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俺様の名は!!

 ようやくだ。ようやく、この部屋から外に出られる。


 俺様と契約出来る奴が目の前に。


 年若く、見窄(みすぼらしい黒髪の少女。共に行動する仲間もいない。だが、純粋そうな瞳をしている。俺を見て、オドオドしている姿もまた良い。


 この場所は人知れず、誰も知らない。特定の条件を持つ者だけが訪れる事が出来る。


 極稀に迷い込む奴がいるが、すぐに走り去る。俺様がいる場所に辿り着くなんて事は到底ない。


「俺様の名はドクロード=アーク=サンドリオン。幾百の魔法、幾千の知識を持つ者だ」


「何か格好付けた言葉を言ってるし」


「見た目がアレなのにね」


「そんな言葉で逃げられたら、どうするんだよ」


「折角、僕達の話を聞けて、この場所に案内出来たのに」


「外野は黙ってろ!! ここは俺様の見せ場なんだぞ。……この子を連れて来てくれた事には感謝するがな」


 この場には俺様と契約者(未定)の少女。他にいるのは……


「ガイコツさん、幽霊さん達を怒らないで。私に出来る事なら、何でも聞くから」


 老若男女の複数の幽霊達。


 少女は幽霊達と話す事が出来るからこそ、この場に案内されて来たんだろう。


 しかも、この幽霊達はどんな誘い文句を言ったのか。ろくでもない……俺様を悪い風に囁いたに違いない。


「……別に怒ってはいないぞ。それにだ!! 俺様はガイコツではなく、ドクロード=アーク」


「長すぎなんだよ。骸骨……しかも、頭しかないんだから。綺麗だったのも、今となっては……」


「契約して貰うためにも、偉そうな事は言ったら駄目でしょ!!」


 青年の幽霊の言う通り。俺様は頭蓋骨のみの姿。体の骨はない。俺自身の頭だったわけでもないんだが……


 頭しかない俺様はこの場所から何処かへ行く事も出来なかったわけだ。


 幽霊達が移動出来る範囲も限られているのもあり、俺様を捨てに行けないのもある。


 オバサンの幽霊も、俺様がこの場所から出て行って欲しい事もあり、説教じみた言葉を投げてくる。


「はぁ……呼びやすいように呼んでくれたら良い」


 溜め息を一吐き。頭蓋骨だけだが、声も出るし、口を動かす事も可能。


 感情次第で色も変化するんだが……長年の汚れでそれも分からなくなっているんだろうな。自分の姿が見えない俺様でも分かる。


 昔は綺麗な七色に変化する水晶の髑髏だったのにな。


 契約者に汚れを落として貰うのも夢ではあった。


「……良いの? ……ガイコツさん」


 少女も俺様と幽霊達を交互に見た後、恐る恐る言葉にする。


「そのままだな!! ……それで構わないぞ。貴様の名は」


 それが一番分かりやすいからな。とはいえ、俺様も貴様とか、女と呼ぶわけじゃない。契約者(仮)として、きちんとした名前で呼んでやる。


「サマナ……です」


「……サマナだな。年も聞いていいか?」


 俺様みたいに家名がないのは意味がある。昔と同じであるなら、家がなく、孤児院出身という事だ。


 孤児院を出る時、孤児院の名がラストネームになる。


 その孤児院を出るのは十五歳。


 十五歳になった時、職業鑑定を受けれるようになる。そして、十六歳になるまでに孤児院を出て、独り立ちをしなければならなかったはずだな。


「十五歳……です」


「その年齢で職業鑑定を受けるのは間違いないか? そして、孤児院を出なければならないのは今も同じなのか?」


 俺様の言葉にサマナはビクッとした。孤児院出身なのは間違いない。


 サマナは孤児院からも良く思われてはなさそうではある。


 孤児院を出る前には、ある程度の服装を用意して貰えるもの。だが、彼女の服はボロボロのままだ。


 その嫌われている理由も粗方予想出来る。


 そのお陰もあって、この場所に来れたはずだ。


「……はい。孤児院からは追い出されました。他の皆は先に出て行ったのもあるけど、新しい子達も来るからって……」


 サマナは下を向いている。


「追い出されただと!! 他の者達が出たからといって、猶予があるはずのにか? サマナの職業は何だ?」


「…………」


 彼女は答えない……か。それが追い出された理由の一つになるわけだから、仕方がない。

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