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アストラルボディ  作者: 薔薇クーダ
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ハングレとの対戦

ジンはいよいよ小暮陽介の配下に入った族達を潰す為の活動に入った。

 ジンは小暮陽介の配下に入った族達を片っ端から叩き潰して同じようにして警察に突き出しておいた。


 殆どの者は中毒患者になっていたが、それ専門の治療施設で治療すれば、何とか元の体に戻れるだろう。ただし楽ではないが。


 驚いたのは警察の方だった。今回の件に関しては交通機動隊及び麻薬が絡んでいると言う事で刑事課にも連絡が行った。


 当然刑事課の石渡刑事や岩田刑事達の所にも連絡があった。


「おい、これはどないなっとるんや。誰がこんな事やったんや」

「さー、まぁ悪い事ではないんですが」

「それじゃー困るやろう。わしらの面子が立たたん」

「確かにそうですな」


 最近この辺りの族達がおかしな動きをしていると言う報告は上がっていた。


 族が他所の地域でハングレや時にはやくざ相手に喧嘩してると言う報告だった。


 普通暴走族は交通規則を破って迷惑走行をしても自分から族以外の者達に襲い掛かる事はなかった。


 しかし最近はそう言う事態が頻発していると言う。まるで誰かの為に動いている様に。


「取り敢えずこいつ等を絞り上げてみるか」

「そうですな」


 ジンはジンで彼ら暴走族と戦った時に相手の記憶を探ってみた。そして彼らもまた昭雄と同じ様に例の化け物に叩きのめされていた。


 その上で麻薬を打たれ傘下に入れられた様だ。そしてそのバケモノは一人ではなかった。彼らの記憶の中には二人のバケモノが映っていた。


『なる程、敵は二人いると言う事か。面白い。では今回はバケモノ狩りと行ってみるか』


 ジンはライダー姿のままでハングレ達の居場所を気のセンサーで探っていた。


 黒く澱んだ溜まり場所は三か所あった。一か所目には30人位がいた。


 先ずは軽く叩いておいて後で殲滅するつもりでいた。二か所目の規模も似た様なものだった。


 ただ三か所目は少し違った。どうやらここが中心と言うかボスのいる所の様だ。


 アジトもしっかりとした建物だったし、かなりの武力も持ってる様だ。


 取り敢えずは最初の二か所のアジトを先に叩き潰しておいた。


 彼らにしてみれば、たった一人の暴走族が殴り込んで来た所で問題ないと思っていた。


 それが意外に強かった。いや、むしろ自分達の「恐怖の更生人」と呼ばれるあの二人と同等の強さの様に思えた。


 三か所目にジンが向かって行った時、数人は日本刀を持っていたし中には拳銃を持っている者もいた。


 そんな物を何処から手に入れて来たのだろうとジンは思った。やくざでもあるまいし。勿論それでもジンの敵ではなかった。


 ただその中に二人、ボスの両腕の様な者達がボスの左右にいた。これがそうかとジンは思った。


「ここまで来たのは褒めてやるがここがお前の墓場だと知れ」


 ボスがそう言った時、二人の内の一人が前に出た。つまりお前など一人で十分だと言いたいのだろう。


 体格はそれ程大きくはない。むしろジンの方が少し背が高い位だった。しかしその身体能力は常人を遥かに超えていた。


 この前昭雄達との戦いで見た通りだった。特に何かの武術や格闘技に優れていると言う様なものではなかった。


 単純に力強いと言う事と身体能力が高い。それだけの事だった。もしここに何かの技術が付随していればもっと大きな力になっただろうにとジンは思った。


 しかしそれでも常人では出せない力を出していた。丁度肉体のリミッターを取り外した様に。


 ただこれではやがて体の方が耐えられなくなってしまう。持続出来るのは30分が限界だろうと読んでいた。


 今迄何ともなかったのは30分も戦わなければならない相手に出くわさなかっただけだ。もしくは自分を超える力を持った相手と。


 しかしこれでも並のやくざでは到底相手にはならないだろう。なる程ここでトップを張っていられるのも分かると言うものだ。


 それでもまだジンの相手ではなかった。少し本気を出したジンにボコボコにされていた。


 本来ならその男を殴って受けられれば殴った腕が折れると言われたはずが、折れたのはその男の腕の方だった。


「何故だ。何故信二が負ける。この強化戦士が」

「ほー、そいつは強化戦士と言うのか。どうやって作った」

「康之、今度はお前が殺してこい」

「問答無用か。ならお前の体に聞くしかないようだな」


 康之と呼ばれた男は信二よりはましな様だ。少し格闘技の技術を持っていた。


 それにこの身体能力を合わせればかなりのものになる。短時間ならやくざの事務所の一つ位なら殲滅出来るだろう。


 まぁそれでもスザクとは比べ物にはならないだろうが。


 その男、康之の拳脚の動きは普通の人間では到底かわす事など出来なかっただろう。例えプロの格闘家でも。


 しかしジンはそれをいとも簡単にかわしていた。そしてその攻撃の流れに自分の手を合わせて無理なく軌道を変えていた。


 それだけで相手はバランスを崩して二撃目が出せなくなっていた。これは完全な技量の差だ。どんなに力があってもジンの前では子ども扱いだった。


 ジンはこんなものかと見切って、軽く相手の体の上に自分の拳を軽く当てて、そこに気を乗せた勁を叩きこんだ。


 それだけで相手は吹っ飛び、手足をバラバラに動かし、二度と立ち上がる事は出来なかった。


 体内の経絡の中の気の流れが滅茶苦茶になってしまったのだ。


 これは物理的な攻撃ではない。体の中を流れる気の流れを一時的に断ち切ったのだ。しばらくは動けないだろう。


「さて、では今度はお前だな、リーダーさんよ」


 この結末に唖然としていたが、そこは秀才と言うべきか、小暮陽介がポケットから取り出した煙幕弾が炸裂して周りが煙で見えなくなった。


 その隙に小暮陽介は裏に隠してあったバイクに乗って逃げた。こう言う入り組んだ場所では、車よりバイクの方が小回りが利いて逃げやすい。


 小暮陽介はそう言う事をよく理解しているようだった。


『逃げたか。まぁいい。いずれ追い詰めてやるさ。今はこいつらだ』


 二人のボディガードの頭の中を探ったジンは、どうやらこの二人は薬の力で人外の力を得ていると言う事がわかった。


 合法ドラッグに身体強化剤なら、やはり薬剤関係の何者かが裏にいると言う事だろうと推測した。


 それは個人かも知れないし、または闇組織かも知れない。少なくともまともな会社や企業ならこう言う物には手を出さないだろう。


 一応こう言う情報を仕入れてジンは帰って来た。しかし首魁の名前も住所も二人の記憶からは読み取れなかった。


 相当用心深くて優秀な奴なんだろう。年の頃はそこにいたハングレ達とそれ程変わらない様に見えたが、もしかするとあれは見せかけだったのかも知れないなとジンは思った。


 あの時倒した他のハングレ達にも聞いて回ったが、誰も彼の正体については知らなかった。ただ皆はリーダーと呼んでいただけだった。

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