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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
ジャンとの出会い

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花の香り

 というような、ことがあって、ミチコとの二人部屋。ジャンが妙な気を回したのだろうか? リベカと私たち二人は別室を割り振ってもらっていた。


「危ないところだったわ。私の考えが甘かった。ルナが戦闘中にどうにかなるなんて、想像もしていなかったもの」


「私もエルフの守りを過信し過ぎていたかもしれない。意識を失えば魔法を維持できない。当たり前のことなのに」


「怖かった。ほんのちょっとの不注意で、貴女を事故で亡くすなんて。今、思い出しても身震いがする。これから心しておくわね」


「でもさぁ〜。そこまで言ってくれるミチコ。なんだか素敵に見える」


「あれ? ルナ。汗はかかないんだったわよね。前から時々感じていたのだけど、お花の香りがするの。さすがエルフ。体臭までお花かっ? て思ってたのだけど」


「え? 私、臭う?」


 汗などが元となった臭い。体臭は自分では感じ辛いとは言われている。だが、ここまで明確に臭うと言われて、自身が感じないということがあるのだろうか?


「どんな、臭い?」


「うーーん。そうね。今夜のはとても濃い。薔薇の花みたいな感じかしら?」


 え? あれ?? 全く、自分では感じられない。


「ねぇ。ミチコ。臭い、香りってどこで感じるか知ってる?」


「え。それは鼻でしょ?」


「聞き方が悪かったわ。違うの。鼻から臭いの元となる物質を吸い込むのは確かだけど、最終的に、何の臭いか? と感じるのはここ」


 私は自分の頭を指差した。


「え? もしかして、今、私がルナから感じている香りは、本当のものじゃなくて、私がそう認識しているだけ? 幻影みたいなもの?」


「うーーん。魔法? 私の感情がミチコの頭に伝わって、それをミチコが香りとして認識している。みたいな?」


「それって。もしかして、私がルナの表情を見て、頭の中で錯覚しているだけかも?」


「難しい命題ね」


「あれ。香りが変わった。今度はもっと甘い。甘過ぎてちょっとどうかなぁ〜。イランイラン? でも、この香りを嗅いでいると、何だか体が熱くなるような気がするわ」


「え、どうしたの? お昼の戦闘で疲れた? 風邪とかじゃなければいいのだけれど」


「バカ! この流れで、体が熱いと言えば。もぅ。でも、そういう天然、ルナならでは。博識で、頭も切れる。天下無双の大魔道士さんがコレだもの。ギャップ萌えって言うのよね。好きよ。大好きよ」


「ああああーーー。もう、私も恥いぃぃ。でも、分かったわ。さっきの答えは前者。あの時、まさに、私の感情が揺れたから」


「どんどん、香りが強くなってくる気がする」


「うん。だってコレ。この香り。媚薬よ。私、貴女を誘ってしまっている」


「そぅ。じゃぁ」


「やだ。ダメ。ダメ❤︎」


「自分から誘っておいてソレ? 今夜はやめてあげない。女の子同士だもの。本当のダメと嘘のダメくらい区別はつくわ」


「あん♪ 声が止まんない。恥ずかしい。お隣に聞こえちゃうわ」


「プリーストの私を甘く見てもらっては困るわ。遮音魔法は完璧よ。だから、思いっきり、ルナのHな声聞かせて」


 少し前から私自身の心境に変化の兆しはあった。受け入れていいんだと。


 もちろん、恋人となったその日から、ミチコになら何をされてもいい、何があっても拒絶はしないだろうと思っていたし、実際、そうだったのだろう。


 でも。本当のHを女の子として受け入れるのには、漠とした怖さがあった。受け入れたら最後、自分が何だか別の人格、自分が自分じゃなくなってしまうのではないか?


 まさに。まさに。今だって。恐怖感がゼロというわけではない。自分が何か得体の知れないモノで染まっていく感覚。でも、全てを受け入れたいという想いが、それを上回ったということだ。その感情は香りとなって、ミチコを蠱惑したということなのだろう。


 前世、AVだって観たことはある。あれはフィクションだけれど、女の子同士のHがどういう感じで進むかは、ほぼ想像できた。だけど。だけど。実際に体験すること。感覚ではない、感情。心が揺れる。その波動を確かに感じる。


 これは、想像だにしなかった。全くの想定外だった。私の心は荒波の中の草船みたい。あっちへ揺れ、こっちに傾き。制御できない何かが、私の中で踊っていた。


 これが私の初体験ということになるのだろう。だけど、何が起きたのかもちゃんと覚えていない。頭が真っ白になって、体の力が抜け。あとは。あとは。気がついたら二人は、裸で抱き合っていた。ミチコの肌がどこか冷んやりしていて心地よい。


「私は果報者だわ。貴女の前世の言葉を借りれば、今、ミチコは、ソロモンの王様が嫉妬に狂い、髭を全部毟ってしまうほどの至宝、を手に入れた。ってね」


「バカ。私なんか。こんな子供みたいな体。ちっとも魅力的じゃないわ。それなのに。そんなに喜んでもらえて、とっても嬉しい。こういうこと、ミチコがその気になればいつでも、いつだってできたはず。でも。ずっと待ってくれていたのよね。ありがと♪」


 私はミチコに軽くキスした。私、「から」、キスしたのは、どうだろう? あまり記憶がない。


「うふ。ねぇ。ねぇ〜。今、ホントに今、気づいたわ。私ね。実はね。とってもとってもHな子なの。もう一回。今度は、ミチコのHな声聞いてみたい」


 (たが)が外れてしまったみたいだった。そうだ。そうだった。私は何も変わってはいない。別人になったのではなく、眠っていた自分を取り戻しただけだ。


 本当は、ずっと望んでいたのだ、こういうことを。そして。この時まで、今夜まで、私の不安な気持ちを斟酌し、ただ待っていてくれたミチコには、感謝の言葉しかない。二人は明るくなるまで、あんなことや、こんなことを繰り返した。

 書いていて、ものすごく恥いけど、アナタだけに特別に教えて、あ・げ・る❤︎


 昨日の後書きの意外とは、汗からこれに繋がるということでした。え? そろそろだって、分かってたって? 18禁ではないので、中の人としては、できるだけ上品に書いたつもりです。


 そもそも男性限定かな。疲れていると「種の保全本能」でHしたくなるとも言われていますが、私は信じていません。「事件」があって心が揺れると、ルナはミチコを求めるようです。そっちは、あるかな?と。ルナの心の弱さにも関係してるのかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 72/72 ・おー、この書き方はすごい。感情だけをガッツリ描写するんですね、なるほど。 [気になる点] 匂いですか。やっぱり感情が漏れてるのでしょうか? [一言] ルナさんめっちゃ変わり…
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