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〜おばあちゃん覚醒〜

ここ入れ歯大国「ハイノチ」で一人の老婆が世界を平和にする為、立ち上がろうとしていた…


「おばあちゃん、もうやめて!」


「嫌じゃ!嫌じゃ!行くんじゃ!悪いモンスターを倒しに行くんじゃ!」


「もうおばあちゃんたら!だだこねて!まともに剣も持てないでしょ?入れ歯工場でまた頑張れば良いじゃない。ね?」


「嫌じゃー!!バカ−!!」

老人ホームを飛び出そうとする老婆


しかし身体が動かない。


〜数時間後〜


「これで良いの?」

介護員チエの誘導で家の入り口までやっと辿り着く。

「ありがとな。チエ」


「夕方までには帰ってくるのよ!」


「わしはモンスターを倒しに行くんじゃ!もう家には帰らん!」


「ったく…いつもこうなんだから」


老婆ホームのチエにお世話になっているウメ96歳。


ウメの孫のタイソンはとても強かった。


あらゆる魔物をなぎはらい一掃


入れ歯王国の有望な強き戦士だった。


タイソンは人が困っていればすぐ飛んで助けにいく。

そんなお人好しの性格に目を付けた株式会社ハピカ広報担当のドンパだった。


さらにドンパはタイソンに魔王討伐の話を持ち掛けたのは彼だった。


「タイソンに丈夫な武器や防具として提供する代わりに入れ歯会社のスポンサーとしてロゴをつきのマントをつけて欲しい」とタイソンに商談した。


タイソンは一瞬渋ったが、戦士にとって旅費と武器は必要不可欠。

まずは3年契約として署名にサインをして同意した。

つまりタイソンはハピカの広告塔になったのだ。


そんなタイソンがある日、突然魔王にやられたと王国中に噂が流れた。


それを聞いて、立ち上がったのが祖母のウメである。

しかし、彼女剣は持てない。

魔法も使えない。

朝起きるのに2時間かかる。

武器屋300m

道具屋200m

キノシタさん家500m

入れ歯工場400m


これがウメの最大の行動範囲である。


しかもボケの初期症状が起こっている。


こんな老婆が果たして魔王を倒せるだろうか…?


「あら?おばあちゃんこんな所まで珍しいわね。村の出口が近いから危ないわ。一緒にキノシタさん家まで行きましょ」


近くにいた女性は言った


「嫌じゃ!絶対嫌!嫌!嫌!」


暴れるウメ


「ウメさん。あのね聞いて」


「嫌じゃー!!わししか倒せないんじゃ!」



「タイソンさんがね、昔もし自分がいなくなったらこう考えてって言ってたの」

「………」


急に大人しくなるウメ


「「俺は絶対魔王を倒す。だけどな…万が一死んでしまったら、俺の事は気にせず今ある一瞬一瞬を大切に生きて欲しい」ってね」


「わしは…」


「いいの、タイソンさんはウメさんには魔王退治を望んでないのよ」


「わしは…」

ウメの身体が小さく震えた。

何か言葉にしようとするが上手く言えない様子だった。


その時だった。


カーンカーンカーン


鐘の音がなり響く


「モンスターが来たぞ〜!!!!!王国南口広場に避難しろ〜!!」


遠くの見張り人が声を上げた。


「嘘!先月、結界師が来て結界を作ったばかりだったのに…!」


場面は代わり王国内


「シバ王どういう事ですか!?先月2人組の結界師に依頼したはずでは!?」

シバ王直属の付き人キラーンは叫んだ。


「くそ…!騙された…。あいつら結界なんて払わずお金だけぼったくりやがったんだ!」シバ王の息子デンタルは柱を叩いた。


「やめんかデンタル!」


王!!


「終わった事を気にして解決するのか?今は一分一秒を争う。モンスターどもを早く倒すんじゃ!」


「はっ!!!」


王国から戦士たちが散らばる。


「やっかいだな…。戦士の数よりモンスターの数の方が多い…。何匹いけそうか?」

王国の上級戦士は一人の戦士に問うた。


「最低100は軽いな、でも気を抜くなよ」

王国1強い男イレバンは言った。


場面は代わり王国南口広場

「もう〜ウメさんったら!こういう時にいないんだから!死んだタイソンさんが浮かばれないわ!」


「まあまあ落ち着けようチエさん、あのおばあちゃんさっき、トッチィと一緒にいたぜ。安心しな。」


「う〜ん、でも、あのトッチィってさ…」


「魔法が使えるんだぜ!」

「ピコ!そういうのは黙ってろ!本人は気にしてるんだからよ!」


「その魔法ってのが…ちょっと怖いのよね…」


〜場面は代わり王国西出口付近〜


「ギャー!!魔物!!助けてータイソン!!」


ギャギャギャギャ


落ち武者のような頭をした人型モンスターが鋭い爪を向けて近付いてくる。


「ウメさん下がってて!!こう見えても私魔法使えるの!…ちょっと小さい頃のトラウマがあるから怖いけど、なんとかコントロールするわ!」


トッチィは雷系の魔法を使う。

元々才能はあった。

しかし小さい頃に親友を誤って感電死させてしまい、それ以来封印。

魔力が強いが為に雷系のコントロールが上手くいかないのが難点


「ライ!!」

トッチィは呪文を唱えた。

モンスターは意図も簡単によけた。


「当たらない…!」


モンスターの視線はウメに向けられた。


「グエー−−!!」

走り出しウメ襲い掛かる魔物

「助けて!!!」

ウメは腰が抜けて動けない。

「お願い!当たって……!…ラ゛イ゛!!」


トッチィは天に祈るように唱えた。


「ギャーーー!!!!」


(やった…!?)


ギャギャギャギャ

モンスターは腹を抱えて笑っている。


なんと当ったのはウメだったのだ。


「そんな…」

愕然とするトッチィ


標的をトッチィに変えモンスターの爪の刃が襲い掛かる。


「…あ。しまっ…」


グエ…?


モンスターの腕を何者が掴んで動きを止めた


「あーあ、本当はゆっくり休むつもりだったんだけどねぇ…」


グアアアア


モンスター腕をへし折ろうとしながらゆっくりした口調で言う


「あんたの雷効いたよ。おかげで本当の力に目覚めてしまった。」


トッチィは開いた口が塞がらなかった。


さっき誤って雷を当ててしまったウメさんが意図も簡単にモンスターの動きを止めていたのだから。


「このハゲ!失せな!これ以上この子に手を出すと右腕へし折るからね。」


グアアアア


ウメはモンスターの右腕をさらに強く曲げた。


モンスターは降参した。


ウメが腕を離すと同時に一目散に逃げて行った。


「ウメさん、ありがとう。それにしても随分変わったね。」

トッチィは嬉しそうに話した。

「まあね。本当は傷つけ合いなんてしたくないんだ。…タイソンならそういっただろうね…さあ王国南口広場に急ぐよ!」ウメは力強く言った。


しかしこの時点でモンスターの数は1000匹を超えていた。


果たして王国の戦士たちは守りきれるのか…?


ウメはトッチィはと無事避難所にたどり着けるのか…?


ババアクエストの始まりである。

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