表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢サリエルの夢  作者: マロン株式
第1章
22/94

第22話 フランツの視点4



 それから数ヶ月はこのラドレス公爵家にきて初めてというくらい、穏やかな日々だったと思う。


 けれど、そんなある日、サリエルは表情をパタリとなくした。


 瞳に光を宿していないというか、魂がぬけているというか、どこか遠くを見ているような顔。


 もうすぐサリエルが4才になろうという時だった。



 メアリーが突然、慌てて僕の部屋にサリエルを抱きかかえて尋ねてきたのだ。


 その日はラドレス公は仕事で暫く隣国へ。

リリアスは子供の世話は使用人に任せて旦那であるラドレス公不在の間泊まりがけで遠出していたときだった。


「フランツ様、大変なんです。

サリエル様が…っ」



 あまりのメアリーの取り乱しように、机に向かい勉強していた手を止めて椅子を引き、立ち上がる。


 サリエルの表情を覗き込むと、僕の顔が見えた瞬間、見開かれたまま瞬きをしていなかった大きな紅色の瞳から、一筋の涙が小さな頬をつたい


 やがては次から次へと涙の粒が溢れ出てきた。



 けれどサリエルは一言も声を出さず、無表情で静かに泣いている。




「…いったい、何があったんだい?」



 その問いかけにメアリーはただ、「わからない」と首を横に振った。




「メアリー、気付いた時の状況は?」




「こうなる直前まで関わっていたのは私で、児童書の読み聞かせをしていました。


気付いたときの記憶をお見せしたいのですが、魔法を使ってもよろしいですか?」



 その問いかけに、僕は部屋の前に人がいない事を確認して頷いた。



「あぁ、許可しよう」



 メアリーは僕の額に手をかざし、僕はいったん目を閉じた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ