第十一話 宮廷の陰謀と最後の試練
飛燕への黎明の溺愛は、他の皇子や権力者たちの激しい嫉妬を招いた。
「白銀飛燕は、皇子をたぶらかし、政務を疎かにさせている。北の英雄は、既に堕落した」という讒言が宮廷中に飛び交った。
黎明と飛燕は、二人の関係を裂こうとする最大の陰謀に巻き込まれる。
黎明の政敵である宰相が、飛燕を「謀反の疑い」で告発したのだ。証拠として、飛燕が胡族と密通していたという偽造文書が提出された。
黎明は、激昂し、宰相を弾劾しようとしたが、飛燕は冷静だった。
「殿下。このままでは、殿下の御身にも危険が及びます。わたくしが、もう一度戦場へ出ます」
飛燕は、最も危険な戦場への出陣を決意した。それは、自らの潔白を証明し、同時に黎明の地位を盤石にするための、命懸けの賭けだった。
「貴様、何を言うか! 私は貴様を謀反人などと思っていない! 貴様を戦場に出すなど、二度と許さぬ!」
黎明は、激しく抵抗した。
「殿下。わたくしの命は、殿下の盾です。わたくしが勝利すれば、すべては解決します」
飛燕は、黎明を抱きしめ、囁いた。彼の瞳には、黎明への真実の愛が宿っていた。




