ぼっちの居場所
自分は病院で治療することはなく、頬に大きな絆創膏を貼り付けて、学校に登校した。もちろん殴られたり、蹴られたりした所は痛まないはずがない。今でも脈打つたびに、ズキズキと痛む。絶対に家で安静にしておいた方がいいだろう。
そうこう考えているうちに教室の前に着いたので、自分はいつものように教室の扉を開けた。扉を開ける前から聞こえていた教室の話し声は、自分が教室に入ると、ぴたりと止んだ。そして、ひそひそと噂話をするような声量で話すようになった。
ただ自分が怪我をしているからだけではないような反応だった。自分は教室中をきょろきょろと見回してみると、自分の席の周りに人だかりができていることに気づいた。自分の目に気づいたのか、自分の席に群がる人は、席から離れていった。
遠くからはよく見えないが、教科書が散乱していることが分かる。自分が急いで席に近づくと、それは酷い有様だった。机の中に詰め込まれていた教科書は、カッターナイフか何かで切り刻まれていいた。教科書はもう本としての体裁を保っておらず、教科書の表紙が裏まで貫く程の深い切り傷がいくつもついていた。
席の周りにはナイフで切り裂いていたり、手で引き裂いていたりした教科書の切れ端が散らばっていた。机の中はすっからかんだったので、宿題の合った教科以外は、全滅しているだろう。今頃になって、置き勉をしてはいけない理由が分かった。
自分は切り刻まれた教科書を畳んで、全て机の中に入れた。教科書は切られたことで不細工な形になっていたので、机の中に上手く収まらなかった。だが、それを無理やり押し込み、教科書を机の中に詰め込んだ。
自分は机の周りに散乱した紙切れを片付けるために、掃除用具入れの中からほうきと塵取りを持ってきて、紙切れをほうきで集め、塵取りの中に入れた。塵取りの中にはこんもりと教科書の切れ端が山になっていた。
自分はその紙の山をゴミ箱の中に入れた。クラスは自分の淡々とした対応に静かになっていた。そんな静かな教室に扉が開く音が響いた。
「……皆さん、どうかしましたか?今日はやけに静かですけど……。」
千石先生が入ってきたようだった。自分は塵取りとほうきを掃除用具入れに片付け、皆の視線を受けながら、席に着いた。クラスの静寂はしばらく続いた。自分はそれを気にせず、カバンから生き残った教科書を出して、授業の準備をした。自分は恐ろしく冷静だった。
だって、もう犯人は明らかだから。
自分はクラスメイトの手を見回して、たった一人、絆創膏を貼っている指を持つ人を見つけた。あいつは肉体的にも精神的にも追いつめなければ気が済まない程、自分のことを嫌っているのかと思った。だが、今までの自分の行動は、あいつにとって煙たがられる行為だったのだろう。
自分は一方的な逆恨みからくるいじめのようなこの状況を不快に思っていた。




