとラビに声を掛けていた。
「なので……同じ目的の物があるのなら、一緒に住処を探しませんか? パーティー扱いになった場合は責任を持って、合格のポイントやアイテム集めを協力します」
「合格者上限が僕達全員が無理だった場合、僕が諦めてもいいと。先にキララを合格させてやりたいからな」
「「それは……」」
キララだけじゃなく、サマナも痛々しそうな顔をしているな。誰かを犠牲するのは嫌なんだろう。
とはいえ、サマナ自身が諦めるのは違うからな。合格者の残りが三人だった場合で、二人だったら……
サマナかラビのどちらかは諦めないと駄目になるだろ。
「僕は譲れないよ。探索者試験は二度目だし、仲間がいる今回が一番のチャンスだからね。次回の探索者試験で合格の条件が更に厳しくなってもおかしくないわけだし」
ラビは食べる事に集中してると思いきや、先に言いたい事を言ってのけた。
獣人という事もあって、次にサマナみたいな仲間がいるとも限らない。ガキ共みたいな奴等が邪魔してくる可能性もある。
前回の探索者試験よりも合格条件が厳しくなってるのなら、次回は更に厳しくなってもおかしくはない。
ラビの発言も無理はないわけだが……
そこはサマナも同じだ。ラビやキララ、チェリオよりも実力は下だ。ラビという仲間がいる今回がチャンス。
ソロの状態で、死霊術師だからと狙われる事なれば、サマナの精神的にもダメージが入りそうだ。
とはいえ、サマナがラビのように強くは言えない気がする。




