ぼっちの生存報告
「投票の結果、生徒会長は発地一君となりました。」
学校中にそのような放送が響き渡った。自分は思わず、ガッツポーズをしてしまった。自分は教室の周りの目を見て、ゆっくりと手を下げた。
自分は、頭を抱えて席に座っている皆見の方を見た。正直、いじめの件もあって、心の底から大笑いしてやりたいが、人の目があるのでやめた。
ただ、正直、選挙結果が出るまでどうなるか分からなかった。皆見が築き上げてきた信頼と言うものは、強く揺るぎにくいものだと理解していた。だから、どれだけ良い演説をしようとも、急に出てきた半端者に投票する人間が過半数を超えるかは不安だった。
しかし、自分なりの勝ちの算段があった。皆見と言う優等生を生徒会長に置くいらだちが皆の心の底にあるのではないかと予測したからだ。
修学旅行の行き先は広島だった。これはこの学校の伝統と化している。自分は広島は十分楽しかったが、クラスの中では、東京なり、京都なりに行きたいという意見もあった。皆見はその意見をのらりくらりとかわしていた。
文化祭もそうだ。結局、一日だけの開催となったが、クラス内には、二日開催の意見もあった。もちろん、皆見はその意見を実行しようとしなかった。
他にもたくさんの意見があったが、皆見は本腰を入れて、変えることはなかった。自分はそのことをどうでもいいやと考えていたが、なんとなくそのことが引っ掛かっていた。
関係ないと思っている自分でさえ、少し引っ掛かっていたのだから、他の人間はより引っ掛かっているのではないかと思った。ならば、皆見のような優等生とは反対の存在が刺さるのではないかと考えた。
なので、型にはまらない自由な演説によって、皆見を圧倒できるだろうと予測していた。実際に、そのようにして、皆見に勝つことができた。
そう考えれば、修学旅行の班決めの時、皆見を殴ったことは、そんなどっちともつかない皆見の存在を嫌ってのことだったのかもしれない。
修学旅行の班決めは懐かしく感じてしまう。その時から今までたくさんの出来事があったからかもしれない。本当に色々なことがあった。
だが、これから自分は生徒会長になるのだ。これからもたくさんのことがあるだろう。皆見との勝負と言う気持ちもあったが、実は、やってみたいという気持ちもあった。
きっと、半年前の自分が今の自分を見たら、驚くだろう。人一人を集めるために死にそうになっていた人間が何百人の人をまとめようとしているのだから。
自分は少し笑みを浮かべて、喜んだ。




