人間水族館
「ねえねえお母さん」
「あの人間の親子が今日も来てるよ?」
「あら本当」
「入館料は安いけど」
「きっと仕事がなくて暇なのね」
「お母さん、仕事って何?」
「エサを食べるために汗を流すことよ」
「カネ、て言うガラクタを貰うの」
「ふ~ん」
「ほらほら、あたし達を指さして何か言ってるわよ?」
「きっと、あたしたちのウロコに見とれてるのね」
「そ~かなあ、僕は、あいつウマそう!て言ってると思うよ?」
「ボク、そんなことよりも。おババ様が呼んでいたわよ」
「え、あの人まだ生きてるの?」
「何言ってるのこの子は」
「あの方は死ぬことはありません」
「苦しみ、血を流すことを喜んで受け入れる方ですから」
「はい」
・・・・・・・・・
「お久しぶりです、ババ様」
「おお、サンテ」
「あなたですか」
「僕をお呼びですか?」
「ええ、今がいい時期です」
「まだ若いあなたに、大切なことを教えねばなりません」
「はい」
「・・・・サンテは、この我ら魚を見せ物にする人間が」
「なぜ縛られた動物なのかを、知っていますか?」
「う~ん、僕は知りません」
「人間は縛れているんですか?」
「ええ、がんじがらめにされています」
「僕には見えません」
「ええ、だから彼らにも見えないのです」
「何でなの?」
「人間は太古の季節より」
「少しだけ他の動物よりも、脳が開放されていました」
「だから、道具というガラクタを使って」
「この、地上を支配したのです」
「すべての生き物を食います」
「はい、僕も知っています」
「人間は、生き物で快感を作るそうです」
「よく勉強していますね、サンテ」
「サンテは知っていますか?」
「人間は、敵意で同じ仲間を殺します」
「え、そ~なの?」
「みんなニコニコしてるよ?」
「ここに来る人間はそうですが」
「本当は・・・腹、と言う顔があるのです」
「お腹にも顔がついてるの?」
「それが人間が縛られている理由のひとつです」
「快感という欲望を覚えた人間は」
「気持ち良いのが辞められなくなり、罪を繰り返し」
「罪を重ねて、その重さに気がつくことも出来なくなりました」
「へえ、じゃあ僕たちは人間のために死ぬの?」
「サンテは見ぬくことが出来るのですね」
「私達生物は、人間のために。そして人間とともに死にます」
「その心は何だと想いますか」
「わかりません」
「愛、と言う本能です」
「アイ?」
「食って寝て犯す」
「本能はこの他に」
「愛する、と言う生きるよりも死ぬよりも大切なものがあります」
「へえ・・・よくわかりません」
「ええ、サンテは知らなくて当然です」
「人間だって知らないのが普通ですから」
「あ、でも人間が縛られてるのが何となく判ります」
「人間のいやらしい顔が僕の脳の中で見えます」
「・・・・すみません。サンテ」
「少し疲れました」
「はい、おやすみなさい。ババ様」
「あ、ボク。どうだった?おババ様のお話は」
「うん。人間でも知らないことを教えてくれたよ?」
「人間は縛られている、悲しい生き物だったんだね」
「・・・まあ、ボクも成長できたのね」
「じゃあ今日はお祝いに、貯めておいたミミズをあげますよ?」
「わ~い!」




