夏が寒くて暑かった話
夏が寒い。
読者の方が二度見しても良いようにもう一度言おう。
夏が寒い。というか、夏なのに寒い。
私が今現在暮らしているのは北海道の東側、海沿いの街で気候について知識があって察しの良い方ならもうお気づきだろう。
めちゃくちゃ寒い。
涼しいを通り越して寒い。
だって夜十五度で昼十九度だよ? 夏通り越して秋だよもう。本州ならば今時一〇月か下手を打てば十一月に差しかかる頃の気温である。一週間前に掃除して出したばかりの扇風機を近々仕舞う羽目になるし、三週間前にクリーニングに出した毛布はあと一ヶ月もすれば使いどきになるだろう。こっちはそんな早く使うために駆け込みで毛布をクリーニングに出したつもりではなかったのだが???
何故に「春にはなんとか……!」から「もう夏のボーナス入ったらで良いや」と、金の力で尻叩きをされた不精者を負けた気分にさせてくれるのだろう。なんかこう、自分が思った時期よりも早く使うのって負けた気分にさせられるじゃないですか(そんなものはない)
いやもう今年の夏は本当になんなのだろうか。
言っておくが、昨年の夏はこんなのではなかった。もっと暑くて夏らしかったのだ。九月の初めに視察で来た本社の殿上人が、
「いやあ噂に聞くほど涼しくありませんでしたなあ」
「日本の古き良き夏って感じですなあ」
と口々に言い合っていたレベルである。
ちなみに職場は施設も古き良き、それなりに年月も経過していてかといって建て直す余裕もなく、このまま減価償却を重ねに重ねまくって地震で壁にヒビが入ろうが修繕して使い倒すしかない悲しいまでの古さなのでクーラーなどというものは資料室などの特殊な部屋以外にはない。
贅沢は敵だ。欲しがりません、勝つまでは。時代が逆行する標語を思わず思い浮かべるような職場環境である。
壁に電気工事士の資格を持った職員が取り付けた壁用扇風機がある部屋もないわけではないが、事務なんて最底辺の職種である。昨年働いていた部署は、暑さが本番を迎えてようやく扇風機が取り付けられた。ちなみにそれでも外に出ていた方が涼しかった。同じく本州からやってきて生まれてからずっと関東の灼熱地獄を生き延びた課長が、「外にデスク出そう」と言うレベルである。
部屋の中の方が暑い。もはや日陰とはなんなのだろうか。室内にいると涼しいわけではないというのが嫌というほど思い知らされたのが昨年の夏である。
余談だが、今年については私が今働いている部署の部屋には部屋には壁用扇風機は、ない。私費を叩いて買った、パソコンに繋いで使う卓上用扇風機が唯一の救いである。寒い夏でも(冷房はケチられて)暑いものは暑いしサーキュレーターもあることはあるが、埃まみれだし、なにより一個で十数人に涼を届けるのは無理である舐めてるのか。
冷房を取り付けるなんて夢のまた夢、財政に余裕がないのは承知の上だが、これで熱中症の職員が出たら労働災害案件である。そのときの治療費と裁判沙汰になった場合の慰謝料と批判による利益率の低迷と世間からの信用の失墜と。
是非とも上層部にはもう一度頭を冷やして考えて頂きたいものである。
まあ今年の寒い夏では無理な話だろうが。




