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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
卒業へのあれこれ

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私の体

 学園最後の競技会もこれで終わり。仲間とゆっくり夕食を済ませた後は、自室に引き上げ、シャワーを浴びて、ミチコとベッドの中。


 いきなり、彼女がゴソゴソと動く。うん? 何、いきなり、そんな、別にいいけど。急過ぎ。どして?? 腕とか触るの? 腿? もう。あちこち触わり過ぎ。うん? あれ? やだ!! 急にやめないで!


「やっぱりね」


「なにが、やっぱりよ?(プン」


「いつも触っているけど、改めて確認してみたの。ねえ。ルナ、ほんとに無理しないでよ」


「どうして? 体術のこと? まぁ、あれくらいで限界だけど、少しは体力ついてきてる気がするから、大丈夫よ」


「それはいいことだけど。おかしいのよ。ルナの体。あんなにトレーニングしたら、普通は、腕だって腿だって筋肉がついて太くなるはず。腹筋も割れてくると思うわよ。でも。貴女の体、去年から全然変わっていない」


「ああ、そうかなぁ。筋肉がつくのは意識してなかったけど。でも、明確な進捗はあるわ。持久力がかなり上がったもの。剣術で戦っていて息が上がりにくくなってるの。あと、微妙だけど、握力や背筋力も改善はしている……くらいかな」


 確かにミチコの言う通りだ、私の体は普通の人とは異なるのだろう。一生懸命、鍛錬してもその効果は微々たるもの。トレーニングをしているわけだから、私の消費するカロリーも増えているはず。この(かん)、食べる食事の量を増やそうともしてみたのだが、これも二人前以上、食べることは不可能だった。


 無理に詰め込むと吐きそうになる。プロテインも試してみたが、全く効果なし。普通の食事の量がその分減るだけだった。ほんと、難儀な体だ。


「こんなに細い体の貴女が頑張るのを見てると、ちょっと、いたたまれなくなって。でも、無理してないなら、いいの。トレーニングはそれでも必要なのだろうし」


 持久力だけはかなりついたと思うので、トレーニングの継続は必要だろう。ただ、握力などは十七歳女子の平均値に到達したかどうか程度でしかない。


「でもね。ルナの細い体、とっても愛おしい」


 彼女の声音が急に甘くなる。


「はい。はい。狼さん。今夜も私を喰べるのね」


「ええ。もちろんよ」


 ❤︎❤︎〜〜♪





 というのが、競技会後の夜だったのだが、卒業研究も並行して進めている。ミチコとの共同研究となる予定だが、昔、学園長からもらった魔法の本が、アイデアの発端となった。あの本が存在するということは、学園の図書館の蔵書は、前世でいうところのビッグデータになっているはず。


 もちろん、その実体はハードディスクに記録されているわけではなく、なんらかの魔法的なデバイスが記憶しているのだろう。まず学園図書館の基本的な仕組み、テクノロジーについて調べてみた。


 ところ、その実装実態は全く違うが、数学というレベルまで落とし込めば、前世のテクノロジーとの対応付けが可能だった。


 これらの仕組みの根本は、エルフの里で見たものと同じ、魔法で動くチューリングマシンと言ってよい。このあたりをミチコに説明するのは難しいかも? と思ったが、なんだろう? 彼女は魔法に長けているから、直感、理解力が天才的なのか、あるいは、龍王様との出会いで、私の前世の全てを概念として知ったからだろうか。あっさりと理解してしまった。


 私たちの最終目標は、図書館の蔵書データを機械学習させた書籍コンシェルジュを試作してみること。魔法で作る人工知能、ホムンクルス作成への基礎技術を探るということだ。ただ、実体のある自動人形(オートマタ)を作るつもりはない。


 VR技術というか。もともと、魔法は、テレパシー的。脳に直接語りかけることができ、私のように嗅覚をシミュレーションすることさえできる。マンマシンインターフェースは、直接、「脳へ」がいいだろう。


 人工知能といっても、ニューラルネットワークの仕組みを、いきなり魔法プログラミングしてみるというのは、さすがにハードルが高い。まずは、検索システムを作ることにした。現状でも書籍目録を検索することは可能だ。書物のタイトル、筆者、分類で検索することができるようになっているが、それを拡張することから始めている。


 ちなみに、この世界での「分類」も十進分類法と同じような考え方だが、魔法という類目が存在する。類目:魔法>網目:魔法学、神界学、魔法術、魔道具原理、魔法属性学、魔法律……、といった具合だ。要目は、魔法術を例にとると、治癒、防御、攻撃、強化、弱体、転移、探索、召喚、創造……などに分類される。


 分類される学問体系については数学、物理学といった基礎理論と、それを体現する魔法という形で比較的シンプルだ。技術、工学という分野がないわけでもなく、対応する分類は存在するが、テクノロジーの大半は魔法で具現化されている。だから、この世界は中世風に見えるということだ。

 この世界にもタンパク質だけを抽出した変な食べ物はあるわよ。某ラノベをヒントに試してみたけど、単にお腹を膨らせるだけ。効果は皆無だったわ。


 ああ、そうそう。卒業研究関係は、IT系のお話が出てくるから、覚悟しておいてね。分からない時は、いつものごとく、ggrksよ!


 ということで、紙の本が大好きな中の人の、役に立たない蘊蓄。


 図書館の日本十進分類法。「本好きの下剋上」でも出て来ましたよね! 図書館で棚を探すのにとても便利なものです。ですが、これができたのは1928年。さすがに、現代の情報社会を想定できていませんでした。情報関連分野と一口にいいますが、科学、工学、技術〜社会科学まで、既存の分類をクロスオーバーするような世界。現状、007:情報科学、547:電気通信、548:情報工学に別れちゃってます。


 で、ここで問題です! 「情報理論」の書物は、どの棚にあるでしょう? ネタバレを事前に書いていますが、普通なら410:数学の棚を見に行きますよね。417:確率論のそばかな? 違うんです。007なんですよ。


 今時の図書館は、検査端末が設置されているでしょうから、探すぶんには問題ないかもしれません。でも、やっぱり。私が、図書館やリアル本屋さんを好きなのは、未知なる本との邂逅相遇を願うからです。だから分類は大事です。って、大層かっ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 96/96 >やだ!! 急にやめないで!  ここが印象的でした。やっぱり野郎の定めか。 [気になる点] プロテイン飲んだんですね。 うーむ、ゲームのステータスだけ上がって見た目変わらな…
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