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異端の白球使い  作者: R.D
五月雨高校編

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四日目の終わり

 「私が東京に居る時間も半分を切りました、……それまでに一番台までたどり着けそうですか?」


 部長のいる高校にお邪魔して四日目の練習も終わり、帰路につきながら一向に一番台まで上がってこない部長達に聞いてみた。


「仕方ないだろ、五月雨高校はインハイ常連の強豪校だぞ、トップもそうだが中堅層が厚いんだ、……お前がまだ負けてないのが異常なだけだ、どうなってんだお前は」


 私はあれからも黒木主将をはじめとするトップ層を打ち払ってきた、私自身も成長を感じている。……だが。


「『まだ』負けてないだけです、彼ら……特に黒木主将はもう私の球種の半分は返してきます、中々いい選手ですね」


 ここ、五月雨高校はレベルが高いのは感じていた、ランキング戦の前、たまに練習でオールコートを2年生とやったりしていたが、私が戦っていた全国大会の人達と遜色がない。


 層が厚い、その話はわかる……、だが。


「部長の実力でその層に突っかかってるのは理解できませんね……、手を抜いているんじゃないですか?」


 部長程の選手とは未だに当たってはいない、私が明確に負けるイメージを持つことができるのは彼と桜さん、それと……あのムカつく橘コーチぐらいだ。


「っな!?そんな訳ないだろ!?」


「仕方ないじゃない、この馬鹿は去年は基礎練習ぐらいしかしてなかったんだから、勝負感が鈍ってんじゃないの?猛」


 後ろから小笠原さんが呆れたように話している。


 彼女もまた一番台を目指している選手だが……、ここ五月雨高校では女子のレベルが高くない、故に男子に混じってランキング戦を戦っているが、男子と女子の力の差が出ているみたいで中々上へは上がれていないようだった。


「でもしおりさん、あなた、どうやって勝ち続けているの?あなたも私と同じ女子の部でしょ?……悔しいけど参考に……」


「しない方がいいと思います」


 私は遮るように言い放った。


「えっ?どういうこと?」


 小笠原さんは明らかに困惑している。彼女にも迷惑を掛けた、負い目もある。それに、何故か分からないけど話したい、そんな感情が芽吹いていた。


「……単純な話です、小笠原さん。貴方は他の男子枠と同じ両面裏ソフトの攻撃型です。同じカテゴリではどうしてもスタミナや筋肉量の差で不利になっています」


 まずは私の感じている事実を提示する、きっと彼女もそれはわかっているだろう。


「分かってるわよ、だから参考にしたくて」


「私が勝てているのはその戦術の差にあります、私はアンチラバー、つまりあなたと私の最大の違いは相手と同じ土俵で戦っているかどうかなのです」


 ふうっと一呼吸置く、話すのは疲れる。けれど悪くない。


「つまり、私を参考にするということは戦術の大幅変更が必要になり、それはあなたを弱くします」


 それが私の思う結論だった。


「なるほど……、けど卓球は戦術だけじゃないわ、貴方の戦略の立て方なら参考にできるかも」


 彼女はその結論に食い下がるように、私にアドバイスを求める、戦略の立て方、私の……、私は……。


「……そうですね、まずこのランキング戦における基本ですが、同じ相手と戦う以上相手の弱点は覚えておかないといけないです、相手によって癖や甘くなる返球を見ていれば、自然と勝率は上がっていきます」

 

 まずは基本を話してから戦略の取り方をしようとしていたが……。


「マジか……、全然考えてなかった」


 部長は呆然としていた。――まさか。


「まさか部長、何も考えずに戦っているんですか?このランキング戦を?」 

 

 私はジト目になりながら部長を見る。


「私も、自分の弱点を治すことを意識しすぎていて、全然相手の弱点を考えてなかった……」


「小笠原さんも?」


 どういうことだ、脳筋の部長はともかく、小笠原さんは私の研究をこれでもかとしていた選手だった。


 そんな人物が対戦相手の分析をしていないとは。


「まさか、二人とも……?」


 私が驚くように聞くと、二人は気まずそうに頷いていた。


「メタゲームの考え方を教えてあげます、……報酬はあのパフェでいいです」


「分かったわ、取引成立ってやつね、帰りに寄っていきましょう」


 私たちは三人で帰り道、パフェを食べに東京の人混みにまみれるのだった。

 


 最後までお読みいただき、ありがとうございます。


 もし少しでも「面白い」「続きが気になる」「この先の展開に期待したい!」と思っていただけましたら、


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 これからもよろしくお願いいたします!



                    R・D

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